─ 三日目・夜/談話室 ─
[“死神”だったと言うライジに、何かすとんと腑に落ちた心持がした。きっとこいつは、あっち側の人間だったんだろう。]
[だからと言って、恨む気持ちは湧いてこなかった。そもそも直接襲われた訳でもないし、互いに素性は明かしてなかったんだから、騙した騙されたの話でもない。襲って来たのがライジの一族であったと仮定してみても、自分にとってはあまりに昔の事過ぎて、今更恨みを掘り出す方が難しい気もする。]
[何より、スペランツァのクルーであるライジ・チリガネ個人には、世話になってばかりなのだ。恩も返せぬままさっさと死のうとされてる事には腹が立つが、それ以外には無い。 ……いや、もう少し長く接せば何かしらあったかも知れないが、それも向こうが終わりにする気満々なのだから、考えるだけ無駄だ。全ては、IFにしかならない。]
……そういう事。オレは唯の、マユラ。
忘れていいよ。もう二度と使わない名前だし。
新しい名前を付けてもらう当ても、ちゃんとあるからさ。
(183) 2021/11/14(Sun) 23時頃