31 私を■したあなたたちへ
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── 観覧車 ──
はい。クリームあんみつも置いておりますよ。 後は、甘味だと兎型のお団子や大福もありますし、 ご飯ものもあるので、ランチ時は盛況していますね。
シーシャは存在は知っているのですが、 お恥ずかしながら、 私は煙草の類は嗜んでいないため あまり詳しくはなくて──
[ などと話して、ひと段落したタイミングで 煙崎るくあの話に移ったのだったか。 ]
(152) 2023/11/18(Sat) 00時半頃
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あ、そうです。養護教諭の密星さんとご一緒に。 そういえば、先ほどアポロでも 密星さんから連絡が来ておりましたね。
[ こちらもそこまで隠し立てする話でもないだろうと、 質問には首肯して、>>131 ]
なるほど。中学の時から既に大人びていたと。 早熟な子だったのでしょうかねえ。
[ 見えていた情報が 一面的なものだった可能性はありつつも 菊水の同意には、卯木はふむりと頷く。 ]
(153) 2023/11/18(Sat) 00時半頃
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[ 相談事については詳しく聞かれなかったため、 この話はここで終わり、>>132 ]
菊水さんは煙崎さんが中学校を卒業した後も お会いになっていたのですか? もし卒業以降はお話しされていなかったのなら、 心当たりがないのも無理はないのかもしれません。
[ それから、ぽつりと呟かれた言葉には、>>132 卯木は伏せていた視線を上げて、 ]
(154) 2023/11/18(Sat) 00時半頃
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それはどうでしょう。 失ってから始めて気づくことも多いといいますし、 今回は事情が事情ですから。
少なくとも私は、 煙崎さんが亡くなった時こそ衝撃的でしたが、 それからしばらくの間は 仕事や日常生活に忙殺されて、 招待状が届くまでは、 たまにしか煙崎さんのことを思い出しませんでしたし。
[ 職場が職場だけに、 煙崎るくあとの思い出があり過ぎて さすがに記憶から抜け落ちることはなかったけれど、 それでも、あの招待状が届くまでは 思い出す頻度は減っていってた気がする。 ]
(155) 2023/11/18(Sat) 00時半頃
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[ だから、別に不思議でもないのではないかと思って つい口に出してみたが、 菊水からの反応はどうだったか。 ]*
(156) 2023/11/18(Sat) 00時半頃
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── 音声メッセージにつきまして ──
[ 卯木が煙崎灰羅からの 音声メッセージに気づいたのはいつだったか。
いずれにせよ卯木は思う。 煙崎るくあの兄を自称するこの男性は、 今の心中はいかほどなのだろうか、と。
たとえば、もし卯木が 従弟の名前を勝手に騙られ こんな場所に呼び出され、 従弟の事故が実は殺人と知らされ、 あまつさえ従弟を殺害したのではないかと 疑われていると知ったら、 さすがに怒りが込み上げるものだけれど。 ]
(158) 2023/11/18(Sat) 00時半頃
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[ 少なくとも煙崎灰羅の声音からは、 困惑や怒りなどの感情は 卯木には見つけられなかった。
もし兄妹仲が険悪だったのならば、 そういうことも有り得なくはないのかもしれないが、 卯木が煙崎るくあから聞いた限りでは、>>0:30>>0:61>>062 仲の良い兄妹だと思っていたから 卯木には不思議でならない。
もっとも、煙崎るくあの話が真実だったかどうかは 卯木には知りようがないため、 卯木の考えすぎということは あり得る話ではあるのだが、 卯木の中で一度浮かんだ疑問は なかなか消えてくれそうになかった。 ]*
(159) 2023/11/18(Sat) 00時半頃
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『 こんにちは。まだ生きていますよ。
足りませんでしたか? 俺の挨拶。
他に何か聞きたいことでも?
なら、簡単な勝負でもします?
お兄さんが勝ったら、俺の情報を教えますよ。
もちろん逆もまた然り、ですけど。 』
(坂理へ個人返信)
『 すまん、見逃してた。
勝負?
