人狼議事


34 【ペアRP】花人形たちが紡ぐ夢【R18】

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視点:


[翻弄される、とはこういうことをいうのだろう

快楽の波に絶えず浸されて。
貴方の声が、まさぐり、摘まみ、擦り。
念入りに私を染め上げる指の感触が強く、つよく。

――違和感はやがて物足りなさに変化させるように
知らぬ無垢を希求する慾へと変えてゆく。

絶頂の瞬間。頭の中が白くなったかのようで
脱力すると同時に彼の腕の中に体を預けた。
すぐにそれは、褥へ降ろされることになるのだが。


お疲れ様と労わりながらも、
貴方の目はまだ満足に染まってはいない。
寧ろ欲を耐えるような眼光が、色眼鏡越しに煌めく。]


[貴方の影が、私の上に落ちる。
――問いかける様は、懇願みたいね。]


 ほしいわ。

         煙さん。


[ちょうだい。
囁き声とともに貴方の方へと手を伸ばし
頬を撫でながら微笑もう。


わたしは選ぶ。
だからあなたも、私を選んで。*]


……ありがとう。

[了承されないとは露ほども思っていなかったが、改めて下された判断に感謝する。

頬へと差し出された手を握って微笑む。

ベッド横にある小机の引き出しから、いつぞや手渡された『あるもの』……『避妊具』を取り出した。「使わないだろう」と思いつつも捨てられなかった物であるが、今や必要な物へと変わっている。

着物から下穿きを脱ぎ取り、もうとっくの前に張り詰めてしまっていた自身へ取り付ける。
……初めてなのに妙に手際よくできてしまった己の器用さを褒めよう。]


[横たえた彼女の秘所へ自身をあてがいながら、深く呼吸をする。]

……挿れるね。

[本当はもっと優しくしたかったけれど、最後の理性の糸が千切れてしまった頭では無理であった。

狭く柔らかな肉の感触は、あまりにも甘美で。一気に奥まで突き入れてしまう。]

…………ッ、
痛くは、無い?

[辛うじてそれだけ尋ねる。返事が来るかこないかの状態で堪えきれず抽送を行う。彼女の身体を気遣える余裕なんて、もう無かった。]*


[性に対しての興味はほぼなかった私だが、
一歩どころか十歩くらい進んでいる友人らの会話は耳にしていた。

 初めてのときは、痛いらしい。
 やめられない、とまらないのだとか。

その経験から同性に走った友人1名が少し怖い顔で忠告してきた。
もしも痛みが強ければ、ちゃんと相手に言いなさい。と。]


 ―― ぅ、 ぁ。


[今、その言葉を思い返している。]


[十分解し濡らしてくれたとはいえ未通の場所だ。
貫くほうも、貫かれるほうも痛いに違いない。
力を何とか抜こうとするが、中々うまくいかない。
多分、一気にだからこそ一瞬の衝撃ですんだのだろう。
律動にあわせ揺れる私の体に、鈍痛と快楽が綯交ぜで襲う。


痛いだけじゃないのだと知った。

手を握って笑んだ貴方の顔。
余裕を失う、今の顔。
何方もがとても綺麗で。痛みより見惚れるのが勝る。]


 煙さん。


[揺さぶられながら、名を呼ぶ。
痛みを問われた時には、衝撃に喘いで返せなかったが。
―― あのね。]



[あぁ、そういう男らしい顔も出来るんですね。

唾の飲み込み、まるで初な少女のように胸を高鳴らせた私は。
君の腕の下で、いったいどんな表情をしていたのでしょうか。]


·······お気に召したのなら、何よりです。


[自身の膝から上がってくる、舐めるようにじっとりと撫でる手。
背中が震えているのは、恐怖ではなくまだ知らぬ悦への期待から。

腰をくねらせて、逃れることもせず。
·······私は君の指を、受け入れた。]



[最初に感じたのは異物感。

当たり前です。
女性の秘部と違い、何かを受け入れる為にできていないのですから。
力を緩めようとしても、君の指を外へ追いやろうと自然と力が入ってしまいます。]


······本当に、これであってるんで、ぁっっ!

············は、ぃ?


[びりびりと身体全体に電流が走ったかのような感覚。
驚いて身体を半分起こすと、下半身のそれが緩く立ち上がっているのが見えました。

······先ほどのは痛みじゃなくて、もうしかして快楽?]


····あ、まって。····そこ、ダメです。


[未知の感覚に警告音が鳴った。
これを知ったら戻ってこれなくなると、理性が言っている。]


···いっ、······ぁっ、んっ。·····まっ、て。


[腸壁をなぞられ、こりこりと腹の奥を押される度に。
先ほどの、段々と頂きに登り詰めるようなものとは違う。
まるで無理やり快楽の頂点まで引き上げられるような、猛烈な快感に襲われる。]



[2本も飲み込んだ秘穴から溢れる白色のハンドクリームは、
君が私の身体を大切に扱ってくれている証。

そこに陰茎の先から滴る透明な液体が混ざれば、綺麗な白は濁ってゆく。
ねっとりと蜜のように艶めくそれは、3本目の指を飲み込みたいという合図。

········さぁ、もっと奥まで、君の手で暴いて。]**


[私の下にいる男は、私の顔を見て。
 驚いたような視線を向けたから、
 あらと自分の顔に手を当てて治そうとしたのだけど。
 目をそらす気のない様子を見ていればどうやら、
 悪い気持ちのものでは、なかったとわかったから]

 ……今日みたいな日、限定ね。

[って、人差し指を口に当てた。
 また私のお相手をしてくれれば、見れるかもね。]


[私の指を押し返すように動く肉の壁。
 ……きつい。指がぎゅうぎゅうと締め付けられる。
 それでも、もっと質量のあるものを受け入れさせるには
 柔らかく解してやらなきゃ。と。
 指を動かして、好いところに当てて。]

 ね?気持ちがいいでしょう?

[反応を見れば、笑って見せた。]

[まったを掛ける声に、痛ければ辞めようと考えたけど。
 行為への気持ちよさが混じっているのに気づけば
 ……辞めずに、菊の中へ指を割り入れた。]

[言葉の抵抗が止めば、私をたどたどしく呼ぶのだけが残る]


[肉の押し戻す力が弱くなればなるほど。
 締め付けが弱まれば弱まるほど。
 貴方の体液や何やらでしろくなった孔に、
 クリームを足した指が増えていく。
 この指の付け根が埋まるまで。
 三本を容易く飲み込むようになったら]

 ……坊ちゃん。

[蜜が夜光に照らされ妖しく輝くさまや。
 貴方が喘ぎ、蕩ける様が。
 淫猥な光景に、あてられて。
 てらてらとした指を抜いて、
 坊ちゃんへの前戯の中でも衰えを知らなかった
 己が屹立に添えて。]

 指、飽きたでしょう?
 いれてあげる。


[返答を待たずに。
 ずぶずぶと自分のを、解した肉壁の中に、

 埋めた。]



 ん……ふ。

[小さく喘いで。先から少しを入れただけで、腰が砕けそう
 このまま腰をふれば、
 私は気持ちよくなれるかもしれないけど……
 坊ちゃんは、どうかしら……。
 なんて考えていたら、そういえばと思い出す。
 私によく張形を手渡して、責めさせる客が前言っていた。
 こういうのは、最初は浅く抽挿を繰り返して。
 自分の形に慣れさせてから……
 ゆっくり、深く突くものだと。
 覚えていて良かったと思いながら、それ通りに。]

[浅い腰振りですら、唇の間から官能のうめきをこぼして。
 奥まで入れた時には、「んぁ……っ!」
 なんて女のような高さの嬌声をこぼしたから。
 竿役としては少し情けなかったかしら。]


[奥まで入れてからは、あなたの手が布団に落ちてあるなら
 それを手で握って。ベッドに、私のちからで縫い付けて。
 そうでなければ、好きなように遊ばせながら。
 ……徐々に抽挿をする速度も上がって。
 あっという間に、教えられたセオリーを捨てて
 興奮のまま腰を振り続けるけだもののできあがり。
 ……もっと淑女然として
 魅力的に抱いて差し上げたかったのだけど。
 初めてだからかしら。つい……歯止めが効かなくなって。
 かろうじて、行為中の愛撫として……
 べろをねじ込んで。
 坊ちゃんの口の、貪れるだけをむさぼったのは
 今思えば乱暴すぎて……愛撫と呼ぶには適してないかも
 しれないけれど。
 腰をうちつけながら、あなたに聞く。]



·······かはっ。


[ ···君が私の中に入ってくる。
 誰にも踏み込まれたことがないところに。

 先っぽが埋め込まれただけで息が出来なくなるほど苦しい、そして何より。]


·········はぁ、はぁ。···あつ、い。


[ 昂った熱量は、普段は氷と同程度の体温しかない私には熱すぎました。
 身体の内側から溶けてしまうのではないかと錯覚してしまうくらいに。

 それが私の腸壁を押し広げて、中を暴こうとしている。
 入って、抜いて、···そしてさらに奥へと。]



[ 君の昂りを刺激するような、気の効いた言葉も発せないまま。
 口から零れる小さな呻き声は、嬌声よりも悲鳴に近い。]


·······やめ、ないで。


[ それでも続けて欲しいと願うのは。
 愛おしい君が、私を愛してくれる事実が嬉しかったからです。]


······ぅっ、んっ。······はっ、ぁっ。


[ その声に甘さが混じり始めたのは、私の身体が君の全てを受け入れたころ。
 指では触れられなかった場所まで押し込められ、君が可愛らしい嬌声をあげた瞬間。
 ······未知の感覚に強張っていた私の表情が、緩みました。]



[ 私の言葉が後押ししたのか、それとも限界だったのか。
 頭の脇で弱々しく沈んでいた手に、君の指が絡まり。
 こちらを見つめる瞳は、腹を空かせたの肉食獣のようでした。]


[ 君が狼なら。
 私は君の獲物の、か弱い羊さんでしょうか。
 ······あぁでも、羊はこんな淫らな声で鳴きませんね。]


·····ぁっ、ぁん。······す、き。


[ 先ほど散々弄られた好いところに狙って、荒々しく突き続けられる肉棒。
 優しさの欠片も残っていなさそうな腰の動きに、私は女性のような高い艶声をあげることしか出来ませんでした。]


········っっ。


[ 上の口も荒々しく愛撫されて、呼吸が足りなくなる。
 苦しいと自然と身体に力が入ってしまうもので、それは秘孔も同じ。

 きゅぅっと中が締まると。
 僅かばかりの余裕がなくなり、君のものに沿うような形へと変化する。

 先ほど触った時に、熱い視線を見つめたせいで細部まで分かってしまった。
 腸壁をなぞる反りたった竿、最奥を突く鈴口、···そして、びきびきと浮き上がった血管まで。]


[ 今、私が誰に抱かれているのかを。
 視界だけでなく、感覚からも理解させられてしまう。]



[ そうして私は、終わり際に君の名を呼び。
 君の腹に目掛けて勢いよく精を吐きだして、······君の下で、果てた。]

**


[内側の肉の、温度はどうだったのかしら。
 ……普通の人とおなじ?それとも、多少なりは冷たい?
 同じなら同じで、熱を感じて少し腰が浮く心地になるし
 冷たいなら……昂った熱を移すように
 貴方のお腹の中をごりごりと掘削したのでしょうね。
 熱さと苦しさに喘ぐ坊ちゃんもお可愛らしい。
 けれど押し込む度に溢れる悲鳴の、悲痛なのを聞けば
 切り上げるべきかしらと頭によぎりはして。
 その時ぐらいに、坊ちゃんのお願いごとが聞こえてきて]

 うん、やめない。

[って、了承のお返事を。
 声に甘いのが混じった頃、私も奥の奥まで……
 根元までを、貴方のからだに埋め込むことが出来て。]


[押せば女の様な甘い甲高い音を出す。
 それ聴いて充足を得ながら。
 腰から頭に送られる快楽の強さに溺れて。
 腹をすかした狼は、目の前の美味いえさを
 逃さないように捕まえて。
 下からはしたなく、ばちゅばちゅと音を鳴らしながら
 かっ食らった。骨の髄までしゃぶり尽くすみたいに
 荒々しく。全てを味わいたくて
 好き好きと私への愛をこぼす坊ちゃんのお口は
 坊ちゃんのお味がして美味しいと夢中になって
 特に長く味わっていたのだけど。]

 っ……、

[それのせいか締め付けが強くなって、すこし眉をひそめる
 けど……私を追い出さんとする秘肉たちは
 私の形を覚えたように、ぴったりと絡みついていて。
 きっと細部の形状すら、貴方にわかるみたいに。
 ……あぁ、慣れればさっきよりも気持ちがいいと
 腰を打ち付ける勢いは衰えずに……]



 ふふ。もう、私のからだのかたち、憶えちゃったの。
 坊ちゃんの……えっち。

[なんて、額から汗の筋をひとつ垂らしながら]


[悦楽に焼かれた、懇願にも聞こえる声で
 あなたを汚したいという欲望を吐き出しながら腰を揺らす
 種付けんと短いストロークで早く。
 奥の奥、本来なら女人の子を孕む部屋の戸をつつくはずの
 動きは。
 貴方の尻の中の、良い所をきっと擦り続けている。]

[坊ちゃんが精を吐いて、中がよりきつく締まった刹那、
 私も、頭のなかが白に染まって、己の唇を噛み締める。
 中で肉に揉まれていた愚息が一層ぶわりと大きくなって
 中でびゅくびゅくと、精を鈴の口からはきだす。
 より奥へ出すため、出しのこしが無いようにと
 腰を押し付けぐいぐい先を肉にこすり付け、
 ……本能が、満足したら]


 はぁっ……は、あっ……。

[荒く息を吐きながら、貴方の秘所を埋めていた
 肉の棒を引きずり出した。
 先程まで私が埋まっていたところには、
 クリームのものかしら、白い粘液が残っていて
 それが酷く、淫秘に見えた。]

 んん……、

[落ち着いたら、甘えるようにうなって、腕を肩口に回して。
 緩く自分の体重をあなたにかけて
 抱きしめてキスを求めた。
 坊ちゃんの腹に散らされた貴方の精液で
 私の服なり肌なりが汚れるのも気にせず
 貴方の尻の中の体液をかきだすのもせずに。
 片付けをしなきゃとは、頭の中で思っているのだけど。
 今は少しだけ……
 繋がりあえたあとの余韻を、楽しみたかった。]**


[狭い箇所から締め上げらるのは、少々の痛みは伴ったが。それよりも耐え続けて解放された快楽の方が大きかった。

受け入れる側の方がずっと苦しいだろうと、思うのに、まともな理性が溶けた頭はただ彼女を貪る事しか考えられない。

最中、名前を呼ばれ、合間に「なに、」と返せば、]


[もう限界が近くなり、ただ自身が精を吐き出すための動きになる。優しさも気遣いもなく欲望を打ち込み続ける。本当は彼女とも悦を分け合いたいのに。

「初めて」の男なんてこんなものである。

突き上げて、揺すぶっって。最奥を暴いた刹那、]

――――……ぐ、ぅ

[薄い膜越しに、全てを吐き出した。]


[大きく息を吐いて、吐精の余韻に浸る。
一度出すもの出せば少しは冷静さは戻ってくるもの。

胎内へ突き入れていた自身を引き抜いて、避妊具を取り外す。……いつもより多く出した気がする。

溢れないように結んで屑籠へ投げ入れて、先ほどまで好き勝手に蹂躙していた相手……リッキィに向き直った。]

……俺の方だけ気持ちよくなっちゃって、ごめんね?

