[リッキィの様に、この『パルテール』には意外と性風俗利用が目的ではない客もそれなりに訪れる。お気に入りのドールがいる者や、特に決まった相手を持たずに茶会でも楽しむような雰囲気で来店する客まで。こういった客は民度が高い事が多く、接客の際は「当たりだな」と内心呟く。先程まで相手をしていた馴染みの男性客もこの部類であった。
そうした客が来るのは、花をモチーフとした風俗店にしては優美な雰囲気がそうさせるのか。或いは、店主の意向によって敷かれた規律がそうさせるのか。]
(そんな親切な雰囲気にゃあ見えないんだけどね)
[……無論、実際のところは正規の目的で利用を楽しむ客の方が多い。そちらの客の質はピンキリである。少々厳しめの規則が敷かれているとはいえ、所詮我々ドールは隷属身分である。席で何をされるかは、客の自由意志で決まる。