[移植前なら兎も角、移植後の康生はずっと免疫抑制剤を服用している。地面に落ちている物、未知の物には触れてはいけないと、康生の母親は口を酸っぱくしながら言い聞かせていた。それでも中学生の頃は、幾度か好奇心に負けて寝込む羽目になっていたのだが。成長したものである。]
余ったパイロット……。
じゃあやっぱり、俺らが生き残る方法って無いんだな。
ギリギリどころか────俺のせいで足りなくなるんだからさ。
二つ枠取ってんのに、一回しか戦えねぇんだから。
[確かに、落胆の表情は見せた。ただ、追加の契約自体はずっと考えていた事ではあった。勿論、身近な誰かを救う為にではない。康生に、そんな発想は出来ない。追加の契約は、この世界を守る為に必要だと考えたのだ。]
[現状、康生も私も、敵は全部で“六体”だと思っている。私達が二人で一つの命である時点で、パイロットが足りなくなる計算だ。だからこそ、康生は「僕が契約するつもりだ」という彼の言葉>>84を聞き、目に涙を浮かべた。]
ッ、な……なんで、んなこと言うんだよ……。
俺、縁士は助かるんだ。助けられるんだって、思ってたのに。
(90) 2023/08/19(Sat) 14時半頃