準備も計画も整って、後は実行を待つばかり。ラップトップとモナリザをコネクタで繋いで、遊園地の管理とは異なるプログラムを流し込む。
「キミったら、銀島の外の地図すら組み込まれてない
超カスタマイズ仕様だもんなァ。
色々調教するの苦労したけど、
最新にアップデートしておいたから、暫くは大丈夫。
死亡届けも火葬予約もオンラインで仕込んだから、
後は大家さんを呼ぶのと、兎坂庵にお使いね。
何ならそこでまた、給仕の仕事するのもいいんじゃない。
……和風の店構えと、やっぱりぜんっぜん合わないけど。ふふ。」
遺書はなく、全ての指示はモナリザへ。
巡り巡ってきた銀島の権利書と。
自分だけ異なる苗字の同居家族を疎んじて、十八歳で分籍した『宗美ワ』と書かれた謄本と。
時限で手続きされるはずの、各種届出のコピーと。
『お手数をおかけしますが、銀島に眠らせて下さい』と添えた骨壺と。
向日葵の枯れる季節から、数週間遅れて。木々が紅に染まる前に、プログラムされた通りモナリザが兎坂庵へと全て届けてくれるだろう。**
(463) りしあ 2023/11/28(Tue) 12時頃