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──if・大和くんと──
毎日食べたい。その言葉に、こんな時なのに、思わず頬が緩んでしまう。
良いな、こう言うの。
こう言う毎日が続けば良いな。
でもそれに終わりが見えてしまっているのなら、やっぱり私は悲しくて。
だから、悲しい言葉を紡いでしまっていた。
宇宙が消滅するまで。
──その言葉に、美琴くんは一度言葉を失ったように思えた。
だって、そりゃそうだよね?
だってとても身勝手だもん。
育ててくれた父さんの幸せを祈ってあげられない。
続く世界を守ろうとしてあげられない。
負けるつもりはない。…そう思う。
でも、それ以上に戦える気がしなかった。
だって、ロボットには私たちが乗っている。
じゃあ敵のロボットには?
理論的に考えた訳じゃ無い。ただ、女の勘と言うべきか、私は当然のように考えてしまっていた。
あの敵のロボットには、私たちと同じパイロットが居る。
人間じゃ無いかも知れなくても、知的生命体が載っているはず。
だって、そうじゃ無いとおかしいじゃない。
相手だって自分たちと同じだけの何かを背負っているんじゃ無い?
そうじゃ無いとおかしいよ!
だって消失の規模が宇宙だよ?
だったら、別の宇宙があって、その別の宇宙を背負ってる…そう考えるのが自然じゃ無い?
だから私は、戦える気がしなかった。
でも赦されるつもりも無かった。
だから言葉を失ったように感じた大和くんに、ぎゅっと拳を握りしめて耐える。
どんな言葉も堪えようと思った。なのに。
「…怒らないの?」
宇宙を消滅させるような事、私は言ってるのに。
「私、戦わないかも知れないって言ってるんだよ?
パイロットになっても、戦える気がしないんだもん。
あんなに怖いの嫌で、
私も大和くんもみんな死んじゃうのに
残された世界の平和を祈れなくて、
ただ、ご飯を作っていつも通りに
生活していきたいとしか思えなくて!
私が、みんなを、…消しちゃうかも知れないんだよ?」
泣くな。泣くな泣くな泣くな!
じわっと滲んできた涙を手首で拭う。
でも声が震えてしまう。いけない。慰めて欲しい訳じゃ無いの。
だから、じっと青の瞳で大和くんを見つめる。
そして、問いかけた。
「…大和くんは、この世界を護りたい?
私は。
──なんで私たちが、の気持ちが強すぎて
死んだ後の世界のことまで考えられないの。」**
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──if・恵一くんと、料理中>>217──
「…誰も死んじゃダメだよ。 ダメなはずなのに。」
>>244私が死ぬより自分の方がなんて恵一くんは言うけど、私は電話越しに緩く首を横に振る。 それに、私が死んだらみんな悲しむ? それはどうかな。 私が死んだら、重荷が一つなくなるだけかもね。 ──泣いて悲劇の主人公になって、でも、私のことを忘れていつか父さんは新しい子供を作るんだ、きっと。 新しい子供。新しい奥さんと一緒に。 それを許せないなんて思わないけど、流石にやるせ無さすぎる。
(35) 2023/11/14(Tue) 21時頃
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「契約破棄も出来たら良いけど、 私たちを騙す奴らの上に法律なんてないだろうから 私は、多分ダメだと思ってる。 でも、…上手く戦えるとは思ってない。」
ぽつりと、そんな事を呟いて。 でも、──一つ、聞いてみたいことがあった。
(36) 2023/11/14(Tue) 21時頃
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「恵一くんはもしあれが全部本当で 自分の命は確定で失われるとしたらどうしたい? どうしたいというか、それまでは何がしたい?
