34 【ペアRP】花人形たちが紡ぐ夢【R18】
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啓明結社 カコは、メモを貼った。
2024/02/22(Thu) 22時頃
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[店を去り際、手隙の煙を見かけて、 何気なく声をかけた。>>16 給仕の際に声をかけるのは控えたが、 顔馴染みと二三言交わせれば良いと思ったのだ。 カウンターに控えるその時も、ドールの私語は 禁じられているという認識はなく。 聞かせてもらった煙の近況には、穏やかに笑みを浮かべ]
それは何より。
私は──…ええ、楽しかった。
[彼に問われるまま、僅かの間の後。 気持ち微かに、首を傾げて。 今宵の時間への感想を答えた。]
(40) 2024/02/23(Fri) 07時頃
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[ジャーディンと過ごした一時。 話が弾んだとは言えなかった。 彼は終始、隣で居た堪れないような 雰囲気を滲ませていた。 席を立つ時に見せた、どこか柔らかな 微笑を除いては。>>0:261
こちらも、どこか彼を探るような接し方になった。 不用意に手を触れるのを躊躇わせるような、 彼の纏う空気と、垣間見たその気質。 それを評するに相応しい言葉は、何だろうか。 無垢とさえ、カコの目には映った。
──彼を粗雑に弄ぶ御仁の気が知れない。 それが、率直な感想だった。]
(41) 2024/02/23(Fri) 07時頃
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[煙の仕事の邪魔をする気はなく、 手短に挨拶を切り上げようとすれば、 近況には続きがあったようで>>17
近々彼を買い上げる相手は『すごく良い子』で、 煙のお願い事すら聞き入れてくれるかも知れない、 そんな人物らしい。]
来週……、そうだったの。 それは── 少し残念ね? 私としては。
[そこまで聞いた上で、敢えてそう言って。 カコはにっと笑ってみせた。]
(42) 2024/02/23(Fri) 07時頃
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[悪巫山戯めいた笑みをすぐに崩すと、 柔らかい微笑を広げて]
でも良かった、おめでとう。煙。 じゃあその前に、一度顔を出してみようかな。 またの機会も、あるといいわね。
[丁度ジャーディンにも、近いうちに顔を出すと 告げたところだ。>>0:255 今この店に在籍するドールの中でも、 煙にはよく付き合ってもらった、という 思いがあるから。]
(46) 2024/02/23(Fri) 07時半頃
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──回想・煙と──
[その夜、パルテールを訪れたカコは、 珍しく酒気を帯びていた。 微酔いという程度だったが、酒を口にした後に 立ち寄るのは稀なこと。 あまり楽しいとは言えない会食からの帰りだった。
足が赴くままに店に寄れば、既に何度か指名をした 煙が、手隙のようで控えていた。 今日は煙を、と。幾人かのドールの中から指名して]
(47) 2024/02/23(Fri) 07時半頃
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[調子の良いいつもの挨拶と、気さくな話しぶり。 確かあれは、初対面の折だっただろうか。 話をするなら、こういう事も共有したいと言って、 同じ飲み物を飲んでくれたことを、 ふっと思い出す。>>0:241]
──煙、貴方、お酒は飲めるの?
いつも私の話を聞いてくれるばかりで、 貴方のことはよく知らない。
[仮初めに手に入れた品々の美しさや、>>0:51 生業が思いがけぬ拡がりを見せた笑い話。>>0:143 女当主として年嵩の使用人達を抱える難しさのこと。
とりとめもない話を引き出すようにして、 軽妙な相槌を打ちつつ、 煙が耳を傾けてくれた、幾つかの夜。]
(48) 2024/02/23(Fri) 07時半頃
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今日は何かひとつ、貴方の話をして? 何でもいいから。
[煙が装う異国の出で立ち以上に、 奴隷として娼館に身を寄せているにしては 不釣り合いな彼の強かさは、興味深かった。
テーブルに頬杖を突き、少し眠たげに尋ねたカコは、 寝物語をねだる幼子にも似ていた。]**
(49) 2024/02/23(Fri) 07時半頃
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啓明結社 カコは、メモを貼った。
2024/02/23(Fri) 07時半頃
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[煙の退店までは、一週間ほどの猶予しかないと 聞いていたから。 カコはジャーディンに告げたよりも早く、 パルテールを訪れることとなった。 丁度良く空いていた煙を指名し、最後の夜であろうと、 いつもと同じように他愛のない会話を愉しんだ。
唯いつもと違ったのは、煙との談笑を、 小一時間で切り上げたこと。 その後に指名しようかと思っていた ジャーディンは、接客中のようだった。 何処かで時間を潰して待つには夜も遅かったから。 手近に居たドールに、言付けを頼む。]
(60) 2024/02/23(Fri) 12時頃
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[ドールに手渡すのは、一輪の赤いカトレア。 屋敷の庭で手ずから手折り、 持ち運びがしやすいよう、メイドの娘に 簡素に包装してもらった花。
彼を思わせる花は、もっと素朴な花だろうと 何とはなしに思いはしたが。 先日通された席の意匠と同じ花が、 この時期、屋敷の庭に咲くことを 出掛けにふと思い出したのだ。]
(61) 2024/02/23(Fri) 12時頃
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[この花が枯れる前には会いにくると、 ジャーディンに伝えて欲しいと言付ける。 飲食物の持ち込みが禁止されていることは 知っていたが、贈り物の類は、さてどうであったか。
伝言さえ伝わればそれでいいと思う一方、 “パルテール”と店を名付けるような女主人なら、 花一輪見咎めはしないのではないかと思いはする。]
(62) 2024/02/23(Fri) 12時頃
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[カコが再びパルテールを訪れたのは、その2日後のこと。 手が空いているドールを尋ねることはしなかった。 丁重に席へと案内され、先日予約をしていたドールを、 呼んでもらう。]
今晩は。ジャーディン。
飲み物、何がいいかしら。 カモミールティーでいい?
