[それは唐突な変化。
痛々しい音を耳にした最初は、血でも吐き始めるのではないかと思って気遣わしげに様子を見ていたくらいには。>>123
救護に慣れない成海はその時うっかり止血の手を緩めてしまって、血に濡れたガーゼははらりと落ちた。
──晒された患部に既視感のある光景。]
これでさっきの件はチャラで、……なんてね
ううん、俺は簡単な処置をして話しかけていただけだよ
[自分なりのやり方が成功し、安堵の息を吐いた。
呆然としていようが縮こまっていようが、軽口と共に加減した力で労うように彼の肩を叩く。
福原を救ったのは当人の想いだ。
良かった、仁科と完全に同じことをしても上手くいく自身が全く無かったから。
意識してなかった傷口は、薄い痕跡だけ残っているのみ。
多分元から深く刺さってもなかったんだろう。刺す理由が、無いのだから。]
(136) 2023/07/29(Sat) 21時頃