16 魔界のミッドウィンター祭【R18】
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― 祭会場 ―
[ その状態に陥るまで、天使がどれだけ抵抗したかは割愛する。 手当はおろか、手の届く範囲に近づくことも認めはしなかったが、彼のねぐらにいる間に、翼の再生はしないまでも、傷の悪化は止まっていた。
天使本来の治癒力が働いたのだ。 その意味を── しばし天使は思案するようであった。]
(4) 2021/12/18(Sat) 19時半頃
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[ そうして紆余曲折なり手練手管なり格闘なりがあって、天使は文字通り、手も足も出ない状態で魔界に運び込まれる。
深部に潜るにつれ、空気は混沌としてきた。
熱気、甘い匂い、血臭、呻き声、香辛料、切れ切れの音楽── そういったものが押し寄せてきて、瘴気さながらだ。
天使は目を瞑り、頭の中で聖句を繰り返す。*]
(5) 2021/12/18(Sat) 19時半頃
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[ 運ばれた先で展開しているのは、想像すらしたこのない宴の有様だった。
そこかしこに天使の気配を感じるけれど、その相手は白骨のような枝に吊るされていたり、魔性と変わらぬ格好であったりして、意思の疎通を図ることができない。
群れの一部であった頃は、すべての情報が、すべての指令が、瞬時に行き渡ったものだ。 群れ全体が己が肉体と差異なく感じられた。 何をするにも迷いはなく、遠くまで力を及ぼすことができた。
けれど、今は、偉大なる組織力から切り離されてひとりだ。 自分がどうすべきかすらわからない。
ひどく小さく華奢になってしまった気分に苛まれる。]
(7) 2021/12/18(Sat) 23時半頃
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[ 礼服をまとった獣人は、森の散策でもするかのような足取りで会場を逍遥していた。
何の気まぐれか、果実らしきものを指先に摘んで勧めてきたりする。
消耗してはいたが、食事などしたくもない。 こんな場所では息をするのも苦しいくらいだ。
吊るされた天使たちが時折、光を放っているのは、少しでもこの場を清浄にしようという、かそけき努力に違いない。 五感を擦り減らすような刺激の中では、儚い光に過ぎなかったが。]
(8) 2021/12/18(Sat) 23時半頃
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[ そんな中、光る毛皮の獣人の体は、まだましと言えた。 太陽と大地と生命のエネルギーを感じるだけで、腐臭や呪詛めいた毒性のあるものはない。
彼の側にいるから、まだ息ができる──
獣人のねぐらでは、穢らわしさは覚えず、傷も塞がったというのに、何故、ここへ連れてきたのだと睨んでやる。
謎の多い獣人だが、先ほど、魔王と呼ばれる異形の前で、狩の成果や宴の賑わいを嘉する言葉を述べていたから、本来はこういう乱痴気騒ぎが好きなのだろうか。 度し難い。*]
(9) 2021/12/18(Sat) 23時半頃
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[ 頭を撫でる手を振り払おうと首を振る。
こんな半人前扱いをしながらいう”家”とは天の揶揄だろうと思ったけれど、よくよく考えてみれば、獣人は自分のねぐらを指してそう言ったのかもしれない。
片翼を失った今は天に帰るべくもないし、獣人のねぐらだって、この宴会場よりましというだけで帰りたい場所になるはずがないものを。]
(12) 2021/12/19(Sun) 00時半頃
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[ 知性と関心を伺わせる獣人の問いかけは無視した。
魔性のものと会話してはいけない。 彼らはすべからく相手を誑かそうとして言葉を操るものだと、天使は教育されている。
話す気はないのだとわからしめるために、毅然と顔を背けて、さりげなく鼻先を彼の毛皮に埋めた。 光宿す被毛をフィルター代わりにすれば、いくらか呼吸も楽になるかと目論んでいた。 魔界の空気に慣らされてなどたまるものか。
力を回復できれば、いつか反撃の機会もあろう。 今は雌伏の時だと自分に言い聞かせる。*]
(13) 2021/12/19(Sun) 01時頃
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[ 獣人の掌が執拗に頭に触れてくる。
かけてくる言葉は気遣いを含む柔らかなものだったが、いつでも首を捻ることができるという優越感の発露かもしれないと思えば、苛立たしい。
あまつさえ毛皮が好きなのかと、よく観察していると思わざるを得ない指摘をされ(どうしてそうしなければならないかは推察しないくせに ! )、意固地になって顔を離す。 とたんに咽せ返るような空気包まれて、眩暈を覚えた。
会話を交わさずとも、魔性の言葉に反応するだけで害はあるのだと反省する。]
(17) 2021/12/19(Sun) 17時頃
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[ しばらく歩き回っていた獣人は、知己らしき魔性の前で立ち止まった。