次は一緒にイけるようにするから。

[そう言って二つ目の避妊具を取り出す。
自分勝手に暴かれたのでは、彼女の方は達せてはいないだろうと思い、今度は彼女がよくなる事を心掛けるつもりである。

……後になって思うが、この時の俺、全然冷静になれてなかった。]*


[自分自身もいっぱいいっぱい。
気持ちいいと、体の中があついのと。
おなかがじんじんするのと、沢山色んなことが
一気に起こって、頭がぼやっとする。

荒い吐息はどちらのものだろう。
滴り、シーツに染みる汗はどちらもなのかもしれない。
生理的に張った水の膜。
揺さぶられる際に頬を伝って麦穂の海に消えていく。

ゆれる視界。その中で見えた貴方の顔。
――あなたも、いっぱいいっぱいなのかしら。]


 (かわいい。)


[ふ、と浮かぶ。
こんな表情。誰にも見せちゃいやだ。なんて我儘な感情が。]


[胎の奥、スキン越しに熱いものを注がれる感覚に
きゅ、と彼を締め付けたのは無意識に。
その奔流が終わったと感じた時には、
中から抜けていくものがあった。
――少し寂しい、と思ったのはどうしてか。

引き抜かれたばかりの箇所がじんと痺れ、
乱れたシーツのまま、彼を見上げる。


 ……なるほど。
 交わりというのは1度で終わらないもの。
 友人よ、私は学んだ。


私は彼が準備が終わるまでは肩で息をしながら呼吸を整え。
両腕を、彼に差し出す。]


[一緒にと心がけてくれるのは嬉しいのだけれど。
私多分、一番満たされるのはそれみたい。

差し出した腕を背中に回し
引き寄せることはできたろうか。


今度は縋らせて。
近くで見たいの、君の快楽を得てる顔。*] 


[交わるのが一度では済まなかったのは、単純にそういう相手であっただけ。というのは置いておき。

……実際、性欲処理は最低限でも問題なく。仕事は仕事として、奉仕活動をする時は割り切れていた頭が「そうならなかった」というのは、
そういうこと、である。

全て吐き出して萎えたはずなのに、まだ治まりそうにない自身へ準備を済ませたら。差し出された両腕の中へと収まる。]


[背中に手を回してもらって。2度目の挿入は、なるべくゆっくりと。

絡みつく肉の感触は変わらず理性を持っていくのに十分であったが、今度は彼女の方を優先して。優しく動くようにする。

指で確かめた、彼女の好む箇所を探しながら、そこを重点として責めるように。刷り込んで、覚えさせて、

音も匂いも感触も、全部が快楽へと繋がっていくようで。貴女も同じであればいいなと、思う。]


[私より身長も高く。肩幅も広い貴方。
肌で触れればより、そのことを実感する。

――少しムスクのような香がする、気がする。
料理長の焼きたてのパンの香りとも
庭師のおじいちゃんの土の香りとも
養父のよくわかんない魔法薬の香りとも違う。

あなただけの、香り。]


[一気にではなく、今度は形を覚えさせるように
ゆっくりと私の中を暴いていく熱に、肩を震わせ。
背が弓なりに撓るのは、怒張に貫かれる痛みを散らすため。
その後に追ってやってくる、快楽をもう私は、知っている。

それが柔らかく、優しいものであれば
体をより火照らせるものになることを
貴方が私に、覚えさせるのだ。


胎の裏側を擦られた際の嬌声を
聞きたがる指は私を何度も責め立てる。
甘い声。わたしこんな音も出せたんだ。

啼かせる貴方の表情を私はみている。――覚えていたくて。]


[私はぼんやりとした頭で発したこの言葉に、すぐに後悔することになった。
 真っ白になった頭は。
 奥深くに感じた熱によって、すぐに現実に引き戻される。]


··········ぁっ。


[人より冷たい中が、君の精液で満たされゆく。
 奥へ、奥へと。一滴残らず、注がれて。]


·············っ、······はっ。


[自身は先ほど果てたというのに、快感が止まってくれない。
 その感覚が怖くて、私は君の背中に縋る。
 助けを求めようと口を開いた瞬間に。
 
 ··········私は、甲高い嬌声をあげて、身体全体を震わせた。]



·············はぁ。


[襲いかかる強い脱力感。
 三度も絶頂した身体には、ベットに深く沈んでゆく。

 どうにか手を持ち上げると。
 薄い腹の下、先ほどまで君が入っていた場所まで伸ばしました。

 未だ自身の中で熱さを保つ精を感じようと、腹の上からゆっくりと擦する。
 その温度を確かめると、柔らかな笑みを浮かべたでしょう。]


·····ふふっ、あったかい。



········身体、汚れちゃいますよ。
·····次する時は、避妊具を買っておきましょうね。


[弱々しいお説教。
 無体に怒る気力もないほど疲れているのか、それともさほど悪いと思っていないのか。
 どちらにせよ。これ以上、五月蝿く言うつもりもなく。

 今は、先ほどの甘い雰囲気の余韻を楽しもうと
 艶かな髪に手を伸ばし、指で優しく掬いあげました。]


···········ふふっ。



[甘える君は体重を預け、身体全体で愛を伝えてくれる。
 その重みは私の腹を緩く押し、·······こぽりと白濁液を溢れさせた。]**


[出した後、荒く息を吐いては吸って整えている所。
 伸びてきた手が私の背中にしがみつく。
 何事かしらとぼんやり見守っていると、開いた口から
 声が響いた。
 甲高い……先の絶頂の時よりも、抑えがなかったそれを
 近くでぼおっと聞いて。]


[いとおしむようにはらを撫でる光景が、外から降り注ぐ
 月の光に照らされて。
 ……綺麗で、妖しく見える。
 精を十分に吐き出し終えた今だからこそ、
 客観的に、そう思うだけで居られるけど。
 そうでなかったらもう1度、けもののように振舞っていた
 のかも……と。なんとなく。]

 なんで?汚れたら洗えばいいじゃない。
 あったかいの……やなの?

[とは思いつつも、そうね。
 坊ちゃんのお身体に負担が掛かるだろう事とは思います
 精の類を腹の中に入れたままだと腹を壊すことも
 あると……そういうのが好きな客に聞かされたもの。
 坊ちゃんが避妊具の類をつけたいというのなら
 私はそれに、従うけれど。]



 たまには……あったかいのも、よくない?

[って、1度ごねてはみた。
 今の私はのしかかっているものだから、見れなかった
 今あなたの下でなっている、その菊から精を吐き出す
 背徳系な光景を……この目に収めたいもの。]


[人とまぐわうということはこういうことなのね。
 髪を梳いている指に、頭を寄せて撫でるようにと
 無言で催促しながら。
 自分の体の物を相手に受け入れさせるのは、良い気分
 だった。初めて、男でよかったかもしれないと思う程。
 気持ちよくなりながら、坊ちゃんのかわいいお顔が沢山
 見られるこの時間は、宝物のように感じた。
 しかし一連の行為は中々、疲れのたまること。
 明日は足だけじゃなく、腰もだるいまま過ごすかもと
 ぼんやり思う。……肉体労働が少ないといい]

[ゆるくキスを落として、自身の心の昂りも平常に戻りつつ
 ある。お互いに身体を清めたりなんだりして。
 もう夜も遅いから、私眠くなっちゃったって。
 「一緒に寝ましょう」なんて誘ってたのに、
 貴方はのってくれたのかしら。
 ベッドに身体を横たえて、さぁ寝るかというところで。
 ふと思い出したように]



···嫌では、ありません。
むしろ、あの。···好いから困るといいますか。


[嘘がつけない性格は、ベットの上でも変わらず。
 視線を横へと逸らしながら、口ごもりました。

 機能通りに、少しずつ外へと排出される精。
 温かな感覚が逃げてゆくような物寂しさ。
 その感情に、愛おしい人からのお願いが加わると。]



····では、たまには。


[君の望む通りの答えを返したでしょう。]


[くたくたになった身体を支えて貰いながら。
 自室に備えつけてあるシャワーで、身体を清め

 互いの体液で汚れたシーツは
 軽く濯いで、適当な場所に掛けておくことにしました。]

[綺麗になった身を横にする。
 一緒に寝る提案については、すんなり受け入れます。
 自分も君も明日に備えて、しっかりと休めるべきでしょうから。]


········おやすみなさい。


[その言葉を口にして、瞼を閉じようした時に。]



[あの時に言えなかったプロポーズの言葉を口にすると。
 君の左手を、私の両の手で包み込みました。

 愛情を示す薬指の輪は、
 あんなに熱い夜を過ごしたというのに、溶けることもなく。
 君の元で煌めいていたでしょう。]


[幸福を充分に噛みしめた後に、
 また気が早いことを口にしました。]


·····純白のドレスに興味はありますか?
ロイエさんに似合うと思うんです、きっと綺麗でしょうね。


[もし君が悩んでいるようなら、こう続けます。

 一度きりの人生ですから、
 周りの目を気にしていたら、勿体ないですよ。]**



 あら。

[良いと来るのね、と内心驚いた。
 ただでさえ坊ちゃんの体温と、温かさが違うものが
 からだに入るのだから、むしろ嫌なのかと思っていた
 けれど。
 ……好ましいなら良い事ねとにっこり笑う。]

 たまにの時は暖かくしてあげる。

[要求を飲んでもらえたのに機嫌が良くなって。
 偉そうなことも言った。]


[力の少し抜けた坊ちゃんはちょっと重いのねって知る。
 坊ちゃんって、お店だと……座っていたのばかり
 見ていたからかしら。
 今肩に担いでいるのより、小さく見えていたのだけど
 見る機会がお店よりずっと増えれば、
 殆ど背も私と変わらないちゃんと格好の良い男の子
 っていうのがわかって、……少し見直す。]

 坊ちゃんって、可愛いけど
 たまに格好いいのね。

[脈絡もなく話してから、バスルームへ。
 きっとこういう風に見返す時が、今後も増えるのだろうな
 ……なんて思う。
 お店の中ではなかなか見れなかった部分も、
 見れ、知れるようになるのでしょう。お互いに。]

[おやすみなさいの後、寝しなに告げた一言で
 眠りにつこうとしていた目が大きくなったのが見えた。]


[まだ溶けてなかったのねと、指輪を見る。
 百合の花もまだまだ咲き誇っていた。
 いっそずっと溶けなければいいのにね、なんて
 坊ちゃんの少し冷たい手に包まれながら、
 指輪がきらりと、金属より柔い光りを返すのを見る。
 紆余曲折経て正しく愛の絆を結ぶものとなったそれを。]


[そして現在。

夢想の中にいた彼女は。質感のある本物として、己が腕の中で乱れてくれている。そうだ、こういう姿が見たかったんだ。

いつもは香草と古本が混じった様な素朴な香りを纏う彼女から、甘い雌の香がする。]

…………は 、
リッキィ、ちゃん、かわいい…………

[眼鏡の奥、涙の膜の向こうから意識が途切れそうになってもこちらを見つめ続ける彼女が可愛くてしょうがない。

「他の男とはこういう事しないでね、俺だけ覚えてほしい」
なんて、身分不相応な考えが過ぎったりしたけれど。口に出してしまってはいないだろうか。]


[なるべく時間をかけた行為も、互いの限界が近づいてきて終わりを告げようとする。]

リッキィ、ちゃん、そろそろ、もう、

[果てるのが近い事を告げて、然し今度は彼女も果てるまではどうにか持ち堪えた。
胎動に合わせて、こちらも2度目の精を吐く。]

――……はぁ、
お疲れ様、リッキィちゃん。
……気持ちよかった、ねえ。

[脱力した彼女の髪を撫でる。目に留まったのは、彩る蝶。……なんとなく、自分の色味に似ているようなと今頃思って。]

このまんま俺の色に染っちゃえばいいのにな。

[聞こえてるかどうかは分からないけれど。高い所にある願望を呟く。]


[事後処理をして、多幸感に埋もれた頭で自室の布団で一緒に微睡んだ後。



――完全に冷静になった俺は、
目覚めた主人の前で土下座をしていた。]*


······可愛いは、余計です。


[シャワー室の温水を浴びて、昂りの収まった頭で考える。
 やはり目の前の君は自分と同じ男性なんだな、と。]


ロイエさんは、···やっぱり綺麗ですね。


[男らしい背中に視線を向け、頬を緩ませました。

 布を一枚脱いだ先に、
 こんな魅力的な姿があるなんて、知りませんでした。

 もし関係性が変わっていなかったら。
 一生わからないまま終わっていたんでしょうね。

 がむしゃらな想いを君に伝えて良かったと、改めて思いました。]



[あっさりと戻ってきた返答に、
 余計なお節介で良かったと、笑みを浮かべました。]


