[さっき柊木は、僕が生きられるのは嬉しい、と言った。
僕は、本当は戦いたかった。戦闘にも自信がある。人が死ぬことに躊躇もない。祖父母を避難させる発想が最初なかったのも、そのせいだ。
永よりも弟の縁牙よりも、僕が出撃したかったのに。
よりによって僕だけが生き残ってしまったのだ───。]
………だから契約人数が敵機よりも多ければ、誰かは助かる。
ただ、この地球は、ギリギリの人数しか契約できていないんだ……。補充はできるけど、上限もある。
[身近な仲間を救うために他の誰かを新しく契約させるなんて、柊木には出来ない発想だろう。彼の顔は落胆の色を見せただろうか。
僕は重要なことを付け足した。]
──でも、もし、この地球のパイロットが足りなくなったら。
僕が契約するつもりだから心配しなくていい。
[それは最初から決めていたことだ。ハロに聞いたら怒られる、いや永にも怒られる……。約束を破るつもりはない、けれど。永と同じ顔をした女の子の泣き顔が浮かぶ………。]*
(84) 2023/08/19(Sat) 13時半頃