ああ、彼ですか。
離縁されたとかで随分意気消沈していましたが、信仰に目覚めてからは見違えるように元気になりましたよ。別れた奥様も戻ってきて、今は二人で熱心に活動してくれています。
[連れ帰った男のことを聞かれると、なめらかにそう語った。]
この船は、あまり外の話が入ってきませんからね。
まあ、そう望んでおられる方も多いのでしょうけれど。
[現実を忘れて、夢のような世界で暮らす。
金さえ払い続けられるならば、それが可能なのがこの『オテル・デカダン』だ。
PJがどういった理由でこの船に乗り続けているのかまでは知らないが。]
わたくしの話でよければ、いくらでも。
そうですね、先日ある星の難民キャンプへ赴いたのですが……
[そんな風に、退屈しのぎにでもなればと、ここ数年の間に外で見てきたことを話すだろう。ウェイターのアンドロイドが運んできたグラスを時折傾けながら。
《銀光教団》において、酒類はご法度ではないらしい。]
(76) 2022/05/03(Tue) 01時頃