「メールでお尋ねした通りです。ボクは殺された云々よりまず、るくあの死にも懐疑的で。ほら、たまに遺族が遺体を目にしないと受けいれられなかったり、捜し続けたりするじゃないですか。るくあの死を実際にご覧になったんですか?身内だから、葬儀とか届け出とかしますよね。故人の遺品か、お墓か、――――何か、とにかくボクの目の前から消えた彼女が、死んでいる証拠が欲しいんです。不躾ですみません。」 ゆっくり動き出す閉ざされた空間で、景色でなく対面する相手を身澄まし、失礼と知りつつ捲し立てる。 どうしてだろう、坂理の笑顔にはるくあと通ずるものを感じたのに、肉親のはずの灰羅にはむしろ、似ていないという感想を抱いた。*
(88) 2023/11/21(Tue) 16時半頃