[不知火さんのことだって、彼女を支える女子の友達は多いように見えているし、俺も、見かけたら率先して車椅子を持ち上げることにしている。というか——男子の間で、こんな声が上がったのを耳にしたことがある。「あいつ、不知火のこと好きなんじゃねーの」と。誰が誰を冷やかしたかは分からないけれど、完全な善意による手助けが、勝手な噂によって下心に変えられてしまうという不条理。学校という小さな社会では、それが起こる。なので。男子の中では、許嫁が確定している俺が先に動けば角が立たなかろうという気持ちがある。余計なお世話かもしれないけど。]
(423) 2021/11/06(Sat) 14時半頃