27 【crush appleU〜誰の林檎が砕けたの?】
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[新品のスケッチブック。 目を閉じて姉の顔を思い出す。
笑った顔、怒った顔、拗ねた顔
・・・髪、断るといつも拗ねてたなあ。
亡くなる前は拗ねた顔ばかり見ていた気がする。 苦笑して、スケッチブックを開いた。 今日しか使わないのだから、ページを惜しみなく使ってしまおう。
ふー、と深呼吸する。]
(145) 2023/08/03(Thu) 16時頃
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[それから暫く、カリカリと、筆記具の音だけがする。 出来たラフは何枚だろう。
傍に誰かがいるのなら退屈させたかもしれないけど 手は止めずに言葉を交わしたろうか。
1つの林檎は変わらず朽ちて潰れている。
血に濡れた姉を発見したのは自分。 姉は人に刺され凄惨な死に方をしたのに、
"天使にさらわれた"
と、誰かが言っていた。
その時は、美しい人は死んだ後も詩的な表現をされるのだな、と、そう思った。]
(146) 2023/08/03(Thu) 16時頃
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[今こうして、 死神さん(かどうかは不明だが)がいる世界で たった一人を迎えにきている。
天使にさらわれるよりも 死神に、迷わず導かれる方がいいと思う。
願わくば姉も、 死神に看取ってもらえたらいいなと、思うのだ。]
(147) 2023/08/03(Thu) 16時頃
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――アリババさん?
[ぽつ、と呼びかける。 名前は聞いていても、呼んだことがないから。
呼びかけには返事あっただろうか。 今すぐは、声だけでもいいけれど。]
(148) 2023/08/03(Thu) 16時頃
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あなたを描いても、いいですか?
[死神として。
了承は得られるか。 もしそうならば、あの林檎が3つになる頃までにはラフがほしいと言ったかも**]
ダメだったら、仕方ない「]
(149) 2023/08/03(Thu) 16時頃
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水商売 タバサは、メモを貼った。
2023/08/03(Thu) 18時頃
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>>148>>149
[それはいろんな頃合いが落ち着いたころだろうか。 彼女の呼びかけにはゆるり、赴いた]
オレを描く? ああ、それはご自由に。 キミにはオレはどう見えているのかな。
[彼女が自身をどういう存在として描こうとしているのか。 それは興味があるだろう。
死神のように見える様を演出していること、 いやある意味、死神であるのは間違いないかもしれない。
真名はまだ誰にも告げてはいないし、 未だ、問いかけるものもいないから、そのままだ]
(150) 2023/08/03(Thu) 19時頃
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── 一階・ビデオルーム ──
……もう、大丈夫
ちゃんとしてる、とはまだ言えないかもしれないけど 叶わなかったことばかり、考えるのはやめる
[だからもう、弟を心配しなくてもいい。 平等に削れてゆく残り時間を、 これ以上自分の為にばかり使わなくていい。]
君が言ってくれたこと全部、覚えたまま還るよ
[確かに受け取ったつもりだ。
──今までずっと、そうしてくれていたみたいに。*]
(151) 2023/08/03(Thu) 19時頃
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―現在:おねえちゃんたちといっしょ…―
[さみしい。そう、それは寂しいと言う感情でした。 最初の孤独の記憶は3歳の頃でしたが、この時にはもう寂しいと思っていたのです。 回谷に寂しいと言葉にされて>>131それが分かってしまって田端の胸は球っと締め付けられるようでした。 その手が優しいので尚更でした。
