[今を過去に変えたわたしの言葉に鳩羽くんは黙って、 わたしも鳩羽くん>>68が手を握ったことで 爪をつつけなかった。 ぐーになった手はそのまま鳩羽くんの頬にくっつくから、 わたしは近づいた鳩羽くんの顔より 影に隠れて見えなくなった鳩羽くんの指先を見てる。 「人形」の血。鳩羽くんはそう言う。 わたしは九重さんの死体は見たけれど、 首がぱっくり空いた「人形」は言葉でしか知らない。 だからわたしの中では最初から その二つがイコールで繋がっていた。] ……。[見えない指を追いながら、鳩羽くんは違うのかなと思う。 だってさっきまであちこち探し回ってたみたいだもんね。 声は、ひとみちゃんと歩いた3階まで届いていた。]
(126) 2021/06/10(Thu) 14時半頃