― 平原 ―
うわッ声でけえ……
[暗記している、と大声で返ってきた返事>>161にヘッドフォンを少し遠ざける。丸暗記とかそういう問題か?とも思うが、そういうもんかと納得することにした。とりわけこの船において、自分にとって無茶なことが相手にとっても無茶とは限らない。実際、アリババの情報処理能力はライジより格段に上だ。
だから、実はすごく無茶をしている、ということには思い至らない。]
……まあ、こいつも一緒に引き上げてくれたのは、マジで助かった。
ありがとう、アリババ。
[操縦桿に目を落とす。
オレンジ色の二足歩行探査機。そもそもは探査機ですらなかった、旧型で量産型の運搬用機械。人生の半分以上を共に過ごしてきた、替えの効かない相棒。
迅速かつ的確な判断で、命と相棒の両方を掬い上げてくれたアリババには感謝しかない。]
(167) 2021/11/12(Fri) 23時頃