別に、私は指をさされても気にしませんよ。
······私が選んだ、最愛の相手ですから。

でも、そうですね。
着てくれるというのなら、見てみたいです。

今度の休暇に、一緒にドレスを見に行きましょうか。


[もうしかしたら、この先
 君の秘密を知っているのは私だけになるのでしょうか。

 そう考えると、優越感で満たされて。
 君の身体を引き寄せ、優しく抱きしめたでしょう。]



[式は、
 二人きりで執り行う予定でしたが、気が変わりました。

 皆さんに君の晴れ姿を見て、自慢してしましょう。

 この綺麗な方が、私の婚約者ですよ、と。]**


[カコが煙との仲を尋ねれば、時々声をかけてもらったと
 ジャーディンは答えた。
 世渡り上手な煙のこと、水商売には不向きに
 思えるジャーディンを気にかけていたのだろう。

 何時ぞや、彼に『優しくしてあげてね。』と
 頼まれた言葉を、思い出しもする。


  ええ、そうね。
  “すごく良い子”のところに行くことに決まったと
  言っていたから、本当に良かった。

  主の外出にも、煙自身帯同できそうな
  口ぶりだったから。
  ジャーディンも、そのうち何処かで
  会う機会があるかも知れないわね。


[カコ自身、同じ心算だと言外に仄めかす。]


[カコは、人は嘘を吐くものだと認識している。
 その時々に応じて、必要なものでもあると。

 使用人であるジャーディンと食卓を共にしたことを、
 「いつもこうしている訳でない」と言いはしたが。
 二度目三度目がないとは言っていない。
 そもそも嘘ですらないから、宣った顔は素知らぬもの。

 他の買い手がつく前にと、性急に彼を買い上げはしたが、
 自邸に囲った今は、何を急くこともない。]


[求めに応じて、ジャーディンは自らの下衣を
 滑り落とし、未だ貞操帯で拘束されたままの
 下半身を晒す。
 燭台の鈍い光の下、浮かび上がるのは、
 白い膚を男根まで、交差する革ベルトで
 戒められた彼の姿。

 それは、カコの美意識に照らしても、
 扇情的といっていい光景だった。

 カコは椅子に腰掛けたまま、彼の方へと、
 僅か身を屈めた。]


[ジャーディンの局部へと躊躇も見せず顔を寄せ、
 淫靡な拘束具を、間近でしげしげと検分する。]


  お客様から要望があったから、性具の類も
  多少仕入れたことがあるけれど…

[囁く度、戒められた彼自身を、カコの吐息が擽る。]


  ……ふぅん、こうなっているのね?

  初めて見るわ。

[実際なかなかに興味深かった。
 ジャーディンがパルテールから持ってきた服を
 この邸宅で使うことはないと言ったけれど。
 “例外”があってもいいかも知れないと、内心で思う。]


[そうしてふと、視線だけをジャーディンの顔へと上げて]


  ……ああ、そういえば。

  さっき言い忘れたのだけど。
  貴方の部屋、私の部屋の隣よ。


  呼んだらすぐに、来てもらえるように。
  人の気配がした方が、よく眠れることもあると
  言ったでしょう?


[思い出したかのように、配置の理由を付け足した。]





  この家の使用人は皆、家の資産だけれど。

  ───貴方は、私個人のものだから。

[縦に這わされた革ベルトをつっと撫で上げ、
 カコは囁く。
 彼自身には触れることのない、淡い接触。]


  ……否があるなら、今のうちにどうぞ?

[薄く笑んで、ジャーディンに言い渡す。
 形としては意思確認だが、聞き入れるかは別問題だ。

 細い指先で辿った先、南京錠を外すと、
 彼を解き放った]**


[余計だと言うのに笑って見せた。
 可愛い子に可愛いって言って何が悪いの?と
 開き直りながら。]

 なぁに?

[私の背中に目を向けたのに、怪訝げな疑問を投げかけた。
 もし私の男らしい部分を見て
 綺麗だと思っているのだと知ったら
 暫く、頬を膨らまして不機嫌を振りまくから。
 だから、そこは心の中でだけ思っていると宜しい。
 思うだけなら自由だし、口に出さなければ
 私が眉をしかめることもないのだろうから。]


 私"が"、気にするの。
 それに、パンツスタイルは苦手……

[体の線が出て男らしくなっちゃうから、
 と拗ねるのも程々にして。
 私の"秘密"については
 貴方が思っている通りになると約束してあげる。
 屋敷の中でも、そうでなくても。
 貴方とのデートの時も、私はずっと女装で居るだろうから
 貴方以外に男とばらす気は毛頭無いの。]

 うん、見に行く。素敵なのを買って?
 というか坊ちゃん……、くすぐったい。

[抱きしめられた時に、頬やなにやに髪の毛のふわふわが
 当たったのに、こそばい気持ちになって
 そんなことを呟いた。]


[常に、誰に見られても男と分からないように。
 精一杯おめかしをして。
 指の先まであなたの妻に相応しい振る舞いをしましょう
 並の女より綺麗なわたくしを、皆様に見せてやって
 坊ちゃんに羨望の目を向けさせることが
 責務であり、私のやりたいことでもあり……
 私を見初めて、金を出して買って
 地位も愛も物も与えてくださった坊ちゃんに
 奴隷出の私が出来る、最後の恩返しだと思っている。]**


 
 
  そうなんですか、一緒に外出を……。
  ……僕に、会う機会が?
  
  
[外に出してもらえるということだろうか。

 とはいえ、自由な外出を許されても、
 ジャーディンが独りで外に出ることはないだろう。
 
 外は恐ろしいところだ。
 奴隷であると見抜かれれば、
 犯されても殺されても文句が言えない。
 
 もっとも、主人と共に、という話であれば
 気後れしながらも同行はするだろう]
 


 
[ジャーディンは人をなかなか信用しない部分があるが
 だからといって常々嘘を疑っているわけではない。
 
 彼女が食事に関して告げた言葉に
 今後どうするつもりかの含みがあるかどうかまで
 考えてはいなかった。

 下半身の貞操帯を露にしてみると
 彼女はしげしげと視線を送る。
 
 初めて見るという言葉で、彼女が
 こういった遊びをしないのは改めて実感した]
 


 
[部屋の配置を主人の隣と聞くと、
 ジャーディンは目を丸くする。
 
 もっともな理由のようには思われたし
 奴隷の部屋を隣室にするのにも
 彼女は抵抗感がないのだろう。

    ・・・
 だが、寝室に呼んだらすぐに来てもらえるように、
 ということは――]
 


 
[ジャーディンが想像しかけた内容を
 裏付けるような言葉が告げられたが、
 今更何が否でもない。
 
 一人の主人に買われるとは
 その人に何をされても許さねばならないということ。
 
 ただ、彼女にはそのつもりが無さそうに思えたから
 それが意外に思ったのだ。
 
 彼女は、彼女がいいと思ってくれる相手が
 いいのだろうと思っていたから
 


 
 
  ……いえ、僕はカコ様のものです。
  如何様にでも、カコ様のお好きに扱ってください。
  
  
[性器を包む革ベルトを撫で上げられると、
 ジャーディンは僅かに身体を震わせた。

 錠を外され、貞操帯も外される。

 その解放感よりも、
 今ここで何かをさせられるのか、
 その不安のほうが先立った。
 
 それでもジャーディンはそのままの姿で待った。
 
 衣服を着ていいとも、
 性器を隠していいとも許可は出ていないから]**
 


[自身で性的な意味で触れたこともない場所。
それを暴く男の象徴は、熱く激しいものなのだと
教え込まれるのは体にか、心にか。

無垢を馴らし淫らにさせる男が腰を打ち付けながら
嬉しそうに笑んでいるのが見える。

ああ、可愛い。

お互い、同じこと思っているのね。]


[初めての絶頂は、頭の中が空白になるよう。
脱力の前、再びスキンに遮られ芽吹かぬ飛沫が
奥にたたきつけられるのを感じた。

次いで私の意識を攫おうとする微睡みに
弛緩した肢体のまま抗っていれば。
貴方の本音がぽつりと、聞こえた。


――そういうの、意識がしっかりしている時に
渡しに向かい合って言えばいいのに。

貴方は本当に、本音を隠しがちね。

撫でる手にもたらされた再度の睡魔に抗うすべは持てず。
諸々の後の世話をしてくれたと知ったのは
再び微睡から意識が引き上げられてから。]


[そこで見たものは。]


 ・・・・・・・・・・・・・。


[私は無言で彼を見る。
甘い言葉でもなく、熱に浮かされた瞳でもなく。
触れる手でもなく。彼が最初にしたのは土下座だ。

甘かった余韻も吹っ飛んでいる。

事後って土下座から始まるものだっけ?
私は脳内で友人に問いかけた。
当然、答えは返ってこない。]


 煙さん。


[私はじっと彼を見る。]


 後悔してますか?
 私は、していません。

 後悔していないのなら、顔をあげてください。


[命令です。と、言った方が
貴方も本心を吐露しやすいでしょうから。
土下座はまずは、やめましょう。ね?*]


…………やっちゃったあ…………

[リッキィが目覚めるより少し前。先に覚醒した己は、隣で恋人のように眠る彼女の寝顔を「可愛いなあ」と眺めていたのだが。

俺なにやってるんだ。

我に帰る。向こうから好意を持たれていて、かつ合意の上で及んだ行為である。そこには何の問題もない。

……自分と彼女の関係が、「主人と従者」以上のものではないという事を除けば。

まず元々は犯罪者で奴隷の身である、というのは置いておくべきではないとしても置いておくとして。勢いで先走りすぎた。普通こういう事ってちゃんとした関係作ってきちんとした相手とするものじゃないの、いやリッキィちゃんが俺以外の男に靡くの嫌だが。下手したらクビになるどころか養父に殺されかねないんじゃないか……などなど、自責の念に襲われる。]


……ほんっっとうにゴメン……調子に乗りすぎました……

[そんな訳で真っ先に移した行動が土下座である。

恋も性愛もあまり詳しくない主人相手に一足飛んで性行為って。身分的に許されるのかどうかは知らないが、できたら、正式な仲になってから行うべきであった。自制の効かなかった己を、今全力で恥じている。]



……………はい。

後悔なんて、してる訳ないじゃん……俺ずっとリッキィちゃんと「こういう事する仲」になりたかったし……

ただちょっと、段階踏むべきだったなって……

[珍しく咎めるような声色、だけど。怒っているのは多分今、こうなってる事に対してであって。先程まで睦み合っていた事ではないのだろう。

彼女から命じられたので、顔をあげて応える。]


そういうお店で働いてた俺が言うのもアレだけど。こう……普通は恋人同士になってからする事じゃない。

……お義父さんに知られたら俺クビになるか殺されるかしちゃわない……?大事な義娘さんに手ェ出しちゃったし……

嫌だよ俺、リッキィちゃんと離れるの。

[情けない姿晒してるなあ、今更か。
本能のまま、欲望を隠さずに触れ合った後なのだし。

事後にこんな弱音を吐くだなんて、呆れられてしまっただろうか。]*



わかりました。
あなたがそうしたいとならば、その通りに。


[妻のことを支えるのが、夫の役目。

 君の秘密は最期まで持っていく。
 誰に問われても、真実を口にしないと誓いましょう。]


せっかくなら、遠方のお店に足を運びましょうか。
そうすれば、たくさんのドレスを見比べられますし、
·········ロイエさんと一緒にいる時間も、増えますから。


[ぎゅっと抱きしめ、さらさらとした黒髪に顔を埋めたら、
 私と同じシャンプーの香りがしました。]


[明日から君が学ぶのは。
 掃除や洗濯の仕方ではなく、マナーや基礎的な勉学。

 リュミエル家の人間になるのですから。
 その立場に相応しい振る舞いができるよう、
 しっかりとサポートさせて頂きます。
 
 先生は厳しい方なんですよ。
 後悔しても、取り消しは効きませんからね。
 なんて、先ほどの言葉を返しました。]


···疲れたり、苦しくなったら。
いつでも私の傍に戻ってきてください。

私自身が、
ロイエさんにとって一番安らげる場所になれるよう、精一杯努力いたします。**


[なるほどなるほど。

私は彼の様子を見ていた。
勿論全裸、というかシーツを巻いてではあるが。

私は彼の言い分を聞いていた。

調子に乗ったの意味が分からなかったが、
話を聞いて理解した。
つまりは段階すっ飛ばして懇ろになったことを
後悔しているわけだ。

後悔の理由は本能に流されて
そこに情がなかったわけではないのはひとまず安心した。

想定外のことが起こると、男は混乱し
女は冷静になると教授が言っていたけれど
大体あっている気がする。今この時とか。]


 言い分はわかりました。

 ……こういう関係性を建築する前に
 諸々過程を踏んで周囲から排斥されないための
 布石を打って、自身がこういう関係になっても
 私と離別しないよう関係を整えてから
 事に及びたかったけれどついやっちゃった。
 本能に負けた。というやつですね。

 私にそこまで魅力があったとはというのには驚きましたが。
 そうですねぇ。

[ふむふむと言葉に出しながら要点を整理すれば。
まあ、なんと。

私はとりあえず。顔を上げた彼と同じ目線になるよう
軋む体を動かした。
そのままよしよしと頭を撫でれば、巻いたシーツがずれて
少し際どい格好になったが、そこは気にしないでほしい。


 煙さんは、余裕がなくなると
 とても可愛くなるのはわかりました。

 ま、過程をすっ飛ばしたのは互いの需要と供給の結果なので
 この関係性をこれからどうするか。という方に
 考えを進めましょうか。

 このまま私が婿をとらずに独身でも
 養父はさほど気にしないと思うんですよね。
 私自身も養女ですから。

 離れたくない、を第一にするなら
 このまま主人と従者の関係性で継続で事足ります。

 従者と肉体関係を結ぶ主人は、私の友人にもいますしね。
 こちらは同性同士ですけど。
 
 ――……。


[私は彼を見る。
じっと、みている。]


 で。煙さんはどうしたいですか?
 このままの愛人のような関係性の継続でいいのでしょうか。

 私の意見を聞きたいのでしたら
 先に煙さんが今後どうしたいのか
 教えていただきたいと思いますが。いかがでしょう。


[とても冷静に話している。
頭をよしよしと撫でながらである。

――まぁ、言ってしまえば私はこう思っていたのである。]


[攫って逃げる、或いは順番逆でも
認められるように頑張るから一緒にいてくれ。

……というには、まだいっぱいいっぱいなんでしょうねぇ。

なら、現実的な選択肢を見せつつ
貴方に落ち着いてもらって今後を考えましょう。

なお、乙女部分としては甘い空気を楽しみたかったのは事実だが。
こうして慌てるくらい自分は愛されているのかと知れたのは。

実は結構、うれしい。*]


 遠くの?なら、歩きじゃなくて馬車がいい。
 普通の馬車、乗ってみたい。

 いいわよね?