[否がなければ、彼にはミルクで煮出した蜂蜜入りの、 温かなカモミールティーを。 自身には、ホットチョコレートを頼むつもりで。]**
(63) 2024/02/23(Fri) 12時頃
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啓明結社 カコは、メモを貼った。
2024/02/23(Fri) 12時頃
啓明結社 カコは、メモを貼った。
2024/02/23(Fri) 12時頃
[ 辿り着いたのは、『パルテール』からはそれ程遠くない位置にある建物だった。
リッキィが養女であること、義父が魔法使いで現在は学生である事は聞き及んでいたが。それ以外……彼女の今の家族構成や、家の外観などはどれだけ話してもらえていただろうか。]
立派なお家。
今日から、あたしも此処に住むのね……ちょっとドキドキしてきちゃった。
ねえ、お家の中を案内してくださる?
[まずは、これから世話になる家を知る事にしよう。一通りの紹介が終われば一度自室に戻って諸用を済ませた後、リッキィの元へ向かうだろう。]*
啓明結社 カコは、メモを貼った。
2024/02/23(Fri) 19時半頃
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──回想・はなむけの夜──
[煙の退店を祝し、改めて別れを告げに訪れた夜。 二人同じ飲み物を幾度か頼み、寛いだお喋りの一時は、 『おめでとう。元気で。どうか、お幸せにね。』と 別れ際に煙に告げて、締めくくった。 良い引き取り手だと既に聞いていたから、その願いを 言葉にして聞かせるのは、難しいことではなかった。
次いでジャーディンの空きを問えば、 接客中と聞かされた。 懐中時計で時間を確かめ、出直すと告げて席を立つ。 客席を区切るのは、透かし彫りの間仕切りであるから。 帰りしなに、女性と二人、睦み合う恋人同士のように 頬寄せ合って抱き締める彼の姿が垣間見えた。>>71
カコが初めてパルテールで予約をしたのは、 その直ぐ後のこと。]
(78) 2024/02/23(Fri) 20時半頃
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──新しい夜──
[今宵招いたのは、淡い佇まいの青年。 丁寧なお辞儀の後、 『お待ちしておりました』と ジャーディンは告げる。>>73]
……ああ。 私、このお店で予約をするのは 初めてだったのだけど。
“待たれている”というのは、悪い気がしないものね?
[思わず瞠った目をふっと和らげて、囁いた。 ぽんぽんとソファの隣を軽く叩き。 立ち尽くす彼に、隣に座るよう促す。>>74]
(79) 2024/02/23(Fri) 20時半頃
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[注文する飲み物を問えば、 『お気遣い無く』『カコ様のお望みのもので』 と殊勝げな言葉が返ってくる。>>73 ふと頭に過ぎったのは、過ぎた夜の煙の言葉>>0:241]
……そうね、では。 当分は、私の好きなものに付き合って頂戴?
