28 僕等(ぼくら)の


【人】 校庭番長 ヤマト

――備えること――

[スマホを珊瑚の父親に返す理由はゴネた見返りだけではない。
珊瑚がどうやって生きていたのか、最期の瞬間まで何をしていたのかがスマホの中には眠っている。
告別式でそこまで憔悴するなら――未だ愛しているならちゃんと珊瑚が存在した証と向き合ってほしかった。

 スマホを返す際に、ちゃんと伝えておく。

『この街はもうダメだから逃げるように』――って。

 大和がこれからしようとしていることをきっと珊瑚は怒るし悲しむし、もしかしなら泣いて嫌われてしまう、だろうけれど。
僕らは確かにこの世界にいたって刻み付けておきたいんだ。

 例えそれでどれ程の犠牲が出たとしてもだ*]

(83) 2023/08/17(Thu) 11時頃

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