10 冷たい校舎村9
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わかる。
俺もさ、もしあんな風に最後に皆に送るとしたら 何て言うかなって考えてたんだけどさ、 精々「楽しかったよ、バイバイ」 くらいが関の山かなーって。
[何も言わない気もするけど、 言ったとしてもやっぱりそれくらいかなって。 そう、だから俺らやっぱり似た者同士。
でもそれってどうなんだろうな。 残される側のことは何も考えてないなって 思いはじめたのは炭蔵に言われた ほんのついさっきなんだけどさ、 鳩羽も同じようなこと考えてたみたい。>>258
なんだ、両想いじゃん。]
(327) 2021/06/13(Sun) 11時頃
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…………… うん。
[そこから始まる鳩羽の独白。>>258 帰りたい、で締めくくられたその台詞に 真顔でまたひとつ頷いた。>>259
彼の息苦しさをあの日少しだけ知ったけど、 多分それは断片に過ぎなくて。
話していないことも聞いていないことも まだ沢山あるんだろうなって。]
(328) 2021/06/13(Sun) 11時半頃
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俺もさ。
文化祭楽しかったし、 高校生活も楽しかったし、 お前とつるむのも楽しかったよ。
でも、何て言うかずっとどっかからっぽでさ。 上っ面だけで笑ってる感じもあって。 まあ俺が勝手にそうしてたんだけど。
こんなことになるまでまじめな話とか、 するの基本避けてたなーって。 引かれたり、嫌われたりしたらヤでさ。
[俺はきっと、止まる世界に文化祭を選ばない。 それは別に思い入れがないわけじゃなくて、 何て言うか根本的な所で 生まれてこなきゃ良かったんじゃないかなーって思ってるから。
……こんな話、やっぱり重いじゃん?]
(329) 2021/06/13(Sun) 11時半頃
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……だからなんつーか、 こんなん言ったら不謹慎かもだけど、 この場所に来て良かったなって、 今はちょっと思ってるんだ。
[寂しい俺達が、寂しさに少しでも向き合えるように。 現実に帰った時、少しでもましになってるように。 考える時間を与えてくれたのかもしれない。
……なんて、流石にちょっと 自分に都合が良すぎる考え方かな]
(330) 2021/06/13(Sun) 11時半頃
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…………。 なんかセーシュンって感じだ、そーゆーの。
[鳩羽のやりたいことを聞いて、俺はそう呟いた。>>261 この校舎よりも、あの夜のアパートよりも狭い部屋で ぐだぐだにみっともない酔い方して、 相当情けないことも言うんだろうな。 けど、何だか楽しそうだ。]
あは。悪酔いしそ。 先に言っとくけど俺の話 だいぶ湿っぽいから。
……でも、いーね。悪くない。
[軽い口調で笑った後に、穏やかに目を細めた。 少し冷えて持てるようになった ミルクティーのタブを開けて、 付き合わせるように顔の前に掲げる]
(331) 2021/06/13(Sun) 11時半頃
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俺も、帰りたいよ。 だから引導、渡そう。
[取り繕ってばかりだった俺達に。 これは別れを告げる乾杯。
……酒はまだ飲めない代わりに、今はこれで許して*]
(332) 2021/06/13(Sun) 11時半頃
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― 黒沢と ―
[思いの内を語る俺を、黒沢は静かに聞いてた。>>300 最後まで言い切って顔を見る。 俺の言葉に何を思ったのか、そこまでは分からない。]
……うん。
[言葉にしてみると自分がそう思ってるんだなって すとんと実感を持って馴染んでくる。
多分現実も痛かったり苦しかったり、 泣きたくなったりすることばっかりだ。 やっぱり俺は嫌われるのが怖くて びくびく顔色を窺っているのかもしれない。
でも、俺、そう言えばいつの間にか 周りの機嫌がそこまで気にならなくなってる。 単にそこまで気を回す余裕がなかったからだけど、 それでも案外平気なもんなんだなって、ここに来たから気付けた。]
(334) 2021/06/13(Sun) 11時半頃
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そうだったらいいな。
[彼女の言葉に頷く。 10組の教室で話した時よりかは 前向きな返事を返して。]
俺、出来ないって思ってたことが沢山あった。 どうせ誰にも受け入れてもらえないって。 でも、死んでもいーやって思うんなら 逆にもう少し足掻いてみるのもありかなって。
それに、きっとここに居たら 永遠に大人にもなれない気がするからさ。
(337) 2021/06/13(Sun) 11時半頃
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[早く大人になりたいねって黒沢は言った。>>2:606
高校を卒業したからって言って 自動で1人で生きていけるようには なれないかもしれないけど、
それでも大人になれたらきっと自分で 息のしやすい場所を探すことも出来る。 …黒沢だって、そうなんじゃないのかな?]