参考までに教えてよ。 私に協力できる事あったら言って?」
それはまるで例え話のようだった。 たった今、私はそれらを真実で受け止めるべきだと話していたのに。 お味噌汁の火を止める。 そろそろ、電話も切り上げどきかも知れない。**
(37) 2023/11/14(Tue) 21時頃
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>>37そして、私はその後に(多分、大和くんとのお話の後に)同じ内容のメッセージを柊くんにも送った。
自分たちの命がもうすぐ消える。 または宇宙ごと消滅する。 それまでにしたいことは何? 協力できるなら言って欲しいと。
でも。 柊くんには追加で添えた言葉がある。
『ためらっていた私も後押しされて騙されたんだから そんなに気にすることないよ。多分ね。』
(38) 2023/11/14(Tue) 21時頃
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──if・大和くんと──
「そんな…。」
>>40大和くんが、そんなふうに世界のことを考えているとは思ってなかった。 それは、大和くんの境遇を私が全部知っている訳じゃ無かったから。 だから、大和くんは多分世界を守るというんだと思ってた。それが違ったから、少しだけ意外で驚きもしたけど。 でも、そんな、と言ったのは…私はそんなすごい人間じゃないもの。 責められたかったんだと思う。 嫌われたかった…のかもしれない。 そうして、より投げやりになりたい自分もいた。 嫌われたから仕方がないじゃない。 怒られたから投げ出しても仕方がないって。 でも。 私のそんな小さな言い訳を掻き消して、大和くんは言葉をくれる。 暖かくてまっすぐな言葉だ。
(45) 2023/11/14(Tue) 21時半頃
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「…わ、わたし?」
でも。 >>42私の為になら。その言葉に私は面食らって目を丸くする。 どうしてそんな言葉が出てきたんだろうと耳を傾けたなら…私のご飯が、大和くんにとって大切なものになっていたみたい。 何それ。そんなの、…すごく嬉しくて。 泣くな。そう思っていたのに、涙腺が呆気なく崩壊する。 両手で顔を覆って、…でもいやいやと首を横に振った。
(46) 2023/11/14(Tue) 21時半頃
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「やだ。いや。 毎日ご飯を作るのは良いよ、作るよ? でも、──大和くんがいなくなった後は無理だよ! だって、私は一人きりになっちゃうよ? …一人でご飯は、いや、なのに…。
大和くんまで居なくなったら…。 私、…やだ、よぉ…。」
毎日一人、ご飯を作るなんて。 誰も食べてくれる人がいないのに。 隣に大和くんが消えてしまっても作るなんて、想像して耐えられなかった。
自分から遠ざけたならともかく、この世界から消えてしまった後だなんて。 それこそ抜け殻になって、戦う気力も何もかも無くしてしまう。そんな気がした。**
(47) 2023/11/14(Tue) 21時半頃
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──if・恵一くんと、料理中>>217──
「そういえばあれ合宿所のだよね。 でも私のなんて完全に待合席だよ…?」
>>43なんであのソファだったんだろうね、恵一くん。私は私で、待合席の中でもさらに座れなかった人用のパイプ椅子、ならぬ腰掛けだったけど。 家のソファの方が居心地良いのに。 でも今となってはソファじゃなくてよかったと思えた。家の中で思い出してしまうもの。
「って、…あー、成る程、そういうことね…? 前にほら、手作りのお菓子とかダメだから なんでなの?って聞いた事あったから理解できるけど キス。キスって。 …。」
でも、恵一くんの言葉にはギョッとした後、なるほどそれでお腹を壊した?くらいに考えていた。 実際の病状は知らないから、単純にそう考えてしまったんだけどね。
(48) 2023/11/14(Tue) 22時頃
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恵一くんの想いを否定したりはしない。しないけど。 続いた言葉には思わず言葉を失なって。 「…伝えられないよ。」
声が震える。は…、と吐き出す息すら震えて。
「私が、私が…巻き込んじゃったから。」
ごくごく小さな声で呟いて。 そのまま電話を切ってしまった。 いきなりのぶつ切り、恵一くんは可笑しく思ったかな?怒ったかな?でも、これ以上話せない。 ぼろぼろと涙をこぼしてしまって、ざぶざぶと流しで顔を洗う。
(49) 2023/11/14(Tue) 22時頃
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「…お待たせ。」
そして顔を拭いてから笑って、食卓を始めたんだ。**
(50) 2023/11/14(Tue) 22時頃
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──if・大和くんと──
「私のご飯で良いならたくさん作るよ? 私しかいないなんて、そんな事…。」
>>53そんな嬉しいこと言わないで欲しい。 許された気になってしまう。許されない状態にしてしまったのに。その原因は私なのに。 >>54でもやりたい事を。 それが、私のご飯と直結してるならいくらでも作ってあげる。私にはそれくらいしか出来ないから。
「…なら、1日3食作ってあげるから 今日から泊まっていくと良いよ、大和くん。 大和くんちが構わないなら、うちは大丈夫。 でも、…私のやりたい事…何だろう?」
ぐずぐず泣きながら、ハンカチで涙を拭いて。 でも考えてみたらやりたい事?