こないだ貴方が教えてくれたダーラこだわりの ホットチョコレート。 一緒に飲んでみたいと思ってたの。
まずは此処で、と思って。 あのショコラティエには、まだ足を運んでいないから。
[ジャーディンにはカモミールティーをと思っていたが、 気が変わって。自分と同じものを、と。 ホットチョコレートを2つ、給仕のドールに頼んだ。]
(80) 2024/02/23(Fri) 20時半頃
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[先日、他のドールに言付けたカトレアは、 無事にジャーディンの手に渡っていたらしい。>>74 本物を見るのは初めてだったと、彼は言う。 あれはカトレアかと確かめるような口ぶりに、 小さく頷いて]
受け取ってもらえたのね、良かった。 ちょうど先夜居たのが、カトレアの席だったから。 出掛けに、庭先に咲いているのを思い出して。 あれは、私が摘んだものなの。
[何かを懐かしむよう、カコは目を細める。]
(81) 2024/02/23(Fri) 20時半頃
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[程なく運ばれてきた、2杯のホットチョコレート。 ひとつはジャーディンの前に。 もうひとつは、カコの前へと。 熱いより一歩手前、程好く温かなカップで掌を温める。]
うちの庭はね。花が好きだった母のために、 父が他所の国から持ち帰ったものまであって。 これからの季節、なかなか見事なものよ。
春先には牡丹、初夏には薔薇が咲いて、 次は百合。 温室には、手のかかる蘭もあるの。 カトレアも、蘭の一種ね。 『蘭の女王』とも呼ばれている。
[いずれも、パルテールの意匠にも使われている、 多くの人々に愛されてきた花々だ。]
(82) 2024/02/23(Fri) 20時半頃
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最近は、人に任せきりだけど。 小さい頃は、園丁の爺やに教わって、 木花の世話の手伝いをするのが好きだった。 あとは木苺を食べたり、 蔓苔桃のジュースをもらったり、ね。
[そちらの方が目的だったかも知れない、と笑って]
ジャーディンは、花はあまり見たことがないの?
──貴方の好きなものは? 食べ物でも、物事でも。同僚でも。…何でも。
[この店で働く彼に、如何ほどの自由時間があるかは 知れない。 ここに来る以前、過酷だったであろう外界での日々に、 好きなものを見つけるだけの時間があったかも知れない。 けれど。気づけば、そう問うていた。]*
(83) 2024/02/23(Fri) 20時半頃
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啓明結社 カコは、メモを貼った。
2024/02/23(Fri) 21時頃
[今の家族構成や外観などは、相談事の際にでも
ぽつぽつと彼に話していたように思う。
それから想定されるものとさほど外れぬ外観の屋敷ではあるはずだ。多分。]
私も、初めて足を踏み入れた時はどきどきしました。
……主に飾ってある美術品を壊したら
お金どれくらい弁償しなきゃいけないかなって。
案内。じゃあまず、蔵書室からかしら。
私も養父も、部屋に居なければ大体そこにいるし。
[などと話しながら。手をひき、家の中をひととおり。
案内すれば、一旦はわかれて。
その間に諸々の書類を用意し、
蔵書室の横にある小部屋にて、書類を取り出し
簡素なテーブルの上に置く。]
ええと、雇用契約書なんだけ、ど。
毎月の給料と、休日なんかの福利厚生と
勤務内容とか、諸々書いてあって。
あと、制服とかも。来客の案内とかするときだけはね。
普段は自由なんだけど。
[諸々話を聞いた養父が用意してくれたんだけど
これでいいかしら?とすすっと差し出す。
奴隷の買い取り、ではあるものの
従者として働いてもらうのであればきちんと
雇用契約書を用意しておきなさい。とは養父談。
週休二日は少ないのかしらと考える不安な私は
まだまだ、雇う側としての自覚は足りない模様*]
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──回想・或る日の手紙──
[自室に籠もり、輿入れ前の品々を検めていた折。 可愛がっているメイドの娘が、捧げ持つように 美しい封筒を届けにきた。送り主は、以前可憐な花々の 食器を迎え入れてくれた貴人。 いかにも穏和な彼らしい、丁寧な文面。>>32]
フェルゼ様が、指輪を…?
