[――種族レベルで。そう聞いて、黒い瞳が揺れる。一瞬だが、明らかに動揺した様子を見せる。]
……それは、アンタの種族の話か。
[種族が皆死ぬ、すなわち滅ぶということ。]
アンタがどうこうしたんじゃなければ、……いや、
[天変地異の類とか、疫病だとか。そういうもので皆死んでしまったのなら、運が悪かったんだろう。そう言おうとして、言葉に詰まる。
多分、そういうことではないのだ。自分と同じように、ケトゥートゥが言ったように、誰かに何かを言われて納得できることではないのだろう。
けれど、もしも。]
……もしも、"何か"が一方的に奪っていったなら。
それは全部その"何か"のせいだ。
もしもそうなら、それは絶対にアンタのせいじゃない。
[それだけは否定しなければならない。
思い過ごしなら別にいい。が、種族と聞けばどうしても、自分達が何世代にも渡って行ってきた所業が浮かんでしまう。
そんな連想のせいか、珍しく少し強い口調になったかもしれない。*]
(157) 2021/11/14(Sun) 20時半頃