10 冷たい校舎村9
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[ 私は臆病だから、耐えられなかった。
見限られる前に、
役立たずの烙印を押される前に、
全部投げ捨ててしまいたくなったの ]
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[ チャイム、鳴っちゃったな。 わあわあ騒ぎ立てながら、慎一は思う。]
(11) 2021/06/06(Sun) 01時頃
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── 8時50分・教室 ──
[ まだこんなに人が少ないのにね。 慎一は自分の席に座ってそのときを迎える。
鳴り響くチャイム。 8時50分、始業の合図。 毎日規則正しく鳴り響く音。
そのときはまだ辛うじて、 やっぱり休校なのかなって思っていられた。]
(12) 2021/06/06(Sun) 01時頃
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[ 圏外だったはずのスマホが鳴る。
それも、慎一のポケットの中からだけじゃなく、 教室のあちらこちらから。一斉に。騒がしく。 急なことに、慎一はちょっとビクッとする。
それから、スマホの中身を見るより先に、 慎一はすんすんと鼻を鳴らした。 奇妙なにおいがした気がしたせいだ。>>#1 慎一は耳だけじゃなく、鼻もけっこう利く。
出所を探すように廊下のほうを見た。 ちかちか。明るいだけじゃない光が、 どういうわけだか瞬いている。気がする。]
(13) 2021/06/06(Sun) 01時頃
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[ 気がするだけならよかったんだけど、 慎一は「なんで?」って思って立ち上がった。
教室の扉まで歩いてって、 扉にそっと手をかけて、力をこめて引く。
だから、教室の前のほうにいた人なら、 慎一以外にも外の様子が見えたはずだ。
どうだろう。さっきと様子の違う廊下が、 扉の向こうから顔を覗かせてるよ。]
(14) 2021/06/06(Sun) 01時頃
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[ 見なきゃよかった。
──と思考する余裕さえもなく、 慎一はその瞬間、その場に立ち尽くしている。]
(15) 2021/06/06(Sun) 01時頃
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なんで。
[ って、何かの癖みたいに呟いたのは無意識だった。*]
(16) 2021/06/06(Sun) 01時頃
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── 現在・3年9組教室 ──
[ なにか、も何も。>>19
目前に広がる光景を見つめて、 少しの間フリーズしていた慎一は、 その言葉で現実に引き戻されはした。
けど、なんていうか、ダメだった。 やっぱり今日は最悪な一日で、 順調にいくことなんかひとつもなくて、 慎一の頭には「なんで?」ばかりが、 たくさんたくさん渦巻いている。]
(27) 2021/06/06(Sun) 01時頃
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……わ、
[ わかんない。と言おうとしたのか、 綿見。と名前を呼ぼうとしたのか、 どっちだったかさえ定かじゃない。
ただ、声のしたほうを振り向いて、 そしたら綿見の黒い髪と目があって、 その向こうにいつもどおりの教室と、 あまりたくさんじゃない級友がいて、
「わ」の続きを紡ごうとしたら、 言葉じゃないものが溢れそうだった。]
(28) 2021/06/06(Sun) 01時頃
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[ だから、慎一はもうダメだった。 何があったかを説明するなんて無理。 みんな、自分の目で見ればいいと思う。
慎一にそれ以上何も言わせないでほしい。 だって、無理。声を発したら涙も出ちゃう。
扉を開けた瞬間から、 ぶわあっとなってた頭の中が、 真っ白から、いろんなもので綯交ぜになって、 目の前の光景もぐにゃぐにゃ歪みはじめてて、
だから、気が付いたときには、 慎一は逃げるみたいに教室を飛び出してる。
行き先なんか考えてなかったけど、 たぶん、もう帰ろうって下に向かって。**]
(29) 2021/06/06(Sun) 01時頃
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── 現在・昇降口へ ──
[ 走っても走っても匂いは消えない。 視界に瞬くカラフルな光がうるさい。
だから逃げ場がないようで、 慎一はちっとも立ち止まれない。
途中、何かを踏んづけて、蹴飛ばして、 足元を見て、何かがカッターナイフだと知る。
だからなんなの。 余計に意味がわからないだけだった。
慎一は泣きたい。 今すぐ「わああ」とか声に出して、 ダンダンと足を踏み鳴らしたり、 うずくまって床に拳を打ち付けたりしたい。]
(78) 2021/06/06(Sun) 11時頃
