[天の川、彦星と織姫のベガ、アルタイル。それから蠍座。
どれも天文部の思い出と繋がってしまう夏の夜空。
隣の夏水が何処からか泣き出してしまっていたのは、気付いていて。
こんな時、永なら兄妹だし、頭を引き寄せて撫で撫でのひとつもするんだろうか、とか。縁牙ならハンカチを出す?気の利いた声を掛ける?分からない。
分からないので、黙って途中から手を握った。
慰めるとかそういうつもりも、まして下心もなくて、
ただ、同じ悲しみを持つ者として。]
……あ、秋の空に戻った。
[さまざまな神話のナレーションを挟みながら、スクリーンは秋の夜空に帰ってきた。ひとつ星のフォーマルハウトが輝いて、カメラも天文台を降り、田んぼのあぜ道を歩き始める。
永と夏水の実家の風景。子供の頃に遊んだりしたのだろうか、と勝手な想像をしながら、映像を最後まで見ていた。]*
(236) steel 2023/08/29(Tue) 02時半頃