……ていっても、『師』が本当に正規の『魔道士』だったかなんて、今でも分からないわ。
それっぽい道具と、それっぽい術書を用意して。意味の分からない修行メニューをこなす日々だったわね。
修行の内容?……まあ滝行とか、行脚とか、断食とか。その時で色々よ。
おかげで読み書きには不自由はしていないし、生活の知恵とか、一通りの家事なんかは出来るようにはなったけど。
あたしの他にも、弟子たちは沢山いたわ。年齢は様々だったけど、男しか居なかったわね。
なんでも『師』曰く「煩悩、とくに女に対する欲望は、魔道において邪道である。純潔を守ってこそ、真なる魔道士の証拠」だそうだけど……まあ、ただの方便だったのでしょう。
『師』は生まれてこの方、女性と縁が無かったみたいだったから。弟子たちにも『同じ事』を強要していただけっぽかったからね。
(151) 2024/02/24(Sat) 21時頃