[僕等きょうだいはどうにか生き延びて来たのに、地球を守るためのパイロットに選ばれて。結局死ぬんだな、と思った。でも、ヒーローみたいに死ねるだけましかもしれない。縁牙は、自分がロボットに搭乗して無関係な人を殺してしまうことをひどく恐れていた。僕等の地球で繰り広げられた戦闘はものすごく激しくて、死傷者もたくさん出た。"ハロ"も嫌な奴で、それを楽しんでいる様子すらあった。仲間割れした時も笑って見ていたから、僕はふわふわ浮いているそいつを叩き落とした。
僕等のグループはパイロットの数が多くて、1人だけ助かると言う。できれば、縁牙が助かってくれれば。僕は強いし、人殺しに躊躇もない。ホーム戦の被害なんか知ったことじゃない。
───でも、僕よりも先に呼ばれたのは縁牙だった。
敵機の核は透けていて、中に乗っている人間が丸見えだった。
縁牙戦は、アウェイで。
その地球は初戦だったらしく、僕等の地球と違ってまだ綺麗だった。そんな余計な情報も、"ハロ"の奴が囁いてくるのだ。
中に人間がいる、殺せない、と泣く縁牙を僕は初めて殴った。
───本当に。
───どうして
僕だけ生き残る事になってしまったのだろう。]*
(169) 2023/08/22(Tue) 11時半頃