[期待を込めた目で、そちらに視線を向けた。
 馬車なら足も疲れないし。
 奴隷運び用でないのは、揺れもさほど酷くないでしょう。
 荷物もいっぱい置けて、運べるんじゃないかしら。]

 それに、移動中もゆっくり話せるもの。
 いっぱい色んな話が出来るわ。
 あなたのでも、私のでも……

[どうせ一緒に居るなら、ゆったりした時間を過ごしたくて
 2人きりのがいいとも、抱き締め返してごねた。]


[厳しいと言うのに、ふふんと鼻で笑う声。]

 マナーはね、
 パルテールでも複雑でないのは、教えて貰えたから。

[自信があるのと布団の中で胸を張った。
 ……実際、教えがどこまで通用するかは知らないけど。
 お勉強もあると言うのは聞かなかった振り。
 そっちは、全く自信が無いわね。
 走り回って家の手伝いをしただけの幼少期だったし。]

 わかんなかったら坊ちゃん自らが教えてくれるものね。
 ね?そうよね、坊ちゃん。

[眉を下げて上目遣いで肯定されるのを待った。
 坊ちゃんとお喋りしたり触れ合う時間が、
 私の1番の安らげる時間。
 勉強が出来ないのにかこつけて貴方を先生と呼んで、
 教えて貰いながら少しからかって遊ぶような
 そんな時間も、未来にはあるのかもしれない。]


[私からは、言いたいことも言ってしまった。
 笑いが収まれば、坊ちゃんのからだに腕を回して、
 冷たい肌を感じながらじっとしていて。
 そうしていると徐々に眠気も出てくる
 もう寝れそうと思いまぶたを閉じる前、
 あぁそうだと閉じていた口をまた開く]

 言い忘れてた。……おやすみ、フェル。**



そうだよ……

なあに、自分に魅力ないと思ってたの。俺にとってはずっと魅力的な女の子だったよ。

[冷静に、状況を整理して判断してくれる主人の聡明さに感謝する。

布石を打ちつつこういう関係に「なれたらいいな」とは思っていたけれど、掴めると確信しなければ伸ばさないつもりだった。本当は。

流れゆく雲が如く、天命に任せて生きるのを是としてきたから。そんな自分が欲してしまったのが、彼女だ。

腕を伸ばされて、撫でてくれる手が心地よい。どうしても際どい所に視線がいってしまうけれど、そこは許してほしい。]



可愛い、よりはずっと格好いいって思われたいんだけどねえ。今更だね、もう。

あ〜……あの時買われてったあの子、そういう仲になってたんだ……彼女、女の子の方が好きって言ってたし。幸せそうならよかった。

[一回り近く年下の女の子に、こうやって甘やかされている時点で恥や外聞はもう気にしない事にした。

もっと甘い雰囲気とか作れればよかったのだけど、所詮は技芸を覚えこまされた童貞の身である。慣れていないのは、結局お互い様。]


[じっと見られる自分は、裁きを待つ罪人のよう。]



……従者兼愛人、でもまあ。俺は文句言える立場にないからいいけれど。

欲出していいなら、恋人になりたいし、あわよくば結婚したい。

堂々と貴女を愛でてもいい存在になりたいよ。

[素直に、今後の展望を告げた。
その日を生きるだけの最低限の欲望だけを持ち合わせる主義だったけれど。彼女相手だとそうはいかなくなってしまうみたいだ。

幸福な未来を求めたくなる。

撫でられて少し落ち着いてきたからか。こちらからも腕を伸ばして彼女を抱きしめる。密着する体温と、柔らかな感触が心地いい。]


 私、貴方だから良いと思ったの。
 憧れが強くて、まだ、胸の内でぽつぽつと
 灯り始めた感情に名前をつける前だったけれど。
 
 それでも、私が選んだのは貴方なのよ。

 煙さん以外の花嫁になるなら独身貴族の方がいいわね。
  
 だから、養父への説得。
 一緒に頑張りましょうね。


[ぽんぽん、と己を抱きしめる彼の背中を撫でる

でも、可愛いより格好良い。というのは
事後のあれそれを見た結果。
――そう思うためには大分時間がかかりそうである。

だって今もほら、可愛いし。]


[それに、彼にとって魅力的な女の子であったことを
知れたのは思わぬ収穫である。

というより、手玉にころっころとられていたような気がするが。
いや、寧ろ暖簾に腕押しというか、
1つ1つ、布石を打ちながらも
敢えて端を掴ませないように煙に巻いていたというか
そのような気配を感じ取ってはいたけれど。

こうしてみるとロマンチストであり、外堀を埋めようとして
結局流れに身を任せるタイプだったと知った。
ギャップ可愛い。
私はきゅんっうとした。どうやらこういう性格が
私の性癖だったようだよ、友人よ。]



……ありがとう、選んでくれて。
俺だけのご主人さま。

説得についてはまあ、得意だから任せておいて。外野からなんか言われるかもしれないけど。そういう奴らは言わせとけ。

[いざって時に頼もしい一面もあるんだなあ、と。抱きしめられながら思う。

リッキィに選ばれてよかった。

流れるままに身を委ねて、しかし幸運を掴み取る手は迷わないように。

……それを教わったのも、『師』の元でだったか。
白い光に照らされた時よりも深く、育ての親へ感謝している。]


[その日生きる為の最善手を打つため、確信が無いならば踏み出さない様にしてきたけれど。こういう事もあるならば、たまには冒険も悪くない。

初めて出会ったその日から、好かれているとは思っていたけれど。未来を紡ぎ出せる関係になれるかは未知数だったから。それとなく誘導してみようか、と思った事もあれど。結局のところ、選択をしたのは彼女の方だ。

真っ直ぐな所も、少し抜けている所も、けっこう欲張りさんな所も、意外と頼もしい所も。余す事なく好きだと思った。そういう子に、恋をした。

数奇な天命によって与えられた幸運だというならば。噛み締めようじゃあないか、存分に。]



元々そのつもりでしたから、構いませんよ。


[せっかくのお出掛けならお洒落もしたいでしょうし。
 動きやすさを重視して、好きな服が着られないのは勿体ないとも語りました。]


立場が立場ですので。
護衛のいない遠くへのお出掛けは、良い顔はされないでしょうが。
夫婦水入らずがいいと私が言えば、従者たちも引いてくれるでしょう。

私も二人きりがいいですし、···お任せください。



[自信満々な姿に子供らしさを感じて、
 自然と笑みが浮かんでしまいました。]


ふふっ。
では、マナーは大丈夫ですね。

簡単な読み書きが出来れば大丈夫でしょうが、
······綺麗に字を書くのって、結構大変ですよね。


[厳しく教育された幼少期を思い出し、苦笑したでしょう。]



あなたの頼みなら断れませんね。
仕事柄、読むのは専門内ですが、
······ただ、誰かに教えたことはないので、お手やわらかにお願いします。


[その時は、紅茶と甘さ控えめのお菓子も用意しましょう。

 お店の中では味わえなかった色んな種類のものを並べて、
 たまに話しながら過ごすせば、
 堅苦しい勉学の時間も、心地よいものへと変わっていくでしょう。

 ·····楽しすぎて勉強が疎かになりそうですが、
 それはそれ、これはこれ、ということでお目こぼしください。]



[様がついてない、素のままの名で呼ばれたのは初めてのこと。
 関係性が変わったことを沁々と実感し、
 満たされてゆく幸福感、今日はよく眠れそうです。]


··········おやすみ、ロイエ。


[明日が来るのが楽しみなのは、君のお陰。
 心の中で感謝を告げると、愛する人を腕の中に抱いたまま、瞼を閉じました。]**


[己の髪に顔を埋める様子は、なんだか大きな子供みたい。
可愛いなぁと、背を撫でる。

びっくり、の後はどんな気持ちなのかしら。
聞いたら貴方は動揺しながら慌てそうで
そんな想像すら、楽しいものだ。]

 
 わぁ、流石煙さんですね。
 まあ私の知り合いといえば割合逸般人多いので
 多分受け入れてもらえそうです。


[他人の喧騒はどうでもいい性格な私にとって
気にするのは養父や友人らの反応くらいしかない。
説得を任せろという頼もしい私の従者に、
お願いねと思いを込めてなでなでと更に背を撫でるのであった。]


[ちょっと落ち着いたのかしら。
――全力土下座かましていた時よりかは
しっかりと自分の意思を伝えることに
躊躇いなどを感じていないように思える。

君の中での私の評価って、どれくらい?
それをこれから探って、知っていくのも楽しそう。

憧れを恋という字に置き換えて
それが更に深まればどんな風になるのかしらね。

綺麗で、美しい人の中に見つけた
可愛らしさと性急さ、男らしさ。
そういったものを1つ1つ暴いて知っていくなんて
とても、素敵なことだわ。私にとって。]


[カコが何気なく持ち出した煙の話。
 ジャーディンから外出の機会を問われて、頷いた。]


  ええ、商品の買付や、お客様のお宅に伺うときにも、
  男手は必要だから。
  貴方に一緒に来てもらうこともあるでしょうね。


[買い手に購入品を届けるにも、商品をお披露目するにも、
 男手は欠かせない。
 パルテールからカコの邸宅はそう遠くはないから、
 何時か引き取られたドール達に、ジャーディンと共に
 街中で出くわすこともあるかも知れない。]*


[ジャーディンの従順な返答に、カコはただ微笑む。
 けれど、素肌を露わにしたまま、服を着る素振りも
 見せないジャーディンを前にして。
 つい、笑み崩れた。]


  ふふ。…何を想像したか、当てましょうか?


[敢えて意味深な仕草をとったから、
 彼が思い至ったであろうことは、想像に易かった。
 どうぞ服を着て、と付け足して]




  あのね? ジャーディン。
  私は、その他大勢のお客と同じに
  成り下がるなんて、まっぴらなの。
  当面伽を命じる予定はないから、
  安心して頂戴?

[彼がいつか、“私がいいと思ってくれる相手”と
 なる日が来れば、話は別だが。
 そうでないなら、無理強いをするのは癪だった。]
 
  もし眠れない夜があれば、私が寝つくまで、
  貴方は傍で話相手を務めるなり、
  文字の練習をするなりしてくれれば良い。
  そのうち字が読めるようになれば、寝物語に
  本を読んでもらうのもいいわね。

[彼に触れてみたいという欲求がない訳でもないから、
 気まぐれに、添い寝位は請う夜もあるかも知れない。]


[そろそろ部屋に案内しましょう、と
 カコも立ち上がる。] 


  まずは一通り、割り振られる仕事を
  こなして頂戴。
  今いる人員で回しているとはいえ、
  仕事はいくらでもあるの。

 
  あ、でも。
  園丁に付いて、庭の手入れの
  勉強もして頂戴ね。
  手を動かして何かが形になるって、
  なかなかいいものよ。


[地に足を着け土に触れ、何かを育むことは、
 それだけで気を落ち着けてくれると知っている。]




  一度ベッドに入れば、夢も見ず
  朝までぐっすり眠れるくらいには
  疲れが溜まるでしょうけど。

[とはいえ、休息は充分に与えるつもりだ。
 彼を放り出す予定も、使い潰す予定もないから。]

  貴方、若くて健康そうだから。
  何とかなるでしょう。
 
[何時か告げたように、それは
 お金でも買えない資産だ。
 誰しもが、水を吸い上げるように
 物事を吸収できる、限られた時。]**



ずっと「言葉」で仕事してきたからね。
受け入れられそうなら、良かった。
お義父さまにはまず何から言うべきかしら……

[『甘言』を用いて相手を籠絡するのは生きる手段であった。故に説得には自信がある。

まあ、あの義父なら相手が奴隷従者であろうと関係なく「義娘に恋人ができた」事を喜んでくれはするだろう。……恋人になる前に性交渉をした事は流石に看過されなそうなので、黙っておくが。]


[撫でられる心地よさに目を細めつつ。知りたがりの貴女には、己がどう映っているのだろう。

似非だろう気にせず『魔道士』を続けていたのは、その神秘とロマンに惹かれていた部分はきっとある。……ロマンチストという評は、あながち間違いでもないのだ。

探求者として、美しくある貴女。
そんな貴女が己を見出して選んでくれた事実を光栄に思う。

羨望はきっとこちらにもあったのだ。いつでも深く遠くを見据えた輝く眼差しは、己には持ち得ないものだったから。]


[その後どうしたか、はさておき。

養父が戻り次第、彼へ「義娘さんの事でお話があります」と説得(あいさつ)へ向かった事だけは確かである。]**


 

  なるほど、荷物持ちですか。
  あまり自信はありませんが……
  頑張ってみます。


[ジャーディンは肉体労働の経験が薄い。

 荷物持ちとしてどれだけ役に立つかは不明だが
 人手が増えればいいだけであれば貢献するだろう]*
 


 
[何を想像したかと言われると、
 ジャーディンは表情を歪めてうなだれた。
 
 不適切なことを思い浮かべたのかもしれないと思い、
 それを責められたように感じたのだ。
 
 服を着ていいと言われ、急いでズボンを上げる。
 補足とばかりに彼女の言葉は続き
 
 
  ……その他大勢の客。
  
  
[誰にとってのその他大勢であろう、と
 ぼんやりと考える。
 
 伽とは性的な意味で夜を共にすることだろうかとも]
 


 
  
  眠れないとき、傍にいるのが
  僕でいいのですか……?
 
