23 あの春の廃校だけが僕らの学校だった。
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[少年は案外読書が好きだ。
ゲームや外で遊ぶ時間も好きだが、図書室でお気に入りの本を見つけて読み耽るのもまた、愉しくて。
『椿姫』は悲恋の物語であった。
彼女が髪に飾っていた椿の花と一緒に、踊り場に遺されていた。
彼女の所持品だったのか。 少年にはわからない。]
(539) 2023/04/28(Fri) 00時頃
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[読み進めているとまた、呼吸が苦しくなってきた。ーー胸が焼ける。
本を置いて鏡の所へ向かう。用務員室には洗面所がついていた。
鏡は勿論汚れ曇っている。が、かろうじて使えそう。
シャツを脱いで上半身裸になり、自身の胸を見つめる。
薄い胸板に、肌に。ぽつり浮かぶーー朱。]
……あ……。
(540) 2023/04/28(Fri) 00時頃
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[その刻印が何か理解した。
今までの経験からして、VRの肉体が傷を負ったりした場合、まず痛みがあり暫く血が出るが、人狼の襲撃、つまり能力行使でない限りはやがて消える。
引っ掻いたりなどがそう。
だから、それが残るのはおかしくて。あれからかなりの時間が経過しているからだ。
不思議と意味がわかると、痛みが痛みではなく感じた。]
(541) 2023/04/28(Fri) 00時頃
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[痛みは存在の主張だ。
もし人間が痛みを感じないなら、傷口に気が付かないで出血などが続き大変な事になる。
つまり、痛みは知らせだ。
少年は朱に掌を重ね。]
……いや、大丈夫。 忘れたりしてねえから。
お前も明日に連れていく。 ーー俺が一緒に、連れてくから。
胸糞な奴らをぶっ潰そう。
……見ていてくれ。虹乃。**
(543) 2023/04/28(Fri) 00時頃
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虹乃。
俺は今日めちゃくちゃ頑張った。
まとめ頑張ったし、集まりそうな襲撃票も回避した。
襲撃されてさ。お前んとこいくのありか?も考えた。
でもゲーム終わるまで出られないらしい。
今日たまにしんどくて。
お前がいたら叱咤激励してくれんのにと思った。
わかってる、お前に甘える資格はねえ。
だけどさ、ここまで頑張ったら俺は、最終、行きたい。
応援しててくれ、虹乃。頼む。
俺に勇気をくれ。
虹乃…
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