[側にいる彼女が、どれくらいこの状況を受け止めているのかは分からない。
だが血塗れの先輩を前にし怒りのようなものを見せた仁科は突発的行動に出ないだろう、少なくとも成海のように自傷じみた内容ならば。
可能性の脅威より、本人の判断能力の喪失による危険行動のほうが恐ろしい。
成海から見た仁科は頼りなくか弱い姿をしているが、その面では強い心配は無かった。]
俺は何かがあれば皆に伝えられるように見回りを続けようと思う
君は出来れば……誰かと合流して安全を確保してくれると、嬉しいな
大丈夫、もう証明は済んだからあんなことはもうしない
[少し調子を取り戻したが、カフェに行くようにとの先輩面はやはりしづらかった。
他に目的があるというのなら、止めることはない。
普段のように微笑みを作り直しているが、彼女の荒げる声が今も耳に残っているようだった。
本当に意味のない自傷をする気はないけれど、納得してくれるだろうか?
相手の反応がどうであれ、それからどれくらいやり取りが続いたとして
最終的には二人は別れ、別々の方向に向かう。*]
(328) 2023/07/28(Fri) 15時頃