 
[さして話がうまいわけでもない、
 というのがジャーディンの自己認識だ。
 何がそんなに彼女の気に召したのかもわからない。
 
 もし添い寝を求められたなら、
 ただ隣で眠るだけの行為に困惑するだろうが
 何度も繰り返せば良さを理解することもあるだろう]
 


 
[ここで過ごすこれからの日々のことを
 彼女に告げられたが、ジャーディンにとっては
 あまりにも漠然としすぎていた。
 
 明日から始まる新たな日々には
 その度に驚き、不安を感じながらも、
 少しずつ喜びを見出していくだろう。
 
 奴隷の身でありながら学びを許可されることに
 感謝の念を抱く日もそう遠くはないだろう]
 


 
 
  夜はぐっすりと眠りたいですね。
  眠れない夜はあってほしくないです……。
  
  
[それがどれほど不安で孤独なものか、
 ジャーディンも経験したことはある。

 パルテールでは無かったとはいえ
 他の場所ではそういう時間を過ごしたことがあった。
 
 身体の痛みに耐えかねて眠れずにいる間
 辛い思い出ばかりが頭の中を巡っていたことが。
 
 それが無いだけでもパルテールは幸せな場所だったし
 この先もずっとそうであればいいと思う]
 


 
[だが、これから彼女の元で新しい生活を送り始めれば
 まだ見ぬ幸せの形をたくさん知ることになるだろう。
 
 そして己の知っていた世界の
 なんと狭く薄っぺらいことかを知るだろう。
 
 その頃には自由も恐ろしいものでは
 なくなっているかもしれないし、
 逐一不安に苛まれることもなくなるかもしれない。
 
 まだ訪れない日々で何が起きるかは未知数だ]
 


 
[立ち上がった彼女の後に付き従いながら
 ジャーディンは屋敷の中あちこちを見回す。

 室内、廊下、どこを見ても目新しい。
 これからここで暮らし続けるのだと、
 実感はまだ湧いていなかった。

 寝て覚めたら別の場所にいるのではないか。
 そんな気さえするのだった]**
 


 話術、ってやつですよね。凄い。
 うーん、何から。というとまずは
 関係性の許可、からとか……?


[流石に私も初めての経験である。
養父にどう説明していいやら。というか
親への紹介とかどうやるんだろう。
どちらも経験不足なので得意そうな煙さんに任せたい。

流石にこうなる前に一線超えたことは
養父には黙っていよう。
そこはお互い考えが、一致した。

互いに、自分が相手にどう映っているか
気にするところは似た者同士ね。

ロマンチスト上等。可愛いわ。
触れて、交わって知る貴方の一面は
私の中の探求心を疼かせるのに十分で。]


[彩雲のようなあなた。長い曇りを映した髪が、
近づいたときに肌に触れる感覚が心地よい。

こうして言葉を重ねてくれる
丁寧なところも。細やかなところも。
渡しにはない、貴方の良いところ。


そんなあなたが好む姿が。今まで通りに
興味あることにのめりこむ私の姿なら。
これまでと変わった関係性も。
傍目からはあまり変わらぬように見えるのだろう。

メタ・モルフォーゼ
……友人曰く、一度経験すればおもいきり変化があるとは、いうけれど。

貴方の変化には陶酔するくらい惹かれるけれど。
私はどうかしら。
誰かに選んでもらうのではなく
自分の欲をきちんと伝えてくれるようになったあなた]


[その後の話。
彼が養父と話している間。
私は自室で爆睡していた。


養父が、彼氏できたっていうのに
挨拶任せて部屋で爆睡しているなんて……。
うちの娘がなんかすまん。と逆に恐縮していたが
睡眠に勝てなかった理由は今後日の目を見ることはない

……はずだ、きっと。**]


お義父さまの許可は必要よねえ。
あと、婚姻関係を結ぶにあたって必要なもの……元奴隷だったけど今は違うから、大丈夫なのかしら。今度確認しに行きましょ。

[相槌を打ちながら今後について提案を出してくれるのはありがたい。お互いに初めての事だらけだから、一緒に先へ歩んでいける事。

それがこんなに嬉しいだなんて、知らなかった。

『今日』ではなく『明日』を考えて生きる事は、貴女から沢山学ばせてもらおう。

「魔道とは探求なり」と教えてくれたのは『師』であった。これからも、探究の道は形を変えながら続くだろう。]


[その麦穂の色も、透き通った瞳も、知識に貪欲な性格も、全部。己を通して、彼女が自身の魅力に気がついていってくれると良いなと思う。

……だけど、魅力的になりすぎちゃったら。周りの人間が放っておかなくなっちゃうかも。

まあいいか。最初に彼女の魅力を見出して、磨き上げる一助になったのは俺だし。周囲がリッキィを素敵な女の子だと気づいた時には、隣で微笑んでやればいい。
「あたしの恋人、素敵でしょう?」
って。

あなたたちの知らない場所で、美しく咲くようになったのよ。他でもないあたしの手でねって、誇ってしまえ。]


[
申し訳なさそうにしている義父の前で、「起きてこないのは俺のせいなんですけどね……」を内心秘めつつ。

思っていたよりもずっと承諾を得るのは難しくなかった。義父としては、立場よりも何よりも義娘の選んだ相手を尊重してくれる姿勢らしい。]

ありがとうございます。
……不束者ではありますが、
絶対に幸せにします。

[深々と頭を下げた。]*


 書類とか身分上のあれこれとか
 考えたこともなかったから確認大事だね。

[養父と同じく独身貴族状態のまま
人生終わると思っていたものだからね。
いわれて気づくあれそれや。

彼の言葉に頷き、必要なこと、手続き諸々
考えながらピロートークは続く。

魔法に関しては興味深い「人」を見つけても
貪欲なまでに興味は削がれないのだから
成績が落ちて云々まではなさそうなのは安心だ。

何せ、興味深まる相手も魔法使い。
1人ではなく、2人で学べればよい。
その間に互いに深みにはまっていけば、尚。]


[自分が魅力的になるとしたら
彼に磨かれるからであろう。

――隣で笑む貴方の魅力は、
周囲も誑かしそうな気がするのだけれど。

その時にはこっそりと
こんなに素敵なのに可愛いところ、あるのを
知ってるのはきっと私だけねと
心の中で思うことに、しましょうか。]


[ところで。
爆睡から目覚めた際に、養父と顔を合わせたとき。
言われた言葉がこちらになります。]


「お前、愛想つかされないようにな……。
 挨拶くらい2人できなさい。
 眠かったのかもしれないけどさぁ。
 1人でいかせるのは、な?」


[うんうん頷いた。完全同意である。
私も、気を付けよう。これからね、これから。
心配かけてごめんね、お父さん。*]


− 私と君 −

[謹啓 若草が萌えたち春も深まってまいりました
 皆様におかれましては益々ご清祥のことと お慶び申し上げます

 このたび 私たちは結婚式を挙げることとなりました

 つきましては
 日頃お世話になっている皆様のお立会いのもと
 人前結婚式を行いたく存じます

 皆様には証人としてお立合いいただき
 二人の門出を見守っていただければ幸いです

 挙式後はささやかではございますが
 心ばかりの粗宴を催したく存じます

 ご多用中まことに恐縮ではございますが
 ぜひご出席をお願いしたくご案内申し上げます]



[招待状を各所に送ったのは、ひと月ほど前のこと。
 その間に様々なことがありました。]


[まず始めに、ロイエさんのこと。
 突然、当主が婚約すると出自不明の人を屋敷に招いたことにより
 大なり小なり、屋敷の中で混乱が起きました。

 『田舎の出の人で、
 店で出会ったのをきっかけに仲良くなり、最近は逢瀬を重ねていました』
 君の人となりを嘘をつかない範囲で説明し、   
 あの時に誓ったように、奴隷の出で″男性″である事実を隠し通しました。

 初めは不審がっていた家従たちも
 私の説得や、彼女の頑張りを見守ってくれたようで。
 なんとか、皆が婚約を認めてくださった時。

 ·······嬉しさから涙が零れてしまったことを、昨日のことのように覚えています。]



[次に、私のこと。
 喜ばしいことに、最近は少しずつ体調が良くなってきています。

 今まで回復の兆しの見えなかった体質に光明が差したのは、
 君と一緒に過ごすようになってから。

 完治は難しくとも、この命を少しでも延ばすために。
 正確な治療法の解明に力を入れている最中です。

 今、分かることは
『病は気から』という言葉は本当のことだった、ということだけでしょう。]



[体調の回復により、活動時間と範囲が増えたことで。
 魔術の原理について研究に更なる熱を注いでいます。]


 [私は野望を抱えていました。]

 
[『魔法が根本が解明されれば
 才のないものでも特別な力が使えるようになり
 格差のある世の中も変わるのではないか。』

 誰もが平等に過ごせる世界は、
 現状を見ると、無謀としか言えない望みでしょう。]



[それでも、諦められない望みを抱え。

 今日も今日とて
 私の瞳は文字を追い、私の手はペンを握るのです。

 ······私がいなくなった後も、
 家従たちと、君が過ごしやすい世の中になることを願って。]



[さて、話は現在。結婚式の当日まで戻ります。

 暖かな春の陽だまりは
 まるでお天道様も私たちに微笑みかけてくれているようで。

 リュミエル邸の庭園には。
 純白の百合の花々が咲き誇り、会場を華やかに彩っておりました。]


···百合、当日までに綺麗に咲いて良かったですね。


[それらを自室兼、新郎新婦の控え室の窓から眺め、
 仕切りの向こう、式の準備をしている君に向かって話しかけました。]



[白百合と同じ色のタキシードに袖を通し
 蒼色のネクタイが曲がってないか、ほつれや皺はないか。

 それを何度も何度も、確認をして。
 また仕切りの方へと、視線を向けます。

 新婦は時間かかると耳にしたことがありました、
 特に君の場合は、秘密を守る為に
 1人でドレスを着用しなくてはいけませんから、尚更。

 だから、ここは大人しく待つことにしましょう。


         ·········そう大人しく、大人しく。]


[最初、お目通りをした時のざわつきと言ったら。
 何者かとこちらを探り見る視線に、正面から返して
 何かあっても坊ちゃんが何とかしてくれるでしょうと、
 すました顔を保っていたけど、
 説明中は気が気じゃなかった。……ばれやしないかと
 己の手の甲をさりげなく、組んで、見えづらくして]

[当然急な話だったし、認めない人も出てきたでしょう。
 そこを何とか出来たのは、ひとえに私の努力のおかげ
 ……という訳ではなくて、坊ちゃんのひたむきな説得が
 彼らの心に、響いたのでしょう。
 私は、日々講師に習い学をつけながらたまに、手伝いをと
 忙しそうにしている人達に申し出たぐらい。
 努めて人当たりよく振舞ったから、屋敷の人にも嫌われず
 に済んだ。……多分、これも私の努力と言うよりは。
 毒気のない主人に似た、心根の良い人ばかりが居たから]


[そういえば、努力……習い事の方と言えば。
 坊ちゃんが厳しいと言ったのは、全くその通りで。
 フォークとナイフの使い方から何から何まで矯正され。
 そちらはまだ、お店ので積んだ下地があったから何とか
 なった、けれど。
 勉強というのは、本当に……本当に、苦戦した。
 紙とペンと本を持たせられて、金にもならない作業に
 勤しむ時間は、あまりにも初体験がすぎて。]

 無理。やだ。疲れた。もう辞める。

[……最初のうちは呪文のように、貴方と相対する度に
 湯気たつ茶の前で突っ伏しふてては、
 貴方を困らせたでしょうね。
 お勉強の、少しづつ教えられている内容が
 理解出来るようになって来る事には。
 愚痴よりも先に、貴方に"ここは?"と教科書片手に
 教えを乞うようになったとか。]


[体調が良い日が増える度、私はそれを喜ばしく感じる
 朝は眠気であまり回らない口で挨拶をして
 日中顔を合わせればじゃれ付きに行って。
 お勉強はお仕事のない日は、一緒にお出かけをして
 夜は、たまに愛し合ったりなんかもしながら、
 同じベッドの中でおやすみと囁く。
 お店より穏やかなのに、何故かお店の頃より刺激的に
 感じる、尊い日々をすごしていた。
 貴方におやすみとおはようを言える日が、
 長く続きますようにと、願わずにはいられない。]


[願いはあれど、私に野心や野望のたぐいはない。
 人のために何かを成し遂げようという高尚なのは
 なお……生まれてこの方考えたことが無い。
 だからそれを思いついて、そこに向かって努力する姿は、
 最も尊敬すべきものに見える。
 私にもそれを、触りでも話してくれた日があったかしら
 あったのなら、背中を押したでしょうね。
 「応援してる」って]

[それが私の為に役立つのだと思われているのも、
 ありがとうと笑って、否定はしないであげる。]


[過去にお母様が植えたという希望の花は、
 時期を外れてしまったけれど。
 代わりに私の好きな花は沢山。
 百合の花は大好き。垂らした頭は優美なのに、
 背はしゃんとまっすぐな所がいい。]

 えぇ、綺麗。

[着付けの最中、ふと眺めて。私も式中はかくありたい。
 むしろ彼の妻としてそうあらねばと思いつつ。
 それより先にこちらをなんとかせねばと服に視線を戻し
 また手を動かす。
 普通なら複数に手伝ってもらう所をひとりで進めるのは
 かなり……骨が折れ、時間もかかり、疲れる。
 何度も人に手伝ってもらいたい気持ちになったけれど……
 しかし、今自分の正体を知られたら、
 せっかく認めて貰えたこの話もご破算になるかもしれない
 そうでなくても、今後何かしら言われることは
 増えるだろうと思うと、やはり気は進まなくなり。結局
 式には間に合うようにと念じながら一人作業を進める。]



 やだ、見ないでよ。まだ首のもつけてない。

[仕切りの間から覗き見た貴方が見るのは、
 まだケープや何やらを羽織っておらず肩や首が見える所。
 プリンセスラインのドレスだけを身にまとった姿。
 丸みのない肩も肉薄い背中も。次いで私が振り返れば、
 普段は隠している喉仏も見られたでしょう。]

 あら、珍しい髪型……素敵よ。
 でも、そんな素敵な坊ちゃんが、
 婚前の乙女の素肌を見るだなんて……感心しないわね?

