【見】 天道居士 ヨスガ

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恵璃ちゃんの病室を出た後は、3階の病室Iに向かった。
こちらは元々友達だから、部屋に居てもそれほど
問題はないだろうと考え、ノックしてから入室する。

大和は、ベッドに磔にされたように横たわっていて。
ベッドまで近寄ると傍らの椅子に座って、手を取る。
思いのほか、力ない手だった。
いきなりそんな事をして、起きてたら驚いただろうけど。


　　「大和……、ジル」


だいたい恵璃ちゃんと同じような事を話すつもりだったのに
名前を改めて呼ぶと、友人の前で気が緩んだのか、
急な雨のようにぽろっと涙が零れた。
ありゃ、と言いながら腕で拭って続ける。

(@92) yuzu 2024/07/21(Sun) 01時頃