辛いことを頑張らなくても良いとも言ってくれましたが>>132頑張って一番になれるなら、辛く立って我慢するのです。 頑張っても頑張っても報われないこと。 特にこの頃は、その自覚さえもなくて辛い時期でした。 上手に描けたと褒めてくれた絵を破く手。 それを止めてくれないのですから。]
うん……いちばんがいい……。
[撫でられて、心地良さに目を閉じます。 ごしごしと涙を手のひらで拭きました。]
(152) 2023/08/03(Thu) 19時頃
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さみしいのやん……。 でも……。
[ママを探すか>>143と言われたら戸惑います。 本来の子供自体の田端なら、一も二もなく頷いたでしょう。 でもこの田端は違うのです。 子供時代を模した偽物なのです。]
(153) 2023/08/03(Thu) 19時頃
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ぽい。まま、ぽい。 ぱぱもままもぽいする。
さっちゃん一人でだいじぶ。
ありがと、おねえちゃんたち。
[優しくしてくれてありがとう。 構ってくれてありがとう。 そんな小さな幸せを胸に、生きていきましょう。 下を見てばかりいるときりがないから、上を見上げて胸を張って。 子供椅子からよいしょと降りました。 そして、ぺこりと頭を下げます。]
(154) 2023/08/03(Thu) 19時頃
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ありがとう、またね。
[そのまま、子供の瞬発能力の高さのまま、意外なほどの速さでその場を駆け抜けます。 部屋から出ようとするその瞬間、田端の周囲の景色が変化しました。 見渡す限りの金色の稲穂。 ばさささっと響くのは何かの羽撃き。 涼しげな風が吹き甘い香りが漂いました。 ざざん……と波の音が響いて、気づけば田端の姿はもうありません。 遠くに聞こえた小さな歌声も直ぐに消えました。 アラセイトウの花を一輪だけ残して。]*
(155) 2023/08/03(Thu) 19時頃
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―福原に送られたかもしれないメッセージ―
『卵サンド、美味しかったわ。 作ってくれてありがとう。 いろんな食パンを試してみるのも良いかもね。
私お米よりパンが好きなの。 みんなで開催できたら素敵ね。』
[それは、タイミングにより送られたかもしれませんし、送信が間に合わなかったかもしれません。 送信しようと試みた形跡は、田端のスマホに残されています。]*
(156) 2023/08/03(Thu) 19時半頃
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[小さな彼女が泣き止むまで、 ただ黙って撫でていた。>>152
やがて落ち着いた頃合いで ぽつりと仁科が問いかける。>>143 頷くかと思われた小さな田端は けれど少し戸惑った後に、首を振った。>>153]
―――あ、……
[ぺこりと頭を下げたかと思えば 止める間もなく彼女は駆けて行ってしまう。]
(157) 2023/08/03(Thu) 19時半頃
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……行っちゃった。
[まるで一陣の風のように走り去っていった田端を ぽかん、とその場に立ち尽くしたまま見つめ。 一瞬そこに、金色の光景が見えた気がした。>>155 小さな歌声の残滓が響く。]
一人で大丈夫、……か。 なにか、ちょっとでも田端先輩の力になれたかな。
[わからない。上手く言葉を尽くせた気もしない。 田端が抱えてることの一端に触れたくらいだ。 でも、どうしようもないことでも、吐き出すだけでも、 少しでも心の整理がついたなら良い。
彼女が残していった花を拾い上げて、小さく微笑んだ。 ……お礼の証、だろうか。]
(158) 2023/08/03(Thu) 19時半頃
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きれいだね。 仁科ちゃん、持っとく?