[いやらしい人とにやりと笑って。
 「残りは式でのお楽しみ」と、さっきまで着ていた服を
 坊ちゃんの頭めがけてふわりと投げて目くらまし。]


[肩はケープ、首はレース。
 細長い手腕は長いフィンガーレスのサテングローブ
 肉付きの少ない男らしい部分を純白の布で覆っていく。
 元々男の中では華奢な方だから。十分ごまかせる筈。
 ……晴れの日の、乙女の格好にしては
 肌の出ている部分が少なすぎるのは、
 違和感を抱かれるかもしれないけど。
 その時は、あの人は日光に弱いとか言って
 適当にかわしてくれると信じているわ、坊ちゃん]


[化粧も小物もつけ終われば、式のお時間。
 ベールを被り、貴方の隣に並び立ち
 人の視線を浴びながら、前だけを向いて
 バージンロードを静かに歩く。]

[読み上げられる誓いの言葉、それに「誓います」と
 神の前で約束する貴方を見て。
 あぁやっと本当に、名実ともに、
 貴方の伴侶を名乗る資格を得た気がして。
 ……少し、感慨深い。]

[私も神に誓って、指輪の交換に移り。
 私は貴方に向き合って左手を差し出した。
 前のとは違う、氷製では無い指輪。
 両者分あるつがいの指輪は、新たな絆を紡ぐ証。]


[何を話すでもなく、目を細めて促す。
 どんなに熱く愛し合っても溶け落ちないような、それを。
 友愛でも情愛でもない真の愛の形がこの指に嵌まる瞬間を
 少し緊張した微笑みを湛え、今か今かと待っている。]**



[仕切りを隔てた先にいたのは、
 純白のウェディングドレスに身を包んだ、式の主役の姿。]


  ········綺麗だ。


[ふんわりとした広がるドレスは、君が好きな百合の花弁のようで滑らかで。
 一緒に選んだものだからか、より煌めいて見えました。

 時間をたっぷりとかけて悩んだかいがあったな、などと考えていたら。
 意地悪な言葉が物と共に飛んできたでしょう。]


  下心はないですからね!?······わっ!


[目くらしが顔に掛かり、情けない声をあげました。
 いそいそと布と共に仕切りの向こうに引っ込む花婿。]


  ·······単純に心配しただけなのですが。


[せっかく褒めて貰えた髪型もくしゃくしゃになってしまっ。て
 それを鏡の前で整えながら、不満そうな独り言を呟いていました。

  ···まぁ、本音を言えば。
 最愛の人の晴れ姿を早く見たかった気持ちも強かった、····です。
 本音を見透かされたような気分になり、頬にほんのり赤らめていたでしょう。]



[今度こそ、大人しく君を待っている間に、ふと自室に視線を向けました。

 つい最近、買い換えたベットは
 二人で寝ても、充分に余裕があるもの。


『一日の始まりを告げる、おはよう。
 一日の終わりを告げる、おやすみ。』


 それを君の口から聞けるのが嬉しくて、
 熱い夜だけでなく、温かな夜を過ごすことも増えました。
 
 ほんの少しだけ狭くなった部屋には
 置き忘れたり、飾ってくれたりした、君のものが段々と増えてゆき、

 それらを見る度に、幸せを感じる日々を過ごしています。]



[準備が整い、
 雪のよりも真っ白な花嫁の衣装に身を包んだ君を見て
     
   私は、また君に惚れ、恋におちる。

 上質な白のシルクで作られた、丈の長いドレスは
 すらりとした手足を持つ君によく似合っていて
 露出の少なさと清楚な雰囲気の黒髪が、君の上品さを引き立てていました。]


  今日は、一段と綺麗ですよ。


[ベールの下から覗き込むように、身体を傾け、
 柔和な笑みを浮かべました。

 左手の親指を中に入れて握り
 それを体の正面に置いてエスコートポーズをとります。
 どうぞ、ここに右腕をお掛けください。]



[最初の一歩を同時に踏み出して、控え室を後にしました。
 歩幅を合わせ、廊下を歩き、階段を降りてゆくと見えてくるのは
 私たちを祝福する、家従たちの姿。]


  ···知っていますか?
  会場を埋め尽くす百を越えそうな花たちは、
  庭師だけでなく、
  ここにいる皆が協力して植えてくださったんですよ。


[そっと、隣を歩く君に耳打ちをします。]

[それはきっと
 君が私の婚約者だからではなく、君自身が好かれている証拠。

 ······ですので、今日も、これからも胸を張って歩いてください。]
 



[祝福の表情を向ける皆に礼をしてから
 屋敷正面の玄関が開き、外へと足を踏み出す。


   勿論、君と一緒に。


 そこには各地からお呼びした、招待客の姿がありました。
 豪華な食事に、その席ごとに違う花が生けられたテーブル。
 その中央に位置されたバージンロードを、私たちは進んでゆく。

 途中にすれ違う人、1人1人に視線を向け、
 静かに目を閉じ、軽く頭を傾け、感謝を伝えたでしょう。]
 



[健やかなる時 悩める時も
 君の傍にいると 生涯の伴侶となることを]


  誓います。


[二人で愛を誓いあい、そうして手に取ったのは
 生命力の溢れる蒼色のガーネットたちが花を象る指輪。
 それを君の左手の薬指へと嵌めました。]
  


  

[指輪の交換が終われば
 花嫁のベールを持ち上げ、君の晴れ姿を目に焼き付けます。]


  ·······愛しています、ロイエ。


[皆の前で、誓いの口付けを重ねました。]**

 


[どこか不思議そうにジャーディンは、眠れない時に
 傍にいるのが自分でいいのかと尋ねる。

  そうね。
  貴方は私といると落ち着かないように見えるし、
  私もそんな貴方を見ると、
  どうしていいか分からなくなったりもするけど……

  それはそのうち、お互い慣れるでしょう。
  少なくとも私は。
  貴方大分、思ってることが態度に出やすいし。

[そもそも娼妓一人にどう思われようと、
 カコの日常生活に差し支えはないはずで。
 それを気にするということは、気に懸けているのだと
 理解も自覚もある。]




  貴方の生い立ちで、その素直さや純粋さを
  保っていられるのは、貴方の資質なのでしょうね。
  よくはっとさせられるし、何ていうか……、
  どうにも放っておけない気に、させられる。
 
[ジャーディンを見習って、カコはできるだけ率直で、
 嘘のない言葉を探す。]

  ……上手くいえないけど。
  なかなか、見ていて飽きないのが良い。

[彼を部屋へと案内する道すがら、背後で物珍しげに
 屋敷の中を見回しているのにも気づけば、
 その時も同じことを思って。
 カコはひっそりと微笑んだ。


[カコがジャーディンを案内したのは、予告通り自室の隣。
 かつては子供部屋だった場所で、壁紙は柔らかい
 クリーム色をしている。
 広すぎない部屋の中に、今はおもちゃやベビーベッドの
 代わりに、大きすぎないベッド。
 客用寝室などでは安眠できないだろうという判断が働いた
 配置でもある。


  ここが、貴方の部屋。
  初めての場所で眠るのは、
  落ち着かないでしょうけど……

  テーブルの上にホットミルクが置いてあるから。
  それでも飲んで。


[身の回りのもの、生活に必要なものは過不足なく
 用意されているはずだ。
 ジャーディンが部屋に入れば、戸口で挨拶を交わす。]


  おやすみなさい、ジャーディン。
 
  どうか、“ぐっすり”眠れますように。
  良い夢を。
 
 
[窓辺には、水を満たした花瓶が置かれている。
 この部屋は当然、屋根裏や地下室ではない。
 新しい朝が来れば、カーテン越しに陽光が降り注ぎ、
 マーガレットの花弁は、清楚な白に輝くことだろう。]*



 ふふ!嘘つき。

[下心は無いと言う貴方に向かって、
 投げた言葉は冗談だったのだけれど。
 実は、少しだけ的を得ていた発言だったらしいというのは
 ……知る余裕はなかったわね。
 より女性らしくより美しくと着付けと化粧に、
 ぎりぎりまで粘って時間を使っていたから。]

[それだけ気合いを入れたおかげか、
 ちゃんと時間もオーバーせず。満足の行く出来で
 貴方の前に現れることが出来た。]



 綺麗になるために、着たの。

[笑みに笑みを返してから、堂々と。
 貴方が最初に見初めてくれたのは、私の美だったから
 今日はそれを、お見せできるだけお見せしようと
 そんな気持ちで、着飾ったのよ。]


[腕を組んだのに、手を添え預けて。
 貴方と歩を合わせながら、半歩後ろにひかえしずしずと。

 どう?今日彼の伴侶と相成る人は、
 外見、所作に非の付け所無く。
 並の女を捨て置くほど、美しいでしょう?

 ……と、心の中で己を誇りながら歩みを進めた。
 廊下で拍手なり、おめでとうと祝いの言葉を投げる人々
 その中には、あの時反対の声をお上げになった人もいて。
 その人も、今は私たちに拍手を送ってくださっていた。
 へぇと内心感激する。……会場に着いたら、少し目を
 凝らして見ましょうと。]

[特別な日だからと、いつもより贅を尽くした品の数々。
 その合間を進んでゆく。背筋を伸ばして凛と、堂々と。
 人に見られることには、慣れていたつもりだけど。
 歩む度やおら緊張の2文字が頭に浮かんできた私が
 来賓やらを見て、何か思えるようになるのは
 もう少し後のこと。]


[貴方に続いて誓いの言葉を述べる唇は、
 今日はベージュでなくて薄赤いリップで彩られていた。]


[ベールがあげられれば、
 薄布の内に篭っていた、少し暖かい空気は清涼なものと
 置き換わり、貴方の顔も先よりよく見える。
 本当に、きれいで整った、私の愛する人の顔。
 それが私の顔に近づいてきて……
 あぁ、と心の中で感嘆のため息を吐きながら
 目を、閉じた。]

[唇を重ね合う。リップの色を貴方に押し付けるほど
 強くはないけれど、すぐ離れる程軽いものでも無いでしょう。
 数秒、時が止まったような心地を得て。
 甘い気分が、私の胸の中に広がる。]

[あぁ、人の目さえ気にならなければ。
 きっと貴方の肩に手を回して、抱きしめていたぐらい
 愛おしさも胸に募っていた。]**


 
[「馬鹿ね」と言われて、
 ジャーディンは視線を落とした。
 
 彼女の声音に嘲るような雰囲気は無かったが、
 彼女の言葉に込められた意図を探るより前に
 彼女にまた叱られた、と感じてしまったのだ。
 
 彼女は己の態度に思っていることが出やすいと言うが
 今思っていることも伝わるのだろうか、と
 彼女を探るような視線を向ける]
 
 
  ……はい、いずれは慣れていくでしょう。
  
  
[ジャーディンとしても慣れてもらわなければ困る。
 いちいち気後れしていては疲れてしまう]
  


  
  
  ……僕に素直さや純粋さがあるのですか……?
  
  
[それがどういったものかもピンとこず、
 ジャーディンは首を傾げた。
 
 見て飽きないというのは、
 つまりは気に入っているのだろう。
 それは喜ばしいことだと思え、安堵する]
 


 
[部屋に案内してもらうと、予告通りの場所で
 部屋の中には当然のようにベッドがあり、その上、
 ホットミルクまで用意されているという

 
  そんな、お気遣いいただいて申し訳ございません。
  
  本来なら僕が自分で
  用意するものだったでしょうに……
  
  
[新しい屋敷のことだから慣れた人に任せたほうが、と
 用意してもらうがままにしてしまったが、
 本来それが正当ではなかろうか、と
 ジャーディンの内には今更ながらに罪悪感が浮かぶ]
 


 
[しかし今更その点を騒ぎ立てても仕方ないのは
 ジャーディンも理解していることで]
 
 
  ……はい、ありがとうございました。

  おやすみなさいませ、カコ様。
  カコ様も良い夢を。
 
 
[主人の見送りに礼をして、彼女が去っていけば
 改めて室内を見渡した。
 
 パルテールでは窓のある部屋に暮らしていたし
 ベッドで眠ってもいたが、それはあの店に
 勤める間だけの特典だと思っていたのだ。
 
 この先もこういう暮らしが続くのは落ち着かない]
 


 
[落ち着かない思いはその後もたびたび感じた。

 朝、目が覚めて夢ではなかったと気付いたときにも、
 室内に身の回り品が揃えてあると気付いたときにも、
 また別の機会に主人と食卓を共にしたときにも、
 園丁に庭仕事を学び始めたときにも。
 
 だが庭仕事は思いの外ジャーディンの興味を惹いた。
 生き生きとした庭木や花々が、手入れによって
 より美しく育っていく。
 
 ほんの少しの手入れで庭全体の景観が
 見違えるほど大きく変わっていく。
 
 自分の手で何かを変えられる、と感じるのは
 初めのうちは恐れ多いことだったが、
 次第にそれを楽しめるようになっていった]
 


 
[仕事の荷物持ちとして
 彼女の取引先に共に向かう機会も増えていた。
 
 屋敷について早々に品物を届けに向かった先は
 パルテールの顧客の家だった。
 なんと結婚指輪なのだという。
 
 結婚式への参列は、ジャーディンは固辞したが
 カコが命令すれば行かざるをえないだろう。
 そこで思わぬ再会を遂げることもあるかもしれない]
 


 
[かつて奴隷として虐げられてばかりいた日々と
 カコの元で暮らす日々とは
 それぞれが異世界の物語のようにかけ離れていた。
 
 だが、次第にジャーディンも実感するに至った。
 
 これからの日々で紡がれていくのは
 夢物語ではなく現実なのだと。
 
 現実ゆえに過酷なこともあるかもしれないが
 今の自分は孤独ではないと思えた。
 
 カコという主人がいるからだ]**
 


− それからの事 −

……今日の占い結果……
悪くはなさそうね。

[だいぶ増えた占術道具に囲まれて、日課の占いから1日は始まる。

無事に養父から交際許可も降り、正式に従者兼恋人として過ごせる様になった。……以前よりも養父から『魔術講義』に付き合わされる頻度が増えてしまった事はともかく、周囲の人々も特に揶揄などせず温かく迎え入れてもらっている。

実に平和だ。

今まで辿ってきた道のりで、後ろに置いてきたものたちからは何を言われるやら。憎まれっ子世に憚るとは言うが、己はそういう立ち位置という事になるだろうか。

まあ、そんな事はどうでもいい。
天命により白い光と幸運に導かれて今の自分はここに立っているのだ。石を投げられようものならば振り返ってこう言ってやれ。

「幸運、掴み取っちゃってごめんなさいね?」]


おはよう、リッキィちゃん。
今日は何をするの?

