─昨晩 合宿所前─
恵一のこと、見ててくれるなら助かります。
大丈夫かなとは思ってるんですけど……もし俺に何かあったら、ケイはすごく気に病むだろうから。
[この言葉には、「もし俺が寝込んだりしたら」程度のニュアンスしか込められていない。康生は、この後に巻き込まれる────否、既に巻き込まれてる事態がどういったものなのか、何も知らないのだから。彼の事はずっと自分が見ておくつもりで、けれど体調の事だけはどうしようもないからフォローは頼むつもりで、こう言っただけだ。]
[康生は、人に頼る事を躊躇しない。友達であれ、先生であれ、家族であれ。自分一人で出来る事の範囲は、よく知っているから。思春期の男子なら多少なりと持ち合わせているであろう反抗心や奢りは、綺麗さっぱり見当たらない。手の掛からない子ではあるが、必要な時はちゃんと助けを求める事が出来る。本当の意味で“心配の要らない子”というのがもし居るのなら、それはきっと康生の様な子を指すのだろう。精神面に関しては殊更に。]
(415) 2023/08/14(Mon) 17時半頃