(69) 2023/11/15(Wed) 08時頃
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私は、…本当ならキスくらいしたかった。 好きな人と一度で良い。 でも、…そこまで望めない。望めないから。
「…なんか。 お揃いのもの、持ちたいな。」
大和くんと。 …そうは言わなかったから、みんなと、と勘違いされるかも知れない。勘違いされて良い。
(70) 2023/11/15(Wed) 08時頃
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「そうしたら、一人じゃないって。 1番最後に残る誰かのためにって戦えるかも。」
繋がってると思えるから。 ──本当は二人きりの、お揃いのものを。でも、恋人でもない。恋人じゃない。 だからペアで持とうなんて言えなかったから。 私にはあの誕生日の栞がある。それだけで…。
「…あっこれ、ギディちゃんのグッズ。 柊木くんが教えてくれてたでしょ? 私集めるの好きなんだけど…。 合宿の最中、この二つは見つけたんだ。 だから、片方あげるね。」
それは、ご当地ギディちゃん…ではなくて。 その横に売られていた、星座シリーズだった。 それぞれの星座のモチーフのコスプレをして、星座図を抱えてるギディちゃんのマスコット。
(71) 2023/11/15(Wed) 08時頃
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獅子座と蟹座しか無かったなんて、嘘。 二つを見つけて買ってしまったのは本当。 これなら比較的どこでも買えるし、受け取ってもらえなくても構わないから。
「…要らないなら、並べておくよ。 他のみんなの分も買って。」
だから気に着ないで断ってくれて良いよ。 私は、何にそんなに怯えているんだろう?**
(72) 2023/11/15(Wed) 08時頃
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──if・大和くんと──
「食費は大丈夫だよ、 今までもみんなに沢山作ってきてたし。 着替えも父さんの使って良いし あれなら取りに行って戻ってきたら良いよ。」
>>88大変じゃない。それだけは伝えたくて口にする。 それより一人になりたくない。一人にしたくない。どちらがより強いかはわからないけれど、大和くんと一緒にいたいのは本当だったもの。 大和くんが一緒にいてくれるなら、その間だけはなんとか…生きていけるって思えてしまった。 だって。 こんな時にも私は大和くんに救われてしまったんだもの。
「そうそう、鉢巻とか。ミサンガ?とか。 簡単に身につけられるもの作りたいな。 ミサンガなら手首に巻けるし…良いかも。 材料も刺繍糸ならあるしね。」
(96) 2023/11/15(Wed) 21時頃
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それを受け取らないのも、身につけないのも自由。 けれど。 そうして、一人じゃないよと伝えたい気持ちはある。 自分が死んでしまう絶望の中で、最後のパイロットになるまで託そうと思えるくらいには。 そう。私で終わらせちゃいけないのかもと、ほんの少しだけそう思えたのは。
理由はやっぱり大和くんで──。
「…え? え、別に良いけど…。」
>>90何故か私の蟹座の方を欲しいと言うから、驚いて咄嗟にOKしてしまう。 蟹座ギディちゃんを繁々眺めてる様子を見て、手元の獅子座ギディちゃんを抱きしめて。 私はキュッと唇を引き結んだ。
(97) 2023/11/15(Wed) 21時頃
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ダメだよ。 …許されちゃダメ。 本当かわからない好きを貰って、そんなの嬉しくないでしょう? ──そう、思うのに。
「…大和くん。」
私たちにはもう終わりへの道が示されているのに。
「…大和、くん。」
私たちにはきっともう、何かを形にして残せないのに。
(98) 2023/11/15(Wed) 21時頃
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私は大和くんに近づいていく。 その途中、獅子座ギディちゃんがぽとりと落ちて転がって。 私は大和くんに両手を伸ばして抱きついて、目を閉ざして唇を重ねようとした。
キスしてとも。好きとも言わないまま。言えないまま。**
(99) 2023/11/15(Wed) 21時頃
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──if・大和くんと──
>>102私から大和くんへのキスは──止められてしまった。 唐突にしたらそうなるよね。 わかってる。そうだよね。キスってそう言うものだ。 本当に大好きな人と。1番好きな人とすべきなんだよね。 ぐ、と私は言葉に詰まりながら眉を寄せた。
勝手にキスしようとしたんだから当たり前だ。 好きと言う勇気もないくせに。無くしてしまったくせに。 想いだけが溢れて行動しようとしたから、止められてしまった。当たり前。当たり前なのに。