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[ でも、18歳のそれは奇行でしかないから、 とにかく今はこの場から逃げ出して、 平穏で平坦で静かなところに行きたかった。
名前を呼ばれた気がしたけれど、>>64 というか、だからこそ逃げなくちゃ。 だって今、慎一は絶対にちゃんとできない。
通り過ぎた教室に「おばけやしき」とあって、 また別の教室には「休憩所」とあって、
やっとたどり着いた出口の近くにも、 「豊町高校 第XX回 文化祭」ってあるから、 そんなわけないじゃん。って慎一は思う。]
(79) 2021/06/06(Sun) 11時頃
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[ 校舎の中はどこも異様な様相で、 だから慎一はもう帰りたいって思う。
自分の家が当たり前に逃げ込める場所で、 慎一は運がいいんだけど、その自覚もない。
まっすぐ下駄箱の前までいって、 裸足のまま濡れたスニーカーに足を突っ込む。 左足。左足。左足って頭の中で唱えてたから、 今度はちゃんと順番に靴を履くことができる。
昇降口の冷えたドアノブを握った。 いつもと同じ感触のそれを捻って、押す。]
(80) 2021/06/06(Sun) 11時頃
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[ …………開かない。
扉はうんともすんとも言わない。 別に慎一は非力じゃないし鍵はかかってない。 開かない理由がひとつも見当たらないのに、 思い切り押しても引いてもビクともしない。]
…………。
[ 両手を使って力を込めても、 もっと荒っぽくしても、何度試しても、 扉が動くことはなくて、慎一には逃げ場がない。
察しの悪い慎一も不思議と理解する。 たぶん、というか絶対、この扉は開かない。]
(81) 2021/06/06(Sun) 11時頃
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…………。
[ ドアノブを握りしめたままの両手に、 ぽた ぽた と温い水滴が降ってきて、 その出所は間違いなく自分の両目だった。
慎一は真下に俯いたまま、 頬の内側をぎいっと噛みしめて考えてる。
窓の外の大雪。ひとけのない通学路。 ずぶ濡れの右足の靴下。圏外のスマホ。 廊下を彩るカラフルな光。食べ物の匂い。
頭の中をばらばらといろんなものが漂って、 慎一は考えてる。どうしたらいいんだろう。]
(82) 2021/06/06(Sun) 11時頃
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[ とにかく涙を止めて、落ち着いて、 頭の中の雑然とした状況を、 もう少しマシなものにしたかった。
扉が開かなかったことを知らせなきゃ。 とは、そのときの慎一には浮かばなくて、
そうだ。 昼飯を買い忘れてた。って慎一は思う。*]
(83) 2021/06/06(Sun) 11時頃
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── 回想・文化祭当日 ──
ぎゃははっ、 なんつーカッコだお前! なんでカチューシャだよ。 つか、情報量、多っ!
レンだけなんかやべー。 でも超おもしれー。
え、客引き組でそのへん並べよ。 黒沢、写真撮って広報アカに上げて! あと、俺にも送っといて。 あ、黒沢も入って撮る? 撮ろっか。
[ 客寄せパンダ──もとい鳩羽の姿に、>>0:1056 慎一はひっくり返りそうなくらい笑った。]
(89) 2021/06/06(Sun) 12時半頃
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[ プラカードもだけど、クラスTも。 かわいいクレープの絵ならいいが、 詰んだデザインが万が一どこかに残ってたら、 慎一は本当に吐くんじゃないかってくらい笑った。
せっかくなので記念写真を残そうとしながら、 スイーツアクセ着用、明るく元気な客引きと、 屋台のホラーテイストや、文字通りの目玉メニュー。 割と温度差があって風邪引く人が出ないか心配。
まあ、慎一が心配したって文化祭は始まって、 想像以上の繁盛っぷりに接客に追われることになる。]
(90) 2021/06/06(Sun) 13時頃
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[ 暮石にボタン風対応集を見せられたとき>>0:1185も、 慎一は「本気だったわけ?」ってゲラゲラ笑って、 それを自慢のチャートの隣に貼りだしたはずだ。
本当は自分以外の誰かがレジに入ったとき、 トチるのを目ざとく見つけてやって、 「販売係スイッチ、あ!」とか言いたかったけど、
たとえば前からも横からも後ろからも、 つまりお客さんや調理係やほかの人から、 同時にあれこれと話しかけられたら、 慎一はその情報量に溺れただろうから、
案外そのスイッチに一番助けられたのは、 当の慎一だったのかもしれない。]
(91) 2021/06/06(Sun) 13時頃
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[ でも、そのおかげでうまくいった。 慎一は途中休憩ももらいながら、 チャートと対応集をちらちら見つつ、 最後まで機嫌よくレジに立っていたし、 「これ、役に立ったなあ」なんて、 対応集を指してしみじみと暮石に言ったりもした。