[身支度を終えたら主人の部屋へ。今日も今日とて従者のお仕事。魔術の探究に終わりはない、と言ったのは確か義父の方だったか。知っても知っても尽きぬ魔術の源泉を、一緒に知っていくのはとても楽しかった。

従者としての役割もそうだが、ここ最近は助手の様な事もこなしている。『魔法使い』同士であるから、自然と組み込まれていった新しい役目である。

……いずれは、この役割も、増えていくのだろう。]


そういえば、リュミエル邸で結婚式を執り行うそうね。あたしたちもご招待されていたから……ご祝儀が必要よねえ。
あと、着るものも……何がいいのかしら。

[少し前に届いた、とある魔術研究者の結婚式の招待状。かつての『店』の常連だとは、この時点では知る由もなかったけれど。名家の式へ呼ばれる程にはこの家も旧い魔術師邸である。失礼のない様にしなければ。]

……それにしても、結婚式……ね。


[自分たちの式はどうしようかな、と少し気の早いことを考えた。流行りの形式のものも捨てがたいが、遠い故郷の……東方の様式に則るのも悪くはないかもしれない。

指輪は……あまり高価なものは買えないだろうけれど。彼女が自身に似合うものを選ぶだろうから。特に問題は無いだろう。

準備が整えば今日の業務に移行して。
それら全てが終われば……恋人同士の時間を過ごしたりもする。

1日のスケジュールはそんな感じ。]


じゃあ、行きましょうか……
今日も一日よろしくね、リッキィちゃん。

[愛しい人の額に軽く口付けて、部屋を後にする。飾り気の無かった頃も可愛かったけれど。時々手渡す贈り物で少し色付いた彼女は、もっと可愛くて。

――絶対に手放さない事を誓う。

そうして巡った運命を手繰り寄せながら、毎日は続いていくのである。]**


― それから ―

 ……すぅ……。

[今日も今日とて、魔術師の卵は惰眠を貪っている。
傍らには魔術の本が頁を開きっぱなしで鎮座する。

おはようの声にはっ!と目を開き。
5分まって!?ってドア越しに。

慌ててベッドから降りる際に軋む内腿や
胎の中の鈍痛にももう、慣れた。


彼が助手のように補助をしてくれるものだから。
私の「魔法使い」としての研鑽は順調だ。
序に、プライベートなあれそれもだ。]


 養父だけかと思ったけれど。
 私たちもっていうのには驚いたよね。

 着るものはまあ、決まらなかったら
 私は最悪制服でもいいけれど。一応正装だし。
 でも、どうせなら煙さんと揃えたいよね。

 ご祝儀の相場ってわからないのよね。
 煙さんは知っている?

[招待状を見ながら考える、娘が1人。
おめでたいことだから、是非祝いたい。
その考えばかりだったのだけれど。]


[そんなことを言うから、自分と彼の時は。
なんて想像しちゃうじゃない。もう。

どちらにせよ、きょう1日はこうして緩やかに始まっていく。]


 ん、今日もよろしく、煙さん。

[手繰り寄せられたのは運命だけではないのを


       貴方の手を掴む私だけが、知っている。*]


− 後日談・リュミエル家の結婚式 −
[養父の元に届いた、一通の手紙。
それは、さる高名な家系の結婚式への招待状で。ある程度の親交があった我が家の使用人達にも宛てられたものだった。

当日。正装に着替えた我々は、厳かな気持ちで夫婦の門出を祝いに行った。

……新郎新婦の顔を見た時。
「あ。あの時のお客様だったのね、名前を覚えていてくれたあの人。
……成程、『奥様』は『彼女』だったとは。」

隣で新郎新婦の美しさに息を呑む主人に視線を送りつつ。
見知った顔の、盛大な式は。滞りなく取り仕切られたのであった。]


[式の合間、折を見て新郎様へご挨拶。]

この度はご結婚、おめでとうございます。
……俺の名前、知っていたのですね。驚きましたよ。

『奥様』と、末長くお幸せに。

[向こうが、あの時のことを覚えているかは定かではなかったけれど。あの時返せなかった言葉を告げた。]


[そして。式場には思いがけない知り合いも出席していて。]

あら、カコちゃん!お久しぶりねえ。
……ひょっとして、そっちにいるのはジャーディンちゃんかしら。
そう、お店は辞めてカコちゃんの所に行ったのね。……前よりもずっと、明るくなったように見えるわ。

ああ、紹介が遅れたけれど……この子はリッキィちゃん。あたしの今の雇い主兼恋人よ。

[久しぶりの再会に、会話も弾む。その後、連絡先を交換しあって別れた。]


[式の帰り道。隣を歩くリッキィへこっそり囁く。]

とっても綺麗な結婚式だったわね。
あたしたちの式は……あれくらい、華やかなものにする?それとも、もう少し落ち着いた雰囲気の方がいいかしら。

[養父たちからは見えない位置で、しっかりと手を繋いで。これから未来の事も、彼女と沢山語り合って行こうと、心に決めた日になった。]



[震える手は緊張を表していて、
 堂々としているように見えた君も、
 私と同じ気持ちなんだな、と微笑しい気持ちになりました。]


   ····大丈夫、私が傍にいますよ。


[囁いた励ましの言葉は、君の耳にちゃんと届いていたら嬉しいです。]
 



   ·····お揃い、ですね?


[ほんのりと紅の移った唇が笑む。

 誓いの口付けが終わると
 会場には拍手の音が響き渡りました。]


   ·····幸せだな。


[晴れ晴れとした気持ちは
 永年に渡り、積もり積もった心の悩みを解かしていくようで。

 太陽光の下で蒼々と輝く石は、
 私たちの指先だけでなく、
 未来までをも照らしているようでした。]
 



[その後は、学園時代の友人の挨拶
 厳格な女中が思い出を語り、私が遠くにいる父や母への感謝を綴った手紙を読んだりと。
 式は順調に執り行わていく。


 華のある君には、花が似合います。

 庭園に咲いている白い無垢な花も。
 左の指に咲いている蒼色の愛の花も
 たった今、招待客に向かって投げようとしている春爛漫のブーケも。
 君の手から離れてゆくのが、勿体ないくらいです。


 さて、それを手に取った幸運なお嬢さん
   未来の花嫁さんは、どなたでしょうか。]


[諸々の演出が一段落すれば
 足を運んでくださった人々、一人一人に感謝を伝えようと声をかけてゆく。


   ウェディングドレスでは動きにくいでしょうし、
   新婦席で休んでいてもいいのですよ?


[その間も君は私の傍から離れる気配がない。
 いつもよりゆっくりとした歩みでは、
 全員に挨拶して回るのも時間がかかったでしょうね。

 せめて、君が気疲れまでしないように

 『妻は、とても緊張しているようなので、
  挨拶やお褒めの言葉だけで、談笑は控えて頂けると助かります。』

 と、いう旨を最初に伝え、各々と会話の花を咲かせました。]
  



[特に、指輪選びを手伝ってくれた貿易商のカコ。
 購入と共に、真っ先に婚約が決まった件について報告した彼女との会話には
 大輪の花を咲かせ。
 何度も何度も、感謝の言葉を口にしたでしょう。


 会場には、貴族や魔術師だけでなく
 パルテールで目にしたことのある青年らも参列していました。

 世間の狭さに驚きつつ、周囲に見劣りしないほど粧し込んでいる姿から、
 彼らのこれからが良いものになることが容易に想像でき、
 私の頬は自然と緩んでいたでしょう。]
 


 − 今宵も、君と共に −

[そんな特別な一日はあっという間に終わり、今日も夜は訪れる。]


   ·······素敵な式、でしたね。


[自室のソファ
 そこに君と一緒に腰かけながら、月を見上げていました。

 同じ席に座る行為は、あの店での日々を思いだす
 あの時と違うのは、君の方を向き、重ねた左手に同じ指輪を嵌めているということ。]
 




[誓いが、約束が増えてゆく。

 それら一つ一つが、
 私の生命の糧となり、未来の希望へと繋がっていきます。]


    一緒に、頑張りましょうね。


[二人の指で煌めく、ベキリーブルーガーネットは、
 蝋燭の灯りに照らされたことで、情熱的な愛色に輝いていました。]**

 


[緊張の中でも、あなたの声だけはよく聞こえて
 そばに居ると言われただけ。そう言われただけなのに
 あぁ酷く落ち着いて、手の震えは徐々に収まって。
 落とすことも無く無事、指輪を収められた。]

[私の紅が少しうつったそれ。
 それを小さく動かして幸せだと貴方が呟けば、]

 そうね。

[と目尻を下げて微笑み返した。]


[少し前は奴隷だった挙句。
 心と体の性別がごちゃごちゃな私が
 お貴族様のお家に、伴侶として入るなんてね。
 自分が1番望んだものなれど、今もこの光景が夢みたいで
 拍手喝采を見ても聞いても、どこか現実味がないけれど。
 ぼおっとする度私の指の、蒼の石の輝きがたまに光って
 ここは夢ではないのだと、私の目を覚ましてくれた。]


[来賓と話すだけの語彙やなにやは持ち合わせていなかった
 けれど、一人で黙って席に座っているのも
 偉そうな上、不躾な印象を与えるのではと思い当たって。
 だから、坊ちゃんの腕に手をかけて、共に巡り歩いた。
 仕立ての良い服を着ている、育ちの良さそうな面々を見、
 ふとそばに目をやると古巣の、パルテールにいた顔も。
 彼らは私が男ということには、知っていてもおかしくない
 でしょう。だって、私の体は男だから……
 風呂やらなにやらは、男用のを使っていたんだもの。]

[でも、彼らを見かけただけで警戒をすることは無かったわ。
 色眼鏡の彼は、人の世話を焼いてるのをよく見たから
 意地悪な人には見えなかったし。
 金髪の彼は……自分からは言いそうにないのではと。
 そういう印象を持っていたものだから。
 顔を合わせれば、他の来賓にするのと同じように
 会釈ぐらいは返して、後は御歓談を静かに聞いて、
 必要があらば頷くぐらいの、相槌も返して。
 後に、式が少し落ち着いた時にでも
 「世間って狭いのね」と、傍らの彼に呟いたとか。]


── 夜。 ──

[月が綺麗な夜だった。
 私は彼と一緒に夜空を見ながら、今日の事を何度も、
 何度も振り返って思い出していた。
 ……それだけ、素敵な時間だったの。
 式には呼べなかった、妹たちに自慢したいぐらい。
 淑女として扱われながら、貴方の伴侶になったあの時は。
 今日の素敵なお式のことを、私は一生涯忘れずに。
 ふとした時に思い出しては、
 口元に弧を描くのでしょう。]


[これからの、貴方から話される誓いの言葉を聞く。
 少し間を置いてから、私も口を開けて。
 視線を合わせて、私なりの誓いの言葉を紡ぐ。]


[カコが口先だけでジャーディンを詰れば、
 彼は視線を落とした。
 やはりカコの意図したことが、
 正しく伝わらなかったようだ。]


  …………。

 
  今のは、照れ隠しというのよ。
  別に、馬鹿とか本気で言った訳じゃない。

[彼の探るような視線にそう返して、
 ついと目を逸らすカコは、何処か
 むくれている。
 だから、カコ自身が表現した彼の気性を
 問いただす声にも。
 ただ小さく頷き、「今だってそうよ。」と
 短く答えた。] 


[整えられた部屋とホットミルクを目にして、
 ジャーディンは恐縮したように、
 申し訳無さを口にする。


  いいの。
  今日は、貴方を歓迎しているのよ。

[敢えてご馳走を用意させたりはしなかったけれど。
 テーブルの上にあるのは、素焼きのマグに入った
 まだ湯気の立つミルクだけ。]

  ……うちに来てくれてありがとう。
  ジャーディン。

[『カコ様も良い夢を。』と告げられて、
 カコの顔に、素直な笑みが上る。
 ──今宵は、よく眠れそうだった。*]


[それからのカコは、ジャーディンが早くこの家に
 根を張れるようにと、何くれとなく心を砕いた。
 共に働く通いの使用人と、住み込みの使用人。
 彼らの顔と名前を一致させるだけでも
 時間はかかったことだろう。

 一方でカコは、時折気侭に振る舞いもした。
 如何に己を律しようと、カコの性根は、
 蝶よ花よと傅かれてきた奔放な一人娘だ。
 ジャーディンが本気で嫌がりはしないようなら、
 必要以上に気を回すのは、お互いを疲れさせるだけだと
 止めにした所為もある。]


[疲れた折には、ソファの上でジャーディンの膝を求め、
 髪を撫でるようにと強請った。彼の膝は柔らかくは
 なかったが、カコは満足そうだった。

 天気の良い日には、庭を見渡せるパーラーに、
 紅茶のカップと仕事片手に引き籠もる事もある。
 疲れが溜まれば、カモミールティーを啜りながら、
 庭仕事をするジャーディンを視界に収める。

 それは、カコにとって憩いの一時となった。
 春の庭先で、花木の間に憩うジャーディンの姿は、
 何時か見た夢に似ていた。


[その日は、暖かい日だったから。
 カコは東屋のガーデンソファに寝そべり、
 庭園で一人作業を終えたジャーディンを
 呼び寄せ、戯れにまた膝を求めた。]


  ……こうするの、慣れないでしょうね?