(338) 2021/06/13(Sun) 11時半頃
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うん。わたし。
[ちょっと驚いたような黒沢に頷く。>>303 続いた言葉に俺は不思議そうに首を傾げた。]
………それは、帰りたくないってこと?
[現実では優しくない人に命令されてる黒沢。 別に帰りたくないって言ったって おかしなことじゃないと思うけど。
微妙に話を逸らすような言い方をするのが気になって、 突っ込んで尋ねてみたけど、 被せる様に手首に言及されて気が逸れる。]
(339) 2021/06/13(Sun) 11時半頃
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ああ、これ? ちょっとその辺に落ちてるカッター拾って 世界の主はこれで自殺したのかなあとか 考えながら弄ってたらうっかり切っちゃった。
[ばれた、なんて言いながらへらへらっと笑った。 手当されてるから傷口は見えないし そんなに痛々しい痕ではない筈だけど。**]
(340) 2021/06/13(Sun) 11時半頃
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― 音楽室 ―
[ころころと移り変わる音の洪水。 同じところを行ったり来たり、 かと思えば急に違う曲になったり。 多分人に聞かせるようなものじゃない感じ。 それでも俺は何も言わなかった。>>262
どれくらい聴いていたんだろう ピアノから両腕を話した暮石が こちらを向いて、目が合った。>>263
なんでそこに居るんだろう、とでも言いたげに まじまじとこちらを見つめる。 いつかを思わせるみたいな挨拶に ちょっとおかしくなって笑った。]
……どーも。
[だから俺もニヤリと笑って、いつかみたいに返す。]
(348) 2021/06/13(Sun) 13時頃
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そっちこそ。 放課後の30分はとっくに過ぎてるでしょ。 それに、来るなとは言われてないし。
[結局暮石の方から条件の撤回は無い。 俺が聞きたくならない限りは来てもいい、 そういう約束だった筈だ。 俺は壁に凭れかかったまま、彼女の方に視線を遣った。]
音、聞こえたから。 聞きたいなって思って。 ここに来ると落ち着くんだ。
[惑って逃げ出した文化祭の日、 咄嗟に音楽室に足を運ぶくらいには この時間は俺にとって静かな安堵だった。
暮石が何を思って突然弾き出したのか それは分からないけれど、―… 何も言わず寄り添ってくれる。それはずっと変わらない。]
(349) 2021/06/13(Sun) 13時頃
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俺。 暮石ちゃんのピアノが好きだから。
[ピアノを見て、彼女を見て、はじめて口に出してみる。
ずっとずっと思っていたのに、 こんなことすら今まで伝えたことがなかった。**]
(350) 2021/06/13(Sun) 13時頃
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ー 黒沢と ー
[俺も同じだよ。 死ぬなんて考えてなかったし、 痛い思いや苦しい思いしてまで 死ぬのが怖いから、騙し騙しで 消極的に生きてるだけだったよ。
でも、もしかして今まで俺が思ってたより この世界は悪いものじゃないのかもって。 もうちょっとだけ、その可能性を確かめてみたくなった。それだけ。
強い、なんて思われてること 俺には分からないけどさ。]
(354) 2021/06/13(Sun) 14時頃
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[黒沢が首を横にふる。 それを見て俺はますます不思議そうな顔をした。 じゃあ帰りたいのかな、そんな風でもないなって。 ......なんていうかあんまり考えたくない、みたいな、そんな印象を受けた。
俺がその違和感を深く考える前に 手首のハンカチに気づかれてしまう。
ふざけてバカやったって知られたら 怒られるかなって思ったから 俺は悪戯した子供みたいに首を竦めて黒沢の様子を伺った。 ......こういう咄嗟にびくっとしちゃうとこは すぐに変われるもんでもないよね。]
