人狼議事


14 冷たい校舎村10

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【人】 季節巡回 こころ


[ 冬だった。
 吹きすさぶ風の厳しさも、
 頬や瞼を濡らす雪の冷たさも。

 けれど知っている。
 体温を分かち合えるのであれば、
 凍てつく冬もなんてことはない。

 そう遠くない未来に、
 君のこころにやわらかな風が吹きますように。]
 

(7) nabe 2021/11/15(Mon) 19時半頃

【人】 季節巡回 こころ


[ さよなら≠ナはなくまたね≠告げて。
 季節の巡り廻る世界へとわたしはかえってきた。]
 

(8) nabe 2021/11/15(Mon) 19時半頃

【人】 季節巡回 こころ

 ── 現在 ──


  …………。


[ 雪は降っていなくとも、
 真冬の夜は寒いこと。知っている。

 クローゼットを開けたところだった。
 淡いベージュと白と薄いピンク。
 それらが織りなすチェック模様。
 相変わらず、丁寧に畳まれてそこにある。]
 

(9) nabe 2021/11/15(Mon) 20時頃

【人】 季節巡回 こころ


[ こちらの世界で目が覚めて、それから。

 スマホに届いていた数々のメッセージ。
 この世界への帰還を知らせるそれらを見た。
 君との駆け込みセーフは二度目……でいいのかな。

 つまり、君が帰ってくることを確信しながら、
 わたしはすぐさま出かける準備をはじめた。

 部屋着のスウェットをベッドに放り投げ、
 当たり前のように制服を着込んだ。
 コートを着ても尚、外は寒そうで、
 わたしはクローゼットを開いた。数秒。
 ぱたんとその扉を閉じて階下に声を投げる。]
 

(10) nabe 2021/11/15(Mon) 20時頃

【人】 季節巡回 こころ



  ──お姉ちゃあん、
  マフラー貸して、今すぐー


[ なにが起きたか説明するでもなく、
 わたしの声に驚いた家族たちとて、
 どこに行くのかと尋ねるわけでもなく、

 姉が投げて寄越したマフラーを巻いて、
 わたしはいたって堂々と、玄関を出た。

 ……雪が降っていなくてよかった。
 自転車に跨り、いざ行かんとそのときに、
 思い出したようにグループチャットを開く。]
 

(11) nabe 2021/11/15(Mon) 20時頃

【人】 季節巡回 こころ



 『 おかえり。今から行くねー 』


[ ごく短い文章を打ち込めば、
 雪のない、けれど人気も少ない道の暗闇を、
 自転車のライトの光で切り裂き、走り出す。
 無彩色が、今もわたしの首を守ってくれる。*]
 

(12) nabe 2021/11/15(Mon) 20時頃

【人】 季節巡回 こころ

 ── 校舎にて ──


  ……まなちの頑固者。
  ゴーイングマイウェイ。
  そのうち二つ名がつくよー
  まなち・ザ・マイペース


[ いつかと同じ場所に彼女はいた。
 真っ先に口にしたのは謝罪だったくせ、>>18
 そこから頑として動く気のなさそうな姿に、
 わたしはすらすらと言葉を並べ立てたかった。

 いくらここが優しい世界だとしても、
 壊れゆく場所に置いていくのが嫌で。
 わたしは、わたしのわがままとして、
 冗談めかした言葉で少しだけ抵抗する。]
 

(29) nabe 2021/11/16(Tue) 20時半頃

【人】 季節巡回 こころ


[ この世界は壊れかけている。
 和歌奈ちゃんはそう言った。けれど、]


  ……ここで星を眺めていても、
  ちゃーんと帰れる……のかなあ?


[ やはりわたしに断言できることではなく、
 この世界の創造主に視線を向けながら、
 わたしは腰に手を当てて立っていた。]
 

(30) nabe 2021/11/16(Tue) 20時半頃

【人】 季節巡回 こころ


[ ……けれど、彼女にその気がないなら。
 本当は担いでだって連れていきたいけれど、]


  ……呼べなかった≠じゃなくて、
  呼ばなかった≠だって。
  わたし、そう捉えるよー、まなち。

  本当に必要なときには、
  ちゃんと声を上げてくれる?


[ 少し不安なのだ。
 この世界の終わりも、君のことも。
 ただの一人の友だちとして。]
 

(31) nabe 2021/11/16(Tue) 20時半頃

【人】 季節巡回 こころ


[ 心配。というより、心細いが表立って、
 わたしの眉尻は少しだけ下を向いた。
 あの世界の終わる間際のことだった。*]
 

(32) nabe 2021/11/16(Tue) 20時半頃

【人】 季節巡回 こころ

 ── 現在・病院 ──


  虎ちゃーん……
  ピンピンしてるねえ。


[ 夜の病院の自販機コーナー。
 とんと縁のなかった場所に、
 見慣れた姿をひとつ見つけ。

 わしゃっと撫でまわそうとした手を、
 けんもほろろに振り払われたわたしだった。

 それも含めてコジローだなあと、
 しみじみしているわたしに彼は告げる。
 手術室ならあっち。指をさされた方を見て、
 わたしはお礼を言ってそちらに足を向ける。]
 