[もしかしたらあっちに持って帰れるかもしれない。 ほら、あたしはどうなるかわかんないからさ。 頷いたなら仁科に渡し、否と言われたなら自分が持っている。
そうしてしっかり スイートポテトと苺牛乳寒天までたいらげて。 ごちそうさまをしただろう。*]
(159) 2023/08/03(Thu) 19時半頃
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―現在:資料室―
[そこに居たのは田端でしたが、やっぱりみんなの知る田端ではありませんでした。 小学校高学年くらいの田端です。 胸に詩集を抱えて、外を眺めてぼんやりしていました。 窓の外は真っ赤な夕焼けです。]
…………。
[窓の外にはアラセイトウの花が揺れていました。 この花はよく知っているのです。 アラセイトウの花。 音楽の時間に合唱で歌う歌詞にありました。 どんな花だろうと思って調べてみたのです。]
(160) 2023/08/03(Thu) 20時半頃
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わたしも。 優しい人になれたらな……。
[優しいお姉さんたちがいました。 本当に優しい人になりたいと思っていました。 あのお姉さんたちの優しさを覚えていたなら、優しい人であり続けられるのでしょうか。
もうあんなふうには泣けないのに。]**
(161) 2023/08/03(Thu) 20時半頃
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ー カフェを出て→
[田端が去って行った後。 仁科は絵を描きに行くつもりだと言う。>>144 彼女も彼女なりにやり残しを昇華するつもりなのだろう。
還る前に何を描くのかちょっと気になって、 少しだけ一緒に着いて行かせてもらうことにした。
エントランスの林檎の実。 木になっているのは5つ。落ちているのはあと3つ。 嫌でも連想してしまう。
腐って落ちた誰かの生命の果実。 ……あたしか、彼女か、彼の。]
(162) 2023/08/03(Thu) 20時半頃
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[仁科がスケッチブックを広げて描き始めれば 邪魔はしないように鉛筆を走らせる音を聞いていたけれど。
ふいにラフを覗いて、あ、と声を上げた。 その顔に見覚えがあったから。]
確かミスコンの……… あ、仁科……仁科ちゃんのお姉さんか。
[ミスコンに出たと言う美人は 周囲ではちょっとした話題だった。
あたしはと言えば、いかにもって感じの華やか美人に やや苦手意識がありあまり関わらないようにしていたので 同学年と言えど直接の接点はなく。
色々あったらしいことも風の噂に聞いたくらいで 似てない姉妹が姉妹だと結び付けられていなかったし、 彼女の名字が仁科と言うことも忘れていた。 こうして今やっと思い出したくらいだ。]
(163) 2023/08/03(Thu) 20時半頃
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……お姉さんのこと、好きだった?
[それだけ、何となく尋ねた。 答えが肯定でも否定でも、 そっか、って小さく笑っただろう。]
あたしもそろそろ行くね。 みんなによろしく。元気でね。
……あと、さっき いつもと印象変わっててびっくりしたけど…… その髪とメイク、めっちゃいーね。 きっと清楚可愛い服と併せたら似合うよ。仁科ちゃん。
[仁科がアリババを描き始めたあたりで 自分は一足先に引き上げることにしよう。
そろそろ先輩たちの"やり残し"も終わった頃かな。 またビデオルームに逆戻りするつもりで、歩き出す。*]
(164) 2023/08/03(Thu) 20時半頃
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[影と翳、違う色の同じ黒がただ一度だけ寄り添う。 日常の中で付かず離れず、友人とも知り合いとも違う距離感を保ち続けたその関係性を 非日常のこの世界の中で、壊した。
これが最後になってしまうから、かもしれない。 最後にならなければいい、とも思う。 しかし最期であっても構わない。
伝えるべきことは伝えられたはずだ。 「簡単にあれこれ言ってくれるよね」と拗ねるような声 >>138 移ったように遅れて笑みを浮かべる表情 >>140 「もう、大丈夫」と伝える声 >>151
気がかりだった一つが ゆるりとほどけていく。]
(165) 2023/08/03(Thu) 21時頃
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……そうだな。 万が一自分が残ることになって、高祈が何度も思い出してくれるなら。
[その言葉は >>141 自分の望むものではなかったけれど。]
そうしてくれれば 『大藤久影』は報われるのかもしれないな。
[無にも近い、しかし彼にはすぐに見て取れるのだろう。 少し伏せた瞼の奥には、憂いのような色が滲む。]
(166) 2023/08/03(Thu) 21時頃
