[わたしは慌てて柊くんから目を逸らし、 改めてピアノに向き合った。 さっきまでの昔を懐かしむ音楽じゃなくて、 あの日>>90、いつもと同じように演奏した曲を、 今度は柊くんのために弾く。 穏やかな曲だった。 寄り添うのが苦手なわたしの分も 寄り添ってくれる>>2:178ような、 膝を抱えていた誰か>>2:90の隣に座ってくれるような、 そんな、曲だった。 やっぱりわたしの指はもう器用には動かなくて、 ところどころ引っかかっちゃう。 でもこれまでみたいに死んでいるとは思わなかった。 一曲終えて、わたしは柊くんの方を向く。]
(384) 2021/06/13(Sun) 15時半頃