  慣れて。

[彼の顔を見上げて、カコはあっさりと言い放つ。
 使用人達が見れば誤解されかねない光景だが、
 愛妾の一人や二人囲うのは当たり前のご時世だ。
 どうということもない。
 それ故、特に誤解を解いて回ることもしなかった。
 『お嬢様は最近表情が柔らかくなられた』というのは、
 幼少の頃から仕える使用人達の囁くところだ。]


[小さく欠伸を漏らして、カコはすっと手を伸ばし、
 金色の毛先を弄ぶ。
 こちらを見下ろす紅い瞳。
 

  貴方の髪、陽に透けてる。
  瞳も、陽の下だと紅く見えるのね。…綺麗。


  パルテールで見た、暗褐色も好きだったけど。


[白い頬に指先を滑り落として囁くと、
 柔らかく目を閉じた。
 それはジャーディンを自邸に引き取って以来、
 カコが初めて彼の肌に触れた、何気ない一瞬だった。

 そうして、目まぐるしくも穏やかに、
 日々は過ぎていった。]**


[やがて、慶ばしき日が訪れた。
 フェルゼ=リュミエルと、伴侶となる人との
 婚儀の当日。
 自邸にてメイドと共に、ジャーディンを礼服で
 着飾らせるカコの姿があった。]


  これはね、場にふさわしいように着飾るの。
  こういうのは、お芝居と同じ…、
  ああ、お芝居にもそのうち、付き合って頂戴。

  芝居に集中している耳元で、気障な愛を
  囁きかねない男より、幕間に気取らない
  感想を聞かせてくれそうな貴方の方が、
  連れとしてはよっぽど上等よ。


[気障は構わないとしても、せめて時と場所は
 選んで欲しいというのがカコの持論だ。]


[シャツにベスト、フロックコートで装うジャーディン。
 彼の首元を飾るタイは、手ずから締めながら]


  背筋を伸ばして、顎は少し引いて…、
  堂々と、視線を遠くに置いて。

  ダーラが仕込んだだけあって、
  貴方の所作は、元々美しいのだから。


[ドレスからアクセサリーまで品よく整えたカコは、
 少し身体を引いて、今日の連れの立ち姿を、
 頭頂から足先まで検分する。]


[見込み通り、正装姿のジャーディンは、
 贔屓目抜きでも美しかった。
 その仕上がりに、カコは満足げに頷く。]


  うん。いいわね、とても。
  貴方の価値がわからない人間に、
  わざわざ侮る隙を与えてやることなんかない。

  自分の値は高くつけるものよ。
  貴方、私の私物としては一番高い買い物だったもの。


[カコが叩く軽口にも、徐々にジャーディンは
 慣れてきただろうか?]


[結婚指輪をリュミエル邸に届けた際にも、彼を伴った。
 フェルゼは、カコの様子に何か感じるものがあったのか、
 結婚式には、是非彼も一緒にと言ってくれていた。]


  そういえば…、花嫁はおそらく、
  貴方の元同僚よ。
  フェルゼ様は、他に心に決めた人がいるのに、
  娼館に通うようにはとても見えないから。

  そういう方だから、あまり恐縮することはないわ。


[直にわかる事だからと、主役の一人の身元を明かす。
 あの後パルテールで、フェルゼの姿を見かける
 ことはなかった。彼にいつも侍っていたドールの姿も。
 それも、ジャーディンを帯同すると決めた理由の一つだ。
 三つ目の理由は、単純に。こんな機会でもなければ、
 彼を盛大に着飾ることもそうないだろうから。]**


 
 
  照れ隠し……?
  
  
[何に照れたというのか、なぜそれを隠すのか。
 そして彼女はなぜむくれたのか。
 
 ジャーディンがその辺りの機微を
 自分の事として理解するようになるには
 時間がかかるだろう。
 
 今はただ「人は本心を隠したいことがある」と
 学ぶのみに留まった]
 


 
[彼女には礼を言われたが
 ジャーディンはその言葉に何も返せなかった。
 
 この家に来てよかったのかどうか
 今はまだ答えが出せていなかったからだ。
 
 良い扱いを受けているとは思う。
 が、このように扱われる価値が自分にあるのか。
 自分に何か返せるのか。
 
 不安に苛まれながら素焼きのマグに口をつけると
 ホットミルクの素朴な味わいが喉を温めた]*
 


 
[住み込みの使用人は、顔を合わせる機会が多いのと
 そう数がいないこともあってすぐに覚えられたが、
 通いの使用人たちを覚えるのには手間取った。
 
 奴隷の一人が主人にやたらと気遣われているのでは
 周りから奇妙な目で見られやしないか、と
 ジャーディンは常々不安に駆られた。
 
 彼女の表情が柔らかくなったという噂を
 年輩の使用人たちから聞いたが
 ジャーディンからすると出会ったばかりの頃との差は
 あまり感じ取れなかっただろう]
 


 
[彼女がジャーディンの庭仕事を時々見ていると
 ジャーディンは聞かされるまで気付くまい。
 
 彼女の元で暮らすうち、やせ細っていた膝も
 いくらかは肉付きがよくなるだろう。
 
 庭仕事を終えた後に東屋で、彼女に膝を貸す。
 初めて彼女に膝を求められたときは少々戸惑ったが、
 それが主人の望みなら叶えないわけにはいかない。
 それに]
 
 
  いえ……、僕はこういう触れ合いのほうが
  言葉を交わすだけよりは慣れています。
 
 
[パルテールで膝枕を求めた客はいなかったが、
 抱き締めていてほしいと言われるようなものである]
 


 
[東屋は日陰だろうが、
 パルテール店内よりはよほど明るい。
 
 そのせいだろうか。彼女に瞳の色を言われた。
 ジャーディンは驚いて、彼女をしげしげ見つめた]
 
 
  気味が悪いと言われることもあるんです。
  気に入っていただけて安心しました……。
  
  
[ジャーディンはこの瞳を好む者を知らない。

 かつての主人のひとりは、暗がりで見たときには
 気付かなかったジャーディンの瞳の色に気付いて
 忌まわしいと言って売り払った]
 


 
[頬を撫でていった彼女の指先は滑らかで
 触れられたことを気負う隙も与えなかった。
 
 彼女の元で過ごす日々は、
 忙しくはあるし新しい経験ばかりで目まぐるしいが、
 周りの者たちに人間として扱われる日々でもあった。
 
 周りの者たちに暴力を振るわれることも、
 慰み者にされることもない。
 
 初めのうちはそれが慣れず、落ち着かずにいたが
 慣れてくればこれほど心地よい環境に
 身を置いたことはなかった。
 
 佳い主人に恵まれたと、今なら言えよう]*
 


 
[やがて慶事に招かれ、
 否応なく主人に飾り立てられることになって、
 ジャーディンは戸惑いつつもされるがままになった]
 
 
  お芝居、とは、どういったものですか……?
  
  
[演劇なるものも、それを観るという行為も
 ジャーディンは知らずに育ってきた。
 場に相応しい服装という概念も理解していない。
 
 今はただ主人に従っているだけだ]
 


 
[所作が美しいと言われ、目を瞬く。
 
 言われてみれば、確かにダーラに買われた後
 しばらくは訓練を受けたのを思い出す。
 
 相手は貴族や富豪なのだから、と
 パルテールで接客するにあたって必要最低限の礼節を
 叩き込まれたのだ。
 
 外の世界でどれだけ通用するものかはわからないが、
 あの頃を思い出せばいいのかもしれない、と
 カコの指示を聞きながら姿勢を正した。
 
 タイを主人に締めてもらうとはとんでもない無礼だが
 主人が望んだ行動なのだからやむをえない]
 


 
 
  僕に、そんなに価値があるのですか……?
  
  
[ジャーディンは未だに自分自身の価値なるものを
 あまり理解していなかった。
 
 だがあまり遜っても彼女の見る目を
 貶めることになってしまう。
 
 彼女の気に入りの存在だというのならば
 堂々とするのが彼女のためでもあるのだろう]
 


 
[花嫁を元同僚と聞かされると目を見開く。
 そんなことがあるものなのか。
 パルテールの客がドールを娶るなどと。
 
 フェルゼのことは店内で何度か見かけたし
 彼のお気に入りのドールも記憶にある。
 そのドールが少なくとも身体は男性であることは、
 同時期に働いていたドールなら知っている。
 
 しかしまさか婚礼を挙げようとは。
 
 そういう状況で花嫁の身分や性別を
 積極的に明かすわけにはいかないだろう、と
 ジャーディンは己の身分を含めて隠す心算を固めた]
 


 
[ジャーディンは式場で見知った顔を見かけても
 自分から声をかけることはなかった。
 
 あくまで主人に連れられて来た従者の立場である。
 主人を差し置いて私語など交わすものではない、と
 ジャーディンは思うからだ。
 
 だが向こうから声をかけられたのを
 無視したいわけではない。
 声をかけてくれた煙には微笑んで礼を返した。
 
 それに着飾らされたジャーディンを見れば、
 主人から良い扱いを受けているのはわかるのだろう]
 


 
[初めて目にする婚礼はとても華々しく美しかった。

 愛する人に花嫁衣装を着せて、
 あのように愛の誓いをする光景というのは
 ジャーディンにとってはあまりにも縁遠い。
 
 しかしながら憧れのような思いは
 浮かばぬでもなかった。
 
 自分の隣で花嫁姿となってくれる人は
 生憎思い浮かべられはしなかったのだが。
 
 
 
           奴隷に結婚など夢のまた夢、
           思い描くだけでも恐れ多い。
           フェルゼの例は特殊なのだ]**
 




  ····ふふっ、そうですね。
  誓いのキスもしましょうか。


[冗談を間に受けた訳ではなく、···ただ口付けがしたかっただけ。
 君と一緒にいる間に、ズルいことも覚えてしまったみたいです。

 触れるだけの軽いものじゃ足りなくて、
 もっと深く、まるで君の熱を奪うかのように。

 もう人の目を気にする必要はないから。
 胸に抱いた愛おしい気持ちに従って、君を力強く抱きしめました。]

 


― 後日談 ―

[結婚式って、年が近い友人のものでも
参列するのはまだ先のことだと思っていた。
招待状には養父もだが私の名前もある。そして煙の名前もあった。
他にも幾人か、この家で働く者たちの名前も。

大人びた服はまだまだ似合わないので、
ドレスコードを守った正装で、参列した。]


 わぁ、すごい。綺麗。


[顔面偏差値的にも、衣装的にもだけれど
一番は、2人がとても幸せそうで、
とても美しかった。]


[式場では、煙さんのお知り合いにご挨拶したり
恋人として紹介されることに照れたり。
友人も招待されていて、煙さんのお知り合いだった
「ドール」時代の同僚兼恋人の子も一緒に参列していたり
等々。色々あったけれど。

でも一番の思い出は、そうね。
春の幸せを詰めたようなブーケが
私の手の中に降ってきた、ことでしょうか。


席ごとに違う、美しい花。
手の中で咲き誇る、白のラナンキュラスとビバーナム
サムシング・ブルーのデルフィニウム
ライラックで色調を整えて、柔らかなピンクのスィートピーが
甘酸っぱい新婚さんの幸せを教えてくれるかのよう。


ぎゅ、とだきしめ、うれしそうに笑う私は。
今日この良き日に世界で二番目に幸せな子なのだ。]


[ いつだったか。寝物語のように昔話をカコにねだられた事があった。遅い時間に帰っていく後ろ姿を、まだ覚えている。

もう、自身がその役割をする事は無いのだろう。
控えめに挨拶を交わしてくれた、彼がいるのだから。

知己の幸運を、そっと願っておいた。]


[
幸運のブーケを受け取った瞬間、そちらの方に目を奪われた事を許してほしい。

嬉しそうに笑う彼女の顔を忘れる事はできないだろうなと、思った。]


[その場と立場に相応しく着飾る意味を芝居に例えれば、
 それはどういったものかと尋ねられたから。*
 「週末にでも連れていってあげる。」と笑った。

 問われたのは、ジャーディン自身の
 価値についても。

  うん?
  価値は、自分で作るものよ。
  貴方は、折れずに、歪みもせずに、
  今こうして健やかなまま、ここに立っている。
  それは何より凄いことよ。

  これからの貴方がどう花を咲かせるのかは
  貴方次第。そのための環境は、私が用意する。


[正装は彼のしなやかな身体のラインを引き立て、
 首元のタイは、彼の肌色によく映えている。
 カコは、微かに目を細めた。]


[正してやるまでもなく、すっと伸びた背筋に
 掌を宛てがったのは。
 多分、ただそうしたかったからだ。]


  人生って存外に長いのよ、ジャーディン。
  自分一人のために生きるには、ね。

  学んで、働いて、何かを育んでいれば、
  あっという間に過ぎてしまうのでしょうけれどね。


[自分自身を。心を、価値を、命あるものを。
 幾つもを。彼はもう、根無し草ではないから。]*


[着飾らせたジャーディンを、今日は従えるのではなく、
 腕をとって隣を歩く。彼には俄仕込みの仕草だが、
 なかなか筋が良かった。彼にエスコートを仕込む日は、
 そう遠くないことだろう。
 観劇の予定も出来たことであるし。

 式場では、また何時か街中で巡り合えることを
 願っていた姿を見つけた


  ───煙!びっくりした…

  まさか此処で貴方に会えるなんて。


[けれど、パルテールに通えるような顧客は
 ほぼ例外なく貴族や富豪だから、富裕層
 同士の繋がりがあるのは不思議なことでもない。]



  そう、この方が。
  お初にお目にかかります、リッキィさん。
  カコと申します。

[雇い主兼恋人と紹介された少女に、満面の笑みを向ける。
 良い主人だけでなく恋人にまで恵まれるとは。
 彼は、想像以上に幸せであったらしい。]


  ええ、結局うちに来てもらったの。
  『優しく』してるつもりだけど。
  そうできているかは…どうでしょうね?

[それは今ではなく、遠い先にジャーディン自身が
 判断することだろう。
 終の棲家の居心地が、彼にとっても快適なものであるよう
 家長としては整えるつもりだ。
 暫し煙と近況を尋ねあった後、連絡先を交換し、
 「またね」と言い合って別れた。]*


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