――桜森高校旅館へ――
よぉし、糖分チャージ完了っと。
[カードで会計しようとしたら、店員から『現金のみになります。』と申し訳なさそうに断られて、日本用のお財布を探すまでに一悶着あった。帰国する都度やらかす上、日本円の数え方もアヤシくなっている。]
便利さに慣れきってるなーぁ。
[全ての荷物をひっくり返して、結局キャリーケースのサイドポケットから小銭入れは無事発掘された。無料招待、なんて謳われたらうっかりキャッシュを忘れても大丈夫♪くらいの緩さになる。
グループLINEに『今から向いまーす!🦅』と一報入れると、意気揚々かつて何度も通った桜森高校への旧通学路を歩く。誰かと鉢合わせるかと思ったけれど、絶妙にタイミングが合わなかった模様。
大和からも到着のLINEが来ていたようだが、華麗にスルーした。時差はもうないけれど、彼からの連絡は半日くらい寝かせないと心臓が保たないことが多い。]
……冬だと大分印象が違う。
[昔歩いたのは五月の春先から七月の夏盛りまで。すっかり葉を散らした並木の歩道を、白い息を吐きながら眺めやる。]
(194) 2024/02/13(Tue) 22時頃