― 船外・草原 ―
[森の方へ向かっていくと、次第に地表を覆う緑が増えてくる。足元が土であるうちに、ケトゥートゥは背負っていた探索用の荷物から、折り畳み式のホバーを取り出して広げた。
浮遊機構を搭載したボードの上に手すりが付いた程度のもので、ホバーバイクほどの性能は速度の面でも最高高度の面でもない。キランディの翼には、それこそ足元にも及ばないだろう。
しかしケトゥートゥの身体の大きさと調査時の都合に合わせ、ライジやナユタ、アリババにも相談しつつチューニングしてもらった、ケトゥートゥにとっては最高のアイテムだ。
足元の草たちを傷つけない程度に浮遊しつつ、底面に取り付けられたカメラも使って、次々にデータを収集・送信していく。
虫、あるいは小動物に受粉を手伝わせるだろう構造の花を見つければ、注意深く観察して、多めにデータを取ってみる。
大型動物の痕跡は、ケトゥートゥではよくわからなかった。指摘をもらえればわかるかも?と思い、他の仲間たち全員へ向けて、通信を入れてみる。]
こちらケトゥートゥ、今草原だヨー!
気になることがあったら言ってネ! 重点的に写したり、サンプル取っていくヨ!
(71) 2021/11/07(Sun) 18時頃