泥に浮かぶ油の光彩にも似た肌を持つ幼虫めいた魔性だ。 天使の感性からすれば、その姿はおぞましい。
まして屈服させた天使を食卓代わりに据えているなど、性根も醜いに違いなかった。
光を送って共鳴を試みるが、翼が皮袋に包まれてしまっているせいか、それとも相手にもう力が残っていないのか、虜囚天使からの反応はない。
ここが戦場であれば、こんな悲惨な目にあう前に光へと還元してやらねばならないと、迷いもなく槍で貫いたはずだ。 けれど、もはや、天は執行を命じないだろう。
すでに魔が触れたものへ、許しが与えられるべくもないのだ。
暗澹たる気持ちになり、眉を顰める。]
(18) 2021/12/19(Sun) 17時頃
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[ その時、食卓代わりされている天使が、わずかに口を開いた。 ハミングのような、かすかな”声”が発せられる。
── その獣人は初めてのようだ。幸運を祈る。
詳細を問う前に、用を済ませたらしい獣人が踵を返したので、かつての同朋との邂逅はそれきりになった。
もう帰るという宣言には正直、ほっとしたが、その場限りの安堵になるだろうことは、予想に難くない。 帰ってからも獣人が天使を放り出すあてはなさそうだった。
宴で良からぬ知見を得たか、獣人は天使に対し、いろいろ試すなどと画策している。 ”初めて”であれば、そこに隙もあろうか。
天使は天使で、魔を利さないことを今の最善と決めていた。*]
(19) 2021/12/19(Sun) 17時頃
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[ 帰ると言ったのに、獣人は不意に気を変えたらしい。 魔性の言葉に信用が置けないことは、この例からも明らかだ。
こんな場所からは一刻も早く遠ざかりたいものを。
しかも、行こうとしている場所が浴場だと告げられ、ロクなことにならないだろうと予感して天使は唇を引き結ぶ。]
(22) 2021/12/19(Sun) 22時半頃
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[ 天界にも強く集中した光が照射されるシャワーめいた設備はある。 地上勤務から戻った後などに、全身を浄めるのに使っていた。 その光に比べれば、陽光などランタンの中の灯火のようなものだ。
だが、魔界の浴室にどんな効果が期待できるというのだろう。 むしろ、獣人のねぐらでは塞がった翼の傷に、悪いものが入り込みはしないかと、天使は案じた。
翻意を促すべく、革袋の中から膝で蹴り押してみるが、主張が取り入れられることはなかった。*]
(23) 2021/12/19(Sun) 22時半頃
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― 浴場 ―
[ 他にも利用者がいる気配があって、壁にくぐもった声が反響している。 断末魔に近いような喘ぎ声もあって、聞くだけで神経がささくれだった。
実際、何が起きているのかは見えない。 並んだドアのどれかの奥の出来事だ。
すべてを共有する天使の群れの中ではプライバシーなどという配慮はなかったため、浴室がいくつもあるのは不可解だった。 人目を隠れて良からぬことをするためなのは間違いなさそうだ。]
(-1) 2021/12/19(Sun) 22時半頃
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[ 獣人は未使用の浴室を見つけて入り、後ろ手に扉を閉める。
個室の中の、湿気をはらんだ温度は心地よいものではない。 天使の好みは、明るく澄んだ空気だ。
拘束されたままの状態で床に下ろされ、獣人が衣類を脱ぐのを見る。 相手が丸腰であっても、強敵であることはすでに確認済みだ。
でも、体毛を濡らすのは、気持ち悪くないのだろうか ? * ]
(-2) 2021/12/19(Sun) 23時頃
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[ 獣人が手際よく脱いだものを畳むのを見て、意外に思う。 とはいえ、彼のねぐらも小綺麗に整頓されていたから、よそゆきの振る舞いというのでもないのだろう。
勝手にひとりで沐浴してくれて構わなかったのだが、獣人はやはり、放っておいてくれなかった。 暴れてくれるなと声をかけてくるが、頼めば通るというものではない。 そもそも、誰のせいで窮屈な目にあわされていると思っている。
入浴剤だという薬めいたものまで投入された湯に浸けられるのはごめんだった。 全力で抵抗しておく。* ]
(-5) 2021/12/20(Mon) 00時頃
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[ ある意味、根気強いほどに、獣人は天使の世話を焼こうとする。 その手法は最終的には力づくなるのだったが。
改めて手足を縛り上げられて、天使は、唯一、束縛されていない翼で獣人を打ち据える。 その羽の先が、粘り気のある液体に触れた。
濡れた、というだけでない、生暖かで動きのある質量が羽の根元へと這い上がってくる。]
(-8) 2021/12/20(Mon) 01時半頃
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[ これは温めた水などではない !
