[自分達は幸運にも──或いは不幸にも──少しだけマシな扱いを受けた為、生き残った。黒翼と言えなくもない紫の羽を持つ自分と、純白の翼を持つ“キランディ”。その組み合わせが、何故だかいたく気に入られたのだ。]
[巨大な鳥籠の中で、空を恋しがって塞ぎ込む自分を“キランディ”は常に明るく慰めてくれた。『アタシが、いつか必ず“自由”にしてあげるわん♡』と。その約束は、文字通り命懸けで果たされた。]
[その日から、自分はずっと逃亡者だ。与えられた“自由”を喪わない様に。月日は流れ、自分達を飼っていた好事家も流石に寿命を迎えただろうが、それで自分の商品価値が下がる訳でもない。加えて、この目立つ風体で逃げ延びる為に、出来る事は何だってした。その方面で自分を追う者だって居るだろう。]
(151) 2021/11/14(Sun) 19時頃