[眩しい、という感情と同時に脳裏に映像が流れてくるのは一瞬だった。
冷徹で侮蔑の表情、剥き出しにされた憎しみ、体中に広がる痛みと永遠とも思える飢餓、波のように次々と押し寄せる熱さと寒さ]
―————お腹空いた、寒いよ、悪い子でごめんなさい、お家に入れて、熱いよ、それ近づけないでママ、いやぁ、熱いあついアツイ、ごめんなさいごめんなさい痛い痛い痛いごめんなさいごめんなさい良い子になるから許してママおねがい、わるいこでごめんなさいごめんなさいごめんなさい
母の為に買ったバレッタがひどく禁忌的でおぞましいものに思え、持っているのも耐え難くなり思わず地面に投げつけた。乾いた音を立ててバレッタが転がる。
この人、ママなの…??この記憶はイツノ?ダレノ?ワタシノモノ?
違う!!これはママじゃない。バレッタだってママは喜んでくれるきっと喜んでくれるよ!!だって!私とママはいつも仲良しで今日だって朝ごはんを作ってくれて、いってらっしゃって見送ってくれたもん
こんなのママじゃないママじゃないママじゃないママジャナイママジャナイ
(*11) 2021/10/14(Thu) 19時頃