クラスの出し物としての評判も上々。 売上も計算する間もなく上々だろうなって、 高校最後の文化祭を楽しく終えられそうだった。
でも、なんでかなあ。 いつも何かがうまくいかないんだよね。]
(92) 2021/06/06(Sun) 13時頃
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[ その10円玉なら、慎一が持ってる。>>0:1187]
(93) 2021/06/06(Sun) 13時頃
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[ 売ったモノの数と、手元に残った金額。 用意していた小銭の数との確認作業。 もう暮石が数えたって知らなくて、 ズレがないかをちゃんと数えようとして。
その直前に慎一は、 レジスペースの変なとこに挟まってた、 10円硬貨を1枚見つけて小銭の山に混ぜた。
何かの拍子に挟まったんだなって、 深く考えることもなかった。
それで数えたら、10円余っちゃった。 なんで? って頭の中が真っ白になって、 こっそりと震える手で数えなおしても合わない。]
(94) 2021/06/06(Sun) 13時頃
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[ 自分が関わってたら他人を責めなくて済む。
慎一はそう思ってレジに立っていたけれど、 本当に何かズレが生じてしまったときに、 どうしたらいいかなんて考えてなかった。
この10円をどうすればいいんだろう。 どこからズレていたんだろう。 返す相手なんてわかるはずないし、 でも、計算はちゃんと合わなきゃいけない。
10円くらいいいじゃん。って考えは、 慎一の頭には一切浮かんでこなかった。
でもどうしたらいいかわかんなくて、 もう何も考えられなくて、息が詰まって、 混乱したまま、慎一は10円玉を1枚抜いた。]
(95) 2021/06/06(Sun) 13時頃
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[ 会計の記録上の収支の辻褄は、 最終的には合っているはずだ。]
(96) 2021/06/06(Sun) 13時頃
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[ どうしたらいいかわかんなくて、 自分の財布に混ぜることもできなくて、 まだ持ったまんまの10円玉を見るたび、 慎一は今も「なんで?」って思う。]
(97) 2021/06/06(Sun) 13時頃
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[ なんでいつもうまくいかないんだろう。 いつも些細なことで息を詰めて、 動揺して、泣きたくなる自分を、 慎一は、「明日はうまくいくよ」って、 明日はきっとかんぺきな1日になるよって、 必死になだめすかして生きているのに、 そんな日はちっともやってこない。
あんなにかんぺきに思えた文化祭だって、 最後の最後でこうなっちゃうんだもの。 その事実にも、慎一はやっぱり泣きたくなる。]
(98) 2021/06/06(Sun) 13時頃
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[ だからこれは、慎一にとっては、 楽しいばかりだった日、たったひとつの瑕の話。*]
(99) 2021/06/06(Sun) 13時頃
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巻き込んでごめんなさい。
でも、私の最後のわがままに付き合ってほしい。
文化祭、本当に楽しかったの。
私の中に大事に刻んでおきたいから、
最後の思い出作りに協力してほしい。
いつまでもいてほしいなんて、
そんなことまでは望まないから。
そういえば、一人足りない。
曽我君、帰っちゃったんだ。
せっかくの文化祭、来てほしかったのにな。
曽我君が、誰かの家に泊めてもらったって話、
聞いたことがあった。
曽我君には家に泊めてくれるような友達がいるんだって、
私羨ましかった。
頼まれごと断れないような人のいいところ、
それで副委員長なんて引き受けちゃうところ、
だから曽我君にはそんな友達ができるんだろうな。
楽しい文化祭をありがとう。
曽我君、帰っちゃったから、
私、曽我君の分まで楽しんでおくね。
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── 現在・昇降口 ──
[ 慎一が聞いたのは誰かのため息じゃなく、 「どうしたの?」って鮮明な声だった。>>161
そのとき慎一はもう涙をこぼしてはなくて、 ただ、俯いてドアノブを握りしめたままでいる。
慎一はこういうの、ちょっと詳しいんだけど、 急ぎ気持ちを落ち着かせる必要があるときは、 一定のリズムで単純な動作を繰り返したり、 一定のリズムで動くものを見つめるといいよ。
よかったらみんなも試してみてほしい。 慎一は今、握ったドアノブの裏の凹みを、 指先でひたすらなぞっていたところ。]
(170) 2021/06/06(Sun) 16時半頃
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