私も、災害にあった記憶なんてないわ。 怪我もない。……回谷さんも、[回谷の縋るような声。確かな答えを銀は持ち合わせていない。そっと手を伸ばし、彼女の腕に触れる。] 回谷さんも、いつもと変わらないわ……。 ちゃんと"生きてる"。[彼女の身体はちゃんと触れることができたし、実体をともなっているものだった。死んでなどいない、そう思えるのに、妄想狂の作り上げたような莫迦げた状況を否定してあげたいのに、時間が経つごとに、あの男の言葉は真実なのだという思いが強くなっていく。]
(294) 2023/07/28(Fri) 10時半頃