「…っ。」
>>103なのになんで抱きしめてくれるの? 訳がわからなくなって、私は両手で大和くんの胸を押し返した。 真っ赤になって俯いてるのは、恥ずかしいから。苦しいから。辛いから。 ごめんなさいと言う気持ちと、やっぱりダメだねって諦めと。失恋した、そんなショックで視界が滲む。
(104) 2023/11/15(Wed) 22時頃
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「…ごめんね、どうかしてた。 でも、振るなら、優しくしないでね。 勘違いしちゃうし、…振られても、 ご飯はちゃんと作るから…。」
あはは、とわざと笑ってあげよう。 涙を拭きながら、それでもなんでもないよって。 ああ、でも。まともに顔を見られたくなくて、私はテーブルに戻って食器を重ねて片付け始める。 かちゃ。かちゃ、と硬質な音が小さくして。
「…好きな人にしかしないもの。」
でもそれだけは誤解されたくなくて。 ぽつりと、背中を向けて口にした。**
(105) 2023/11/15(Wed) 22時頃
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──if・大和くんと──
>>107勘違いは、言いたくない。流石に何をどうこうと詳しく言いたくなくて、私は曖昧な顔をして口を閉ざした。 それでも好きな人にしかしないと口にしたのは──誰でもよかったなんて思われたく無かったから。 好きな人だからしたかった。したくなった。 それ以外にキスする理由、私にはないよ。 投げやりになった訳じゃない。 でも、もしかしたら受け入れてくれるのかな、なんて思ったから──。 でも、嗜められて、踏みとどまられたから。 それとこれとは違うと線引きされたように感じて、だよね、と身を引いただけ。 それだけだよ。私が振られただけ。優しさを勘違いしただけなんだって。
そう、思ったのに。
(110) 2023/11/15(Wed) 22時半頃
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「え?っ、大和くん…???」
>>107名前を呼ばれて手首を掴まれた。 がちゃん!と食器が派手に音を立てる。 振り返させられて、押し倒すような姿勢──というかほぼ押し倒されていた。背中にテーブルの感覚。少し引き寄せられた関係でぎりぎり食器に当たらなかったけど、ちょっと勢いに振り回されてしまったみたい。 唐突な状態に目を白黒させてたけど。
「…え。」
>>108それは熱烈な告白だった。 混乱する頭に浸透するまで数秒掛かるほどの。 でも、私の頭は喜びに浸れはしなかった。 きっと、合宿前までなら天に昇る心地になるだろうその告白は、今の私にはただそれだけのものにはならなかったから。
(111) 2023/11/15(Wed) 22時半頃
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「…好き、大好き。大和くんが、好き。 でも、だから後悔してる。 ──合宿、誘ってごめん…。」
告白するつもりも、許されるつもりもなかったのに。 ボロボロと涙をこぼしながら私はその言葉を我慢することができなかった。 うーっ、と唸りながらも涙すら止めることが出来なくて。
「こんなことに巻き込んでごめん…。 わ、私、じぶんも大和くんも死んじゃうなら 戦っても意味ないって思って、ごめん…!
良い子でいようと思ったけど、でも、 私が最後ならきっと宇宙を消しちゃうの、ごめんなさい…!」
(112) 2023/11/15(Wed) 22時半頃
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きっと、大和くんが私を生かしてくれたとして。 でもそれも私は意味のないものにしてしまうだろう。 私が戦うとしたら、最後の人に判断を委ねるためだけだ。 それだって勝てるかわからないのにと私は大粒の涙を溢し続ける。
許してもらえても貰えなくても、それは変わらない。 私、…女神なんかじゃなかったから。**
(113) 2023/11/15(Wed) 22時半頃
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──if・大和くんと──
「そんな…っ、合宿、だって一緒に行きたくて…。」
それは部員みんなが同じだった。 その中でも大和くんが1番だったけど、そんなことでも喜んでくれていただなんて。 私がいなければ戦う意味がないだなんて。 どうしてそんな嬉しいことばかりいってくれるの? それでも私たちは終わってしまう。 道半ばでもう直ぐ命が終わるのだと、それが酷い冗談なら良いのにと思えてしまった。 他の何かが犠牲になっても、二人で生き残れるならそうしてしまいたい。願うだけなら自由でしょ? でも、そんなことを口に出せない。目の前にそうできると言う何かがあっても即決できるとは限らない。 ただ私は、──大和くんに恋するただの女の子に戻りたかった。
(137) 2023/11/16(Thu) 07時半頃
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