(33) nabe 2021/11/16(Tue) 20時半頃

【人】 季節巡回 こころ


[ 二度目だったから彼の対処は素早かった。>>4:+70
 ……のかはわたしには知りようがないが。

 教えられた方向へと向かえば、
 何人かの友だちがそこにいるのが見える。

 目立つのは床にへたり込むなっちんだ。>>16
 お行儀が悪い……というのは冗談で、

 それでもわたしはその肩を叩き、
 なっちんったらーと軽やかに言おうとしたのだ。

 驚いてくれるだろうかという悪戯心。
 小走りで背後へと近寄り、
 その頬を外気に冷えた手で挟もうと──、]
 

(34) nabe 2021/11/16(Tue) 20時半頃

【人】 季節巡回 こころ


[ ストレッチャーが去っていく。>>16]
 

(35) nabe 2021/11/16(Tue) 20時半頃

【人】 季節巡回 こころ


[ 顔を上げたら、周囲がよく見えた。

 閑散とした空間。そこに集まる人たち。
 病院の人たちに運ばれる友だちの姿は、
 想像以上に痛々しい。生々しかった。

 君の帰りを待ちわびていたらしい人たちは、
 あの文化祭の日とはまるで違う、
 安堵と、尚も拭いきれない不安を浮かべ、
 きっとこれから君の病室へと向かうのだろう。

 これは何もかも現実だった。
 そのことを今さらながらに痛感する。]
 

(36) nabe 2021/11/16(Tue) 20時半頃

【人】 季節巡回 こころ


[ ね。ちゃんと帰れてたでしょう。
 あの世界でひどい姿だったコジローも。
 わたしの言った通りだったでしょう。

 用意していた軽口が何一つ出てこないまま、
 わたしは泣くとも笑うともつかない表情で、
 和歌奈ちゃんが運ばれていくまでを見ていた。*]
 

(37) nabe 2021/11/16(Tue) 20時半頃

【人】 季節巡回 こころ

 ── 後日・床に伏せる君と ──

[ それからどれほど経ったころか。

 我らが担任ナオシゲくん。
 生徒のピンチにもニコチンを切らす、
 ストレス過多なみんなのダディを捕まえて、
 面会できるようになったと聞きだせば、

 わたしは学校帰りの制服姿で、
 ふらりとその場所を一人で訪れる。

 片手にはドーナツ屋の袋、
 もう片方の手にも紙袋を下げて。]
 

(44) nabe 2021/11/16(Tue) 22時頃

【人】 季節巡回 こころ



  やほー、わかにゃん。
  みんな大好きドーナツボーイのお届けだよー
  山盛り買ってきちゃったから、
  妹ちゃんとか親御さんとおやつにしてねー


[ 軽い口調で切り出して、
 片方の袋を適当な場所に置いた。

 好き勝手に近くにあった椅子を引き、
 ベッドの近くに腰を下ろせば、
 今度はもうひとつの紙袋の出番。]


  こっちはナオシゲくんからの預かり物。
  ……なんだけどー、
  どう? 受験間に合いそー?
 

(45) nabe 2021/11/16(Tue) 22時頃

【人】 季節巡回 こころ


[ こんなところでも勉強に追われるなら、
 塾の授業のほうが要点がまとまってたから、
 資料を横流ししてあげようっておどけて、
 ……シリアスなトーンは打ち消せただろうか。

 なんせわたしたちは受験生である。
 心配事も考えるべきことも腐るほどあり、

 けれど、それ以前に君は君で、
 今ここに、きちんと体温を持って存在する。

 君について。まだ知らないことがあるとしても、
 それさえあればどうとでもなる。
 ……とさえ、わたしはこころのどこかで思い、]
 

(46) nabe 2021/11/16(Tue) 22時頃

【人】 季節巡回 こころ



  ……わかにゃーん、
  ちょっとだけハグしてもいい?


[ はい! と大きく手を広げて、
 締まりのない笑みを浮かべたわたしだった。*]
 

(47) nabe 2021/11/16(Tue) 22時頃

【人】 季節巡回 こころ

 ── 病院 ──

[ 思ったよりもなっちんは派手に泣いていた。>>51

 わたしはそうすることもできずに、
 なんともいえない顔して周囲を見るばかり。

 どのくらいそうしていたのだろう。
 君は気づけば自力で立ち上がっていて、>>52
 おや。また手を貸す機会を失ってしまった。

 ふいに呼ばれた名前。>>53
 わたしは素直にその声の主に顔を向け、
 その涙でぐちゃぐちゃの顔が、
 へにゃりと笑顔を作るのを見ていた。]
 

(59) nabe 2021/11/16(Tue) 23時頃

【人】 季節巡回 こころ


[ ──ああ、そうか。
 やっぱり笑っていい場面だよなあ。

 起きた事実は覆らないとして。
 これをきっかけに変わる未来や、
 こころを痛める人がいるのとしても、

 少なくともわたしたちの友だちは帰ってきた。
 
 だから、目の前の顔を手本とするように、
 わたしも目を細め、頬を緩ませる。]
 

