−とある男の昔話−生まれた場所は、ここよりもっと遠い場所。多分、東方の地の、どこかの路地裏。物心ついた時から親なんていなくって、手元にあったのはこの煙管だけ。どうして煙管なんて持っているのかなんて分からないけれど。多分、母親だった人があたしに持たせておいたのでしょうね。子供に煙管、だなんて。それも、ピカピカの新品。形見のつもりなんだか、路銀のつもりだったのかどうだか。その頃は毎日ゴミを漁ったり、モノを盗んだりして過ごしていたわね。まあ当然、子供一人で生きていくなんてことはできないから。あっという間に力尽きちゃって。ボロボロの状態で道端にへたりこんじゃって。「もうすぐ死ぬのかな」とか思っていたわ。……そんな時に、『師』と出会ったの。
(149) 2024/02/24(Sat) 21時頃
sol・la
ななころび
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