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[死にたい、という事と 死んでもいい、という事は 似ているようで全く違う。
どうでもいい、と どれでもいい、が違うように。
黒と黒が違うように。
この世界において既に決められている死を願ったところで 神は無情で、聞き届けてくれないのかもしれないけれど。 自分の灯が潰えることで他の道が続くなら、それを望む。
それは『死にたい』わけではない。]
(167) 2023/08/03(Thu) 21時頃
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誰かの為じゃない。 全部、自分のエゴだ。
生きていてほしい、それだけだ。
[本当に身勝手なエゴイズムの押し付け。 生者と決まった者が、死者であるかもしれない相手に落とす呪詛のように。 自分がこうして口にする全ては、呪詛返し。 生きてくれという、重い、希望。]
そろそろ、行くか。 田端からの返信がないのが気になる。
[大丈夫と告げられたならゆっくりと離れ、普段と変わらぬ距離をとる。 その前に、高祈のポケットに運命を分けた硬貨を忍ばせる。 彼が目覚めた時、現実にその現物があるとは限らないけれど。**]
(168) 2023/08/03(Thu) 21時頃
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→ ビデオルーム周辺 ―
[人が減った美術館の中に 自分の足音だけが響く。
この空間の歩き方もだいぶ心得てきたのか 何となくどこに行けばいいのか分かるような気がしてきた。 生憎誤解を招きそうな場面に 遭遇することはなかっただろうが。>>121]
(……やばい、また震えてる)
[誰かと話している時は 元気な普段のあたしで居られたけれど。 一人になった途端急に心もとなくなった。
さっき手を繋いでいた時は収まっていた筈の震えが また騒ぎ出して、きゅっと両腕で己を抱く。]
(169) 2023/08/03(Thu) 21時頃
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( ――― こわい)
[決定的なことを知りたくない。 先延ばしにしたい。逃げたい。
……神様、どうして、あたしを最後の最後まで残したの。 それはあたしこそが潰れた林檎だからなの。
誰かがあたしの代わりに 死んでいればいいとは到底思えないけれど、 ここに一人、置いて行かれたくはない。]
(………… こわい………)
[ねえ、神様。 あたし、全然覚悟なんてできない。 やっぱり何が慈悲なのかなんて、わかんないよ。]
(170) 2023/08/03(Thu) 21時頃
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―カフェ―
[一番がいいという彼女。 仁科がいちばんと言ったり守ってあげると言っても たばた先輩には意味がないのだ。
彼女がほしい一番は、ママ。 守ってほしかったのも、ママ。]
……そっか。
[探しに行くか、と問えば、ぽいすると言った。 彼女は田端先輩の観ている夢。 二歳児のさっちゃんの思いとどれほど結びついてるのかは知らないけれど。]
大丈夫なの? ほんと?
[色んな意味で尋ねた。足元もおぼつかない。 ――と思えば、驚くほどの速さで駆けてしまった。]
(171) 2023/08/03(Thu) 21時頃
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[刹那、仁科は幻を見る。
金の稲穂、鳥の羽撃き、風の温度 甘い香りに波の音
五感を語りかける何かは、たばた先輩の軌跡。 遠く聞こえた歌声は名残惜しいほどに早く消えた。
永遠の願いを模るような一輪の花を残して**]
(172) 2023/08/03(Thu) 21時頃
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[時々足を止めながらそれでも歩いていけば 大藤がビデオルームから出てくる姿を見つけることはできたかな。>>168 無事その顔を見ることができたなら、 やり残し、終わりました?って へらりと笑って着いていくつもりだけれど うまく笑えていたかどうかはわからない。**]
(173) 2023/08/03(Thu) 21時半頃
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── ビデオルーム ──
[無彩色の黒の中に浮かんだ憂いの色を>>166 覗き込み掬い上げるには、あまりに時間が足りなかった。
まるで本当の兄と弟の如く、心配の糸を解いて 重い希望に「ならそのエゴを背負おう」と返した。 それで、精一杯だった。
これで二人が隣り合う時間が最期ならば、 ──告げた通り、きっと数多の悔恨を残すだろう。 心残りを無くす為に彼に硬貨を弾かせたというのに。
告げられた言葉で思考が切り替わる。>>168 頷いて彼の後に続きビデオルームを出た。 悟れない細やかな重みになど、気づきもせずに。*]
(174) 2023/08/03(Thu) 21時半頃
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