[そういえば。
二学期になってから大和と会った時、ふと、彼が首からチェーンを下げている事に気が付いた。暑い、と言って制服のボタンを外した時だったか?細かく覚えてないけど。
男子が首から何か下げているのが珍しくて、やけに印象に残った。>>40
天文部に入った影響で、最近になってようやく、星座の形を覚えて来ていたから。それが獅子座と蟹座を模っているのは直ぐに気が付いた。
12星座かな。
そういえば大和は僕と同じ獅子座だったように思う。では蟹座は……。
思わず部室で、獅子座と蟹座の物語を紐解いてみたりした。
ふたりが星座の話をしていたなんて勿論知らなかったし、僕は神話よりも、蟹座にある星団の話に目が留まる。
──蟹座の中心にあるプレセペ星団は、青く輝く約百個の星々が集まっていて、このぼんやりと輝く塊を、「死んだ人間の魂が空の片隅に集まっているのだ」と解釈している国もある…………。
星の輝きを魂の輝きになぞらえるのは世界共通なのだな。
僕は、たくさんの命の光が奪われる光景が脳裏に浮かんでしまって、読み途中だった本を閉じた。]
(111) 2023/08/17(Thu) 15時半頃