(355) 2021/06/13(Sun) 14時頃
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[でも黒沢から返ってきたのは、 ただただ心配そうな反応だった。 これはこれでちょっと申し訳ない。]
あー、平気平気。 そこまで痛いわけでもないんだー。 応急処置もしたし。
[正確にはして貰った、だけど。
笑ってひらひら手をふったけど、黒沢は半信半疑って感じだ。 かなしき日頃の行いである。 仕方ないので彼女の方に手を差し出して預け 納得するまで確認して貰うつもり。]
(356) 2021/06/13(Sun) 14時頃
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ちょっと切っただけでもけっこー血って出るんだね。 リスカなんてやったことないからびっくりしちゃったよ。 死因は出血多量が多いんだとか...... 確かにこれで死ぬのは大変そうだもんな。
[黒沢が罪悪感を感じてるなんて微塵も思わず、そんなことを話したりして。**]
(357) 2021/06/13(Sun) 14時頃
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/* め、めいちゃん〜〜〜〜
(-70) 2021/06/13(Sun) 16時頃
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― 深夜・鳩羽と ―
って、今更かよ!
[かなり前から遺書じゃね?って前提で話してたよ!>>258 ってツッコミはさておき。
鳩羽はさあ、 何だかんだ言っても面倒見良くてさ、 まあ茶化したりはするかもしれないけど、 人のマジな悩みを笑ったり嫌ったり するような奴じゃないってこと 俺、たぶんどっかで薄々分かってたよ。
分かってたけど、壁を作って線を引いた。 見て見ない振りをしてたんだ。全然強くなんかないよ。 だから今こいつが言うこと、すげーわかる。>>360]
(401) 2021/06/13(Sun) 17時半頃
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[だから、]
それな。
[って短く相槌を打った。>>360 ああ、これもいつかの時みたいだな。]
(402) 2021/06/13(Sun) 17時半頃
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………… うん。
[にっと笑う鳩羽に、ありがとうの代わりに 静かに微笑んで、缶を掲げた。>>361
甘いココアとミルクティーは まだまだ子どもの味かもしれないけど 訣別の夜にはちょうどいい。]
レンっぽくないレンの話も聞かせてよ。 泣いたり怒ったりしながら、まじめな話をさ。
[俺はまたひとつ、未来の話をする。 痛くて苦しい泣きたいだけのことからも ビビって逃げ出さずに向き合えるように。
缶を傾ければ熱い液体が喉を通って 腹の奥に溜まっていく]
(403) 2021/06/13(Sun) 17時半頃
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[そうしてもう少し幾つか、どうでもいいような話をして。 鳩羽が卒業後のことについて話す。 進路については既に聞いていたけれど、
家を出るつもり。>>364
それに少しだけ目を丸くした。 鳩羽家の親子喧嘩がどう帰着したのか、 俺は結局聞いていないんだけど、 鳩羽なりの決意なんだろうなって感じた。
良いと思うよ、距離を置いてみるのも。 実の家族だからこそ受け入れられないこととか、 離れてみてはじめて見えることだって、 きっと色々あるんだろうなって思うから。]
(404) 2021/06/13(Sun) 17時半頃
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[ちなみに俺は親が県内の大学であれば 学費を出してくれるらしいから、 卒業後はそこに通う予定。 別にそんなんいーよ働くよって言ったんだけど 学校はちゃんと出ておけって…………
…――――親か。
反抗期で家出した鳩羽には もう少し粘ってみれば、なんて言ったけども。