[高貴な血筋のフェルゼの人となりは、一介の商人である カコには深く知る由もなかったが。 実のところ、パルテールに彼が通っている事は、 かねてより気づいていた。 生真面目そうな雰囲気を纏う彼のこと、 顔を合わせれば気まずかろうと、見かけた時には 極力遠い席に通してもらうよう頼んではいたが。 知り合いが来店の際は、そう取り計らってくれるよう、 日頃から店側にお願いもしている。]
(87) 2024/02/23(Fri) 21時半頃
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[貴人のご婚約とご婚礼の噂は、 いち早く耳に届くよう、種々の伝手がある。
薄絹の天蓋付きの寝台、 熱帯の採石夫が掘り出した宝石、 貴婦人の花傘にも似たステンドグラスランプ。 華美で典雅な品々は、やんごとなきお家柄の 婚礼には付き物だ。 だが、リュミエル家の喜ばしい噂は、 これまでのところ耳に届いていなかった。
メイドに申し付け、用意してもらったのは、 柔らかく百合の香を焚きしめた、 透かし模様の真白い百合が浮かぶ便箋。]
(88) 2024/02/23(Fri) 21時半頃
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[時候の挨拶から始まり、まずは先日 食器を買い上げてくれたことへの御礼。 代筆は頼まず、流れる文字で綴っていく。
選りすぐった美麗な食器が、フェルゼの邸宅で 重用されていることを知れたのは、 心浮き立つことだった。
次いで、お問い合わせを心より歓迎すること。 舶来の宝石をあしらった装飾品も 一通りの取り扱いがあり、それで事足りなければ 宝石商もご紹介できること。 ご都合の良い日時にお伺いさせていただく旨を、 礼を尽くした文面でしたため、封蝋をする。
百合の香薫る封筒は、その日のうちには、 リュミエル家に届いたことだろう。]*
(89) 2024/02/23(Fri) 22時頃
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[今はまだ、お互いに店での姿しか知らないけれど。
ゆっくりと、知っていければいいなと思う。
選ばれたというなら、
選んでもらえたのなら、
それに見合うだけのものを与えよう。]
そういえば養女でしたっけ。
うふふ、目に浮かぶようだわ。
ええ、ご主人様。よろしくね?
[洋館にしては小規模な、しかし『パルテール』の店内よりはずっと広い屋内を見て回る。
最初に案内されたのは、この屋敷で1番大きな部屋……蔵書室であった。]
まあすごいお部屋……
これ、全部が魔術についての本かしら……?
…………物語もいくつかあるのね。占術についての本も。あたしもここの蔵書をお借りする事はできるかしら。
[これでも元々は魔術士の端くれである。我流かつ本当に魔法が身につくのか、よく分からない修行ばかりしてきたが。こうも沢山の『魔法』の本があると、探究心が疼いてくるというものだ。]
[蔵書室を後にして他の部屋を巡る。食堂、浴室、お手洗い、庭などなど。流石に個人の部屋に押し入ったりはしなかったが、おおよその住人についても把握した。
厨房にいた使用人や、庭師の方にも挨拶をすませ。今は外出中の養父や彼の従者達へは戻り次第声がけをする事にして。
最後に案内されたのは、新しい使用人の部屋……つまりは自室である。
暫く使っていない客間をひとつ開放したとの事で、中には一通りの生活用品が揃っていた。
中で身支度をしていいと言われたので、一人部屋に残る。]
(『パルテール』の時もそれなりに良い部屋だったけれど、流石にそれ以上ね。)
[自然と吐息が溢れる。自分の人生で1番、よい待遇をされている瞬間かもしれない。
掴んだ幸運は離さないようにしようと、心新たに意気込んだ。]
[身支度といっても特に改めて大きく手直すような事もないので、必要ないものだけを部屋に残してリッキィと合流する。
──雇用契約。
そうか、そういう事になるのか。今までは自由業と強制された仕事しかしてこなかったから。こういう形式ばったかたちは初めてである。
……契約書自体は、幾度となく(意味を持たないとしても)使ってきたから目を通した事も記載方法も知っているが。]
ありがとね、リッキィちゃん。
……随分としっかりとした職場じゃない。制服は、お部屋のクローゼットにあったやつね?了解よ。
個人で使えるお給料とか、休日まであるのね。お店では休日なんてほとんどなかったから、新鮮だわあ……
[『パルテール』の従業員に決まった休みの日は殆どない。体調不良の際など、休暇が無いわけではなかったが。客の要望があれば休憩中でもすぐに接客に向かわねばならない。
個人的な給料などもあるようなので、個人的に必要な物は徐々に買い揃えていこうと決めた。]*
おっかなびっくりしていたら、
養父に笑われちゃったのよねえ。
今でも時々揶揄されるのよ!
[まあ、他者視点ならすごくおもしろかったろうから
わからないでもない、当時の私の挙動不審さ。
――そんな思い出だけだったこの廊下も。
今日、君と一緒に歩くことで別の思い出としてまた
いつか思い出すことになるのだろう。きっと。
蔵書室に真っ先に案内するあたりが
この養父にしてこの義娘あり。という感じではあるが、
彼が感嘆する様子に。すごいでしょと嬉しそうに私は頷いている。]
そうなの。義父は魔法使いでもあり
魔術に関しての研究者でもあるから、
古今東西あらゆる体系の魔術の本が収められているの。
[美術品より価値が高い本も低い本もよりどりみどり。
多分値段は安くてもここの本1冊が紛失するほうが、
廊下に飾られた花瓶が紛失するより私たち親子はショックだろう。
魔術師でも変わり者の2人であった。]
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