少女が『売られる側』だと云うのは比喩でなく、彼女は正に『商品』だ。 特別に誂えられた、15年越しの特注品。 『商人』達は、"神の加護"等と云う神秘性を宿した種族を素材に、幼少から戒めた小さい足や、現実社会への無知で仕立て、未成熟の状態で納めようとしている。 『旦那様』の懐古趣味と退廃趣味に、良く良く副う様に。 疾うの昔に非人道的だと廃れた文化への憧れと、冒涜的好奇心の詰め合わせ。 其の欲望を持つ者も、其れを煽り応える者も、宇宙社会の大部分に於いて、強く批判される物だろう。 此の船こそは、其の中の、極僅かな例外であるかもしれないが。 大枚を叩いて迄、そんな事。莫迦みたいよね、と。 少女は話を締め括った。
(182) 2022/05/05(Thu) 20時頃