[その日はアルバイトは休みにした。
この日、アルバイトを休んだから休むことへの抵抗が薄れた。
瑠璃川の家に向かって>>7初めてみた私服姿を覚えていなかったのは緊張していたからだろう。
人様の家にあがるなんて機会は記憶にもあまりない。
初めてあがる家は緊張する。
門扉の前とかなら全然そんなことはないのに不思議なものだ]
ケーキありがとう、瑠璃川。
僕は――その、すごく嬉しい。
それで、えっと……これは大したものじゃないけど。
[はい、とお返しに差し出したのは何てことはない本の栞だった。
気にしないでと言われて過ぎ去ってしまったけれど大和は自分の誕生日にケーキをもらうのだから少しくらいと考えた。
考えたが何がいいとかまではわからなかったし予算もある。
高いものは選べなかったので瑠璃川の誕生日の花が描かれた栞、ブックマーカーがお手頃だったのでそれを選んで買ってきた]
(84) 2023/08/13(Sun) 12時頃