研究者なんでね、
殴り合いには自信ないんだが。
知っていることがあるなら無論知りたい。
どこで何すりゃいい? 』
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── 恋愛に興味のない男の話>>0:59 ──
[ 「人間というのは、 皆に好かれることはできない生き物だから、 自分が悪くなくても嫌われることもある。
だから、ある人が君のことを嫌いだと言っても 君が何も悪いことをしていないなら そのことに対して、 「自分が悪いから嫌われたんだ」と 思わなくたっていいんだ。
だけど、君のことが嫌いなその人に対しては、 自分のことを好きになってほしいと思っても 好きになってもらえないこともあるってことは 覚えておくんだよ。」
幼い頃、父がよく話してくれたことを 卯木はたびたび思い出す。 ]
(177) 2023/11/18(Sat) 11時頃
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[ 客商売をしている卯木の祖父母は、 自分に非がなければ 必要以上にお客様を接待することはなく、 こちらができる限りの努力をした結果、 兎坂庵がそのお客様に受け入れられないなら それは仕方がないと諦めるスタンスだった。
そんな祖父母のもとで育った父も同様の考えで、 その父の価値観に惹かれた母も 父と異なる価値観を教えてはくれなかった。
だから、といっては周りの人に対して 責任転嫁し過ぎな気もするが 卯木は他人に対する執着が希薄な人間に 育ってしまった。 ]
(178) 2023/11/18(Sat) 11時半頃
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[ 好きになってもらえなかったら諦めるしかないのに、 どうして好きになってもらうために 努力をしないといけないのだろうと 子供ながらに冷めた感情を抱きながら 成長してしまったと思う。
幸か不幸か、両親も祖父母も 善悪の判断はまともな人たちだったため、 卯木は『非のない人間』に育つことはできた。
勉学や運動にもさほど苦労せず、>>0:142 自分言動に対する周囲の反応を見れば、 「これは嫌われることなんだ」と理解できたし、 仮に嫌われてしまっても 簡単にその人のことを諦められたから、 人間関係に対する悩みもほとんどなかった。 ]
(179) 2023/11/18(Sat) 11時半頃
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[ 勉強も運動もできて、それなりに人当たりもよく 清潔感のある外見ならば、 異性から全く振り向かれないなんてことはなく。
ご多分に漏れず、卯木も何度か 告白を受けたことがある。 卯木としては相手を恋人として 大事に扱ってきたつもりではあるが、 相手はきっと「自分に執着していない」と 肌で感じ取ってしまったのだろう。
結果として、卯木が振られて そのことを卯木があっさり了承すると、 「やっぱり私のことが好きじゃないんだね。 そんなにすぐに引き下がるってことは……」 と傷つけてしまう。 ]
(180) 2023/11/18(Sat) 11時半頃
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[ そんなことが何度か続いたため、 「自分には恋愛は向いていない」と いつしか卯木は諦めてしまい、 それからは告白されてもすべて断っていた。
まあ、卯木も人並みには欲求はあるが、 それは特定の恋人がいなければ 解消できないものでもなかったから。 ]
(181) 2023/11/18(Sat) 11時半頃
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[ 従弟と喧嘩したあの日、>>0:137>>0:143 一瞬だけ、「この子のことも諦めてしまおうか」と 思ってしまった。
幼くして両親から捨てられた子に対して>>0:138>>0:139 なんて残酷なことを思ったのだろうと すぐに気を取り直し、 従弟が帰宅したら仲直りしようと そう思った矢先に起こった事故。>>0:16
卯木が今も従弟の命日にお墓だけでなく、 事故現場にも立ち寄ってしまうのは、>>0:15 あの日の罪悪感が、 いつまでも心の中で燻っているから。 ]**
(182) 2023/11/18(Sat) 11時半頃
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『 一発勝負で。
これより点数が上ならお兄さんの勝ちです。 』
端的な一文には、
『 1位 SAKARI Score68 』
ディスプレイを撮影した画像が添付されている。
『 OK。今メシ食ってるから、
その後でやるよ 』
『 別に急がなくていいですよ。
長引きそうですし、これ。
早く終わるなら
それに越したことはないですから。 』
(個別送信→菊水 三紗)
『改めまして、はじめまして。
先程全体送信でご挨拶した密星 偲風と申します。
中学時代の先生だということでしたので
るくあさんのこと、お聞きしてみたくて。
お時間があったら、少しお話できませんか。』