(60) nabe 2021/11/16(Tue) 23時頃

【人】 季節巡回 こころ


[ それから、
 先ほどし損ねたことのリベンジみたいに、
 きっとまだ濡れている頬に手を伸ばし、
 指先で摘まんでやろうとしながら言うのだ。]


  うん。路子だよー
  ただいま、なっちん。
  言ったでしょー、大丈夫って。


[ 天はわたしの味方なんだよ。
 ……とは、今回ばかりは言えない。
 けれど、わたしの友だちが選んだ結末だ。

 ……いくらそうは言ったって、
 わたし、この現実の空気にあてられてるの。]
 

(61) nabe 2021/11/16(Tue) 23時頃

【人】 季節巡回 こころ


[ ──だから、]


  ご褒美にぎゅーってして。


[ じゃなきゃ君のかわいい頬っぺたを、
 冷えに冷えたこの両手が襲うでしょう。

 甘やかしてくれるんでしょう?
 遠くも思える約束を今こそ持ち出してみようか。*]
 

(62) nabe 2021/11/16(Tue) 23時頃

【人】 季節巡回 こころ

 ── 後日・主じゃなかった君と ──


  今帰りー?
  ご一緒させていただこうかしらー


[ やあやあとわたしは君を引き留める。
 そうそう、そこの君だ。

 わたしより少し背が高く、
 質の良い上着を着ている。
 ……あの日と同じであれば。

 どんなに衝撃的な出来事があれど、
 それが誰かのこころを人知れず抉ろうと、
 日常は続くものであるからして、それらしく。]
 

(63) nabe 2021/11/16(Tue) 23時頃

【人】 季節巡回 こころ


[ 聞くなり、乗ってきた自転車を降り、
 勝手に隣を取るように歩き出しながら。
 わたしはすらすらと言葉を紡ぐ。]


  あの世界を作ったのは
  ヘータローじゃなかったけどー

  あの世界の主かもしれないって理由で、
  心配してたわけじゃないんだよー?


[ つまり、今も君が少し心配です。
 ただ友だちとして。当たり前のことでしょう。
 だから、当然というふうにわたしは言って、
 少し首をかしげて、その顔を覗き込む。]
 

(64) nabe 2021/11/16(Tue) 23時頃

【人】 季節巡回 こころ



  ……忘れちゃった?


[ 覚えていたら、と言ったのは君だ。
 忘れていなくて、気が向きそうなら、
 宿題は済んだのかと尋ねてみようか。*]
 

(65) nabe 2021/11/16(Tue) 23時頃

【人】 季節巡回 こころ

 ── 病院 ──


  ……でしょー


[ 屈託なくなっちんは笑った。>>67

 委員長らしくだとか、
 ちゃんとしなければだとか、
 意識したことなんてなかったはずだ。

 同様に、人に認められてようやく、
 自分の行いを正当化できるというのも。

 けれど今、わたしは安堵している。
 その笑顔をなにかの証明として、
 今は再会を喜ぼう──なんて気取った言葉。
 口に出すわけではないけれど、ただ、]
 

(69) nabe 2021/11/17(Wed) 00時頃

【人】 季節巡回 こころ



  ……ふふ、高くつきそうだなあ。
  ほら、もっと強くーぎゅーっとな。


[ 10cmの身長差。
 結局抱き着かれているみたいな格好で、
 わたしは言葉通りぎゅっと腕に力を込めた。

 3人目ともなると親の目もザルなのだ。
 ……あるいは家系的にお気楽であるからして、
 自力でここまでやってきたわたしの体は、
 お察しの通り、きっと冷えに冷えている。>>67
 だから少しばかりその体温を分けてね。

 いつかできなかったぶんのリベンジ?>>68
 それでもいい。今はただ引っ付いてたいの。]
 

(70) nabe 2021/11/17(Wed) 00時頃

【人】 季節巡回 こころ



  なっちん、あったかーい。
  ……生きててよかったあ。


[ 君もわたしもみんなまとめて。

 鼻先をうずめた髪に、肌に、
 冬の匂いはもう感じられなくて、
 わたしは少しの間、そうして目を閉じていた。**]
 

(71) nabe 2021/11/17(Wed) 00時頃

【人】 季節巡回 こころ

 ── 後日・主じゃなかった君と ──


  なんだとはご挨拶だなー
  わたしじゃ期待外れですか。


[ 文句を言いつつも隣に並び、
 冷たい風の吹く通学路を共に歩く。>>94

 人通りが特別少ないわけでもない、
 雪が降り積もるわけでもない通学路。
 彼の代わり映えのない日常の一片として、
 わたしが存在するというなら光栄である。

 何の話だとでも言いたげな顔で疑問符を飛ばす、
 君のために親切に補足しておいてあげようか。>>95]
 

(108) nabe 2021/11/17(Wed) 21時半頃

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