─大和命戦のあった日 恵一との電話─
[あの日貰ったシルバーの指輪を、康生はずっと左手の薬指に嵌めている。大和命戦の時に、気付いた者も居たかも知れない。康生は、聞かれれば「ケイに貰ったんだ」と正直に語っただろう。乾恵一の指にも同じ物が光っているから、何も聞かずとも察せる者は察せたかも知れない。必要以上に目立たせるつもりは無いらしく、康生が私に触れるのは右手でやる割合が増えた。]
[LINEの返信を待っていたが、掛かって来たのは電話だった>>100。病院ではなく自宅だったから、康生は即座に出た。]
もしもし? って、ひでー声してんなぁ。
謝んなって。おう、飲め飲め。
[彼は、憔悴しきった声をしていた。今でこの調子なのだ。私の巻き添えで康生が命を落とした後、この子は一体どうなってしまうのだろうか。]
(109) 2023/08/19(Sat) 18時半頃