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── 観覧車 ──
どうでしょうね。 煙崎さんと密星さんの雰囲気からは、 個人的な相談をしているような感じは 見受けられませんでしたが。
まるで友人同士でお話しされているような感じで。
[ 浸りが来店したときの思い返してみても、>>0:90>>0:111 あまり深刻そうな雰囲気には思えなかったが。
卯木はもう少し思い出そうとしたけれど、 続いて出てきた言葉に、>>203 卯木の表情は少しだけ固まった。 ]
(218) 2023/11/18(Sat) 16時半頃
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煙崎さんには、甘えられる大人が少なかったのですか? そういえば、お兄さんがいるという話や、 親しい友人の話は聞いたことがありましたが、 あまり煙崎さん自身の身の上話は 話さなかった印象がありますね。
もっとも、他人に話せる内容なんて 当たり障りのないものがほとんどでしょうから、 私が知らないことも、きっと多かったのでしょうが。
[ 煙崎るくあの口から零れだした 充実した幸福そうな生活は、>>0:30>>0:61>>0:62 嘘というわけではないにしても、 他人とする会話において無難な内容を 厳選したものだったのかもしれない と卯木は思いつつ、 ]
(219) 2023/11/18(Sat) 16時半頃
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煙崎さんの死については、 何か中学時代のことが関係いているのでしょうか? ですが、私が煙崎さんと親しくなったのは 彼女が高校生になってからですし……。
[ 心当たりが全くないらしい菊水の話を聞いて、>>203 卯木は招待状の意図について首を傾げながら、 ]
(220) 2023/11/18(Sat) 16時半頃
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ええ、本当に。 煙崎さんとの思い出の中には 忘れがたいものもありますが、 それでも私の頭の中では 主要な記憶にはなれなかったようです ですが、その本当に親しい人からは、 もしかしたら、私のことを冷たい人間だと 思われているかもしれませんね。
[ 故人の記憶で卯木にとって主要なものは 事故死した従弟との思い出だけだなと思いながら、
菊水の話に頷きながらも、>>205 冗談めかして親しい人からは いい感情を持たれていない可能性を加えたが。 ]
(221) 2023/11/18(Sat) 16時半頃
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[ 「助けにならない私を恨んでたりしたのかしらね。」>>206
その言葉に、過去の記憶が呼び起されて>>0:137 卯木は一瞬言葉に詰まったけれど。 ]
(222) 2023/11/18(Sat) 16時半頃
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人間は万能ではないのですから、 全人類を助けることなんてできませんよ。
教師だって同じです。 生徒との相性やタイミングもあるのですから、 全ての生徒を救えるはずがありません。
だから、あなたが教師の仕事を全うしていたのなら、 誰かに助けにならなかったからと恨まれたとしても、 それは逆恨みや八つ当たりと変わりないでしょう。
もっとも、煙崎さんがそんなことで 他人を恨むとは私には思えませんが。
[ 卯木は煙崎るくあに 従弟の件で大変お世話になったからか、 その人物像を評価するのに 甘い傾向があるのは否めない。 ]
(223) 2023/11/18(Sat) 16時半頃
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[ 「逆恨みや八つ当たりと変わりない」なんて どの口が言っているのだろう。
僕は頑なに「自分が悪い」としか思えないのにね。>>182 ]
(224) 2023/11/18(Sat) 16時半頃
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[ そうこうしている間に、 観覧車のゴンドラは着実に動いているが、 今はどのあたりだろうか。
話し込むのに夢中になって忘れていなければ、 頂上付近に着いたタイミングで テーマパーク側と海側の景色を>>130 アポロで写真に収めたはずだ。 ]**
(225) 2023/11/18(Sat) 16時半頃
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(雛子への個人メッセージ)
僕も園内を回って来るね。
夜になって、フリーだったら観覧車乗ってみない?
って、夜になるまでに帰れるならそれでいいんだけどね。
(綺羅さんへの個人メッセージ)
はい。お気を付けて。
もし何かあったら、私で良ければ連絡くださいね。
観覧車、楽しみにしてます。
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