自分のことについては考えたことなかったな。 もうとっくの昔に壊れてて 取り返しがつかないものだと思ってた。
でも、違ったんだろうか。分かんないや。]
(405) 2021/06/13(Sun) 17時半頃
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[そんなことが頭に過ったのを 見透かしたように鳩羽が言うものだから。 温かく感じるのは多分ミルクティーのせいだけじゃなくて。]
あはは。頼もしいな。 その時はよろしく世話になるよ。 賑やかしは任せて。
俺、そういやちゃんとした反抗期って 迎えてない気するし。 ここらでやっとくのもありかもな。
[なんて、やっぱり調子を合わせた。 もし家出するようなことになったらさ、 今度は逆に鳩羽のことを拝む羽目になるのかね? レン大菩薩とか呼ばねば。なーんてね。*]
(406) 2021/06/13(Sun) 17時半頃
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ー 黒沢と ー
.....はーい。
[黒沢は怒ってないようだったけれど 柔らかく釘を刺されたような気もするので 大人しくいいこの返事をする。
手首を差し出して検分して貰えば 若干疑わしそうだった黒沢も 納得してくれたっぽかった。
俺が自分でやってたらダメ出しくらってそうだけどね! 改めて炭蔵様々である。]
(418) 2021/06/13(Sun) 18時頃
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うん、気を付けるよー。ごめんごめん。 そのへんは大丈夫、俺 そーゆータイプじゃないから。
[さっきはあんなこと言ったけど 基本的には痛いのも苦しいのも嫌だ。
こんな状況にならなかったらきっと 手首自分で切ろうと思うことなんて なかっただろうと断言できる。
なので、普通にそう返してへらへらしてたけど。 続いた言葉にはやっぱりちょっと違和感。]
(419) 2021/06/13(Sun) 18時半頃
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......そうなんだ?
[死ぬためにやるものじゃない、 かどうかなんて考えたことなかったよ。 それこそドラマで見る印象しかなかった。
黒沢の言い方はなんか、 まるで経験したことあるみたいな。]
死ぬためじゃないなら なんのためにやんの?リスカ。
[あくまで一般論として、って顔をして俺は尋ねる。**]
(420) 2021/06/13(Sun) 18時半頃
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― 音楽室 ―
[今まで言う機会がなかったのはさ。
最初にここで会ってピアノのことを聞いたとき、 暮石があんまり触れてほしくなさそうだったから。
なんであの日ピアノを弾いてたのか、 なんで隠れてピアノを弾いてるのか、 なんで少し間を開けて来た時ほっとような顔をしたのか、 なんで気紛れに声をかけてくれたのか、 俺は事情を何も知らない。
知る必要もないと思ってた。 なにか余計な言葉を差し込むことで 穏やかな空間が壊れてしまうことを恐れた。
それくらいには俺にとっても大事な時間だったんだよ。 追い返されないことにも安堵していた。 暮石はそれを知らないだろうけれど。>>376]
(448) 2021/06/13(Sun) 21時頃
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[今までたくさん、たくさん、 ひとにすかれるための「すきだよ」を振り撒いて 本当のことは隠す癖がついてた。
思ったことをそのまま伝えるの ずいぶん長いこと忘れてたんだ。
「すきだよ」と言って、 「 」と返して貰うこと、 それだけのことが俺にはひどく難しくて、だから。
その時の俺は柄にもなく緊張して、 手にじわっと汗をかいたりしながら、 でも視線をそらさずに暮石を見る。
音楽室に不揃いな音が鳴り響いたあと、>>378 彼女の顔がくしゃりと歪んで、泣くように笑った。>>379]
(449) 2021/06/13(Sun) 21時頃
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