[それから卵から聞こえた声のこと。
私のココロから生まれたもので、私が聞いてきた――
思いを割らないようにしてきた人たちにちなんだ声なんだって。
それから呼んじゃったみんなのココロから生まれたものも、
そこには落ちていたかもしれない。
そう話すときは苦々しい表情になった。
断定できなかったのは、自分の卵しか拾えてなかったから]
私はひどいやつなんだ。
“卵”を踏んじゃっても悲しいとも思わない。
それを知られたくなかったからいっしょうけんめい優しくしてきた。
もしあの世界に長くとどまって、卵の正体に気付いてたら、
わざと踏みたくてしかたがなくなってたかも。
誰の世界であろうと。
[たとえ話はうまく伝わるかな。
ベッドの上で膝を抱えたい気分になったけれど、
足はまだギプスで固定されているからできない]
(286) Akatsuki-sm 2021/11/20(Sat) 20時頃