天使は警戒するように体を竦ませた。 この瞬間に限り、四肢が縛られていたのは幸運だったかもしれない。 自由であれば、驚いて反射的に獣人に縋っていたかもしれないから。
少なくとも、支えにはなりそうな獣人の腕の中で体を上擦らせようとしたが、獣人は天使を抱えたまま、おかまいなしに腰を落とす。
弾力ともつかない流動的な液体に包み込まれ、天使は嫌悪感を顕わにした。
巨大な生き物の内臓に呑まれたら、こんな風だろうかと想像させるような感触だ。*]
(-9) 2021/12/20(Mon) 01時半頃
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[ 獣人はすっかり寛いだ様子で話しかけてくるが、同調する義理はない。 じっとしていれば、這い上がってくる粘液が引いていくというわけでもないのだから。
あまつさえ、獣人は手を動かし、天使の体に触れてくる。 格闘とは異なる方法で。
痛めつけるつもりがないのは察せられたが、探るような動きは剣呑だ。 殊に翼の付け根について質問された。 誰からの情報だか知らないけれど、空中での移動の要である翼が、鋭敏に反応することは機能的に当然のこと。
天使の弱点を探り、また狩に出た際に役立てるつもりかと推察し、睨んで、離せと身じろぐだけで、答えを与えないよう努める。 ]
(-12) 2021/12/20(Mon) 12時頃
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[ 今、失われた片翼の付け根は、じわりと熱を帯びていた。 粘液に混ぜ込まれた薬のせいだろうか。
残された翼が、茜色に染まってみえるのも穢らわしい。 翼の隙間に侵入してくる粘液も獣人の指も、翼を扼する重たい枷のようである。
知らず、呼吸が浅く早くなり、その分、魔界の空気を取り込んでしまうのか、頭の芯が痺れたようになってくる。
これでは身を清めるどころか、体力を奪われだけだ。 一矢報いねばならないというのに。*]
(-13) 2021/12/20(Mon) 12時頃
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[ 熱が体に蓄積して、気怠い。 頭を上げておこうとするのさえ辛くなり、知らず、獣人にもたれかかる格好になる。
獣人は親切めいて忠告してくるが、魔性の言葉を真に受けても、いい結果にならないというのは先ほど、学習したところだ。
そもそも、彼がここへ連れ込んだ元凶であるのに加え、体のあちこちを無遠慮に撫でたり押したりするから、天使としては自己防衛せざるを得ない。 あくまでも、防御反応としての身じろぎである、これは。]
(-16) 2021/12/20(Mon) 18時半頃
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[ とはいえ、どれだけ正論を述べても、魔性は揚げ足をとってくるだろう。 だから、天使は獣人の策中にはまらないよう、天使の本分を見つめ直して、声にする。
主の御技を讃える歌を。
執行天使の歌声は、その任務の苛烈さと裏腹に、声変わり前の少年めいた澄んだ音色をしている。 囁くような大きさであったし、人間の耳には聞こえない音域も混じっていた。
結果として、獣人がいうように、暴れる代わりに瞑想めいた落ち着きの中へ逃避する。*]
(-17) 2021/12/20(Mon) 18時半頃
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[ 獣人は歌うのを止めろとは言わなかった。 聞き入っているという風でもないが、邪魔をしないだけでも驚きだ。
やがて、歌に飽きたか湯に飽きたかして獣人は風呂を出る。 肌にまとわりついていた粘液は引き剥がすまでもなく落ちたので助かった。 寄り集まって浴槽に流れ戻ってゆく様子を見ていると、どこか生き物めいている。 こんなものを喜ぶ者の気が知れない。
獣人が再び服を着るタイミングで隙ができるだろうかと見守っていたけれど、先に革袋に押し込まれた。 これだけ抵抗を続けていれば、彼も警戒するのだろう。 良し悪しだった。
皮袋には、彼の礼服も入れられたから、完全に荷物扱いというところ。]
(-21) 2021/12/20(Mon) 22時頃
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[ 獣人は、返事をしない天使にいちいち話しかけてくる。
料理の材料にされるわけでもなく、手柄として自慢されるわけでもなく、殷賑を極める魔宴を見物させられたわけだが、何の目的で連れてこられたのかと天使は訝しむ。
目を離すと逃げるから、というのが単純な理由かもしれないが。
獣人自身は乱痴気騒ぎに加わらなかったのは、天使を抱えていたせいだろうか。 それとも、魔性の中でも特異な性質なのか。
彼自身に関心が向きかけるのを自覚して天使は躊躇う。
いや、隙を狙うにも観察は必要だ。 これほど滑らかに変身を行う魔性の相手をするのは、きっと難しく── それだけの価値はあるはず。*]
(-22) 2021/12/20(Mon) 22時頃
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