[成海がスマホを取り出したのは仁科と離れた後なので、メッセージか通話かどちらにせよその時応対したのは彼女の筈。
ただ無事を示せば福原を放っておいていいとは、流石に成海も思いはしていなかった。
自分の報告と行く先を決めることを最優先としただけだ。]
『デートが台無しになっちゃったね。埋め合わせいつにする?』
[それは個人宛のメッセージ。
果たされなかった待ち合わせに触れている軽口だってことくらいは、理解してもらえる関係性だと思う。]
『ありがとう。心配を掛けてごめんね。
でも、頼もしい後輩がいてくれて安心できる。』
[画面越しには決して伝わらない居心地の悪さ。
いずれ必要になるかもしれないとはいえ、自分のせいで行動させ更に受け取らなかった事実。
偉そうにあれこれ言ったいつかの記憶が蘇った。
もっと言葉を尽くすべきだったのだろうが上手く纏まらず、告げるべきことだけを短く送った。*]
(336) 2023/07/28(Fri) 16時半頃