[そもそも何故、女性言葉を好んで使っているのか。それについてはかつての『仕事』に由来する。
長身で怪しげな雰囲気を醸し出す自分は、『客』から警戒されやすかった。暫く会話をすれば打ち解けさせられる話術はあったものの、第一声で避けられてしまう事も少なくない。
そこで、試行錯誤した末に辿り着いたのが『女性口調』だった。
兄弟弟子たちからは「かえって怪しくならないか?」とも言われたが、これが案外効果的であり、どこか雰囲気が和らぐようになったので積極的に用いるようになり。すっかり染み付いてしまって今に至る。
ドールになってからも、初見は奇異の目で見られるが却って変な客を寄せにくいし、緊張した面持ちで来た客も態度をほぐし易い。必要とあらば男性口調で接する事も可能である。
……目の前の女性が求めるのは、どちらであろうか。]*
(194) 2024/02/21(Wed) 23時頃