[初めて指名した夜に、彼が提案した“カコちゃん”という 呼び名は気安く受け入れていた。>>240 “エン”という耳慣れない響きをもつ彼の名の綴りを、 紙に書いてもらい教わりもした。 今は正しく発音もできているように思う。 2つ並んだホットココアを前にして。 それとなく彼が水を向けてくれるままに、 身の回りの愚痴めいた話をさせてもらったあの夜。 玄関まで見送られる足取りは軽かった。>>241 煙が話し相手としての評判が高いというのも頷けた。 気の置けない相手、と彼を評するのは。 娼妓相手には、奇妙なことだったかも知れないが。*]
(258) 2024/02/22(Thu) 21時半頃