── その後 ──[福原の他にも何人か、特別展を見に来た者もいたかもしれない。彼とそうしたようにその者にも成海は挨拶をしただろう。そうして少しの間過ごした後、ふとスマホを確認する。随分夢中になってしまったが、ここが自分の目的の場所だったとはいえ時間までもう少し他の展示を見るべきだ。立地を思えば気軽には来れないし、レポートがあるのだから。踵を返した時、一度だけ振り返った目の先にはあの蝶の小箱がある。成海は黙したまま首を軽く横に振り、歩いていく。エレベーターへ向かう途中の通路は、中央が吹き抜けになり一階の様子が見える。誰か知り合いがいた気がして、そちらへ向かい手摺に触れた。*]
(398) 2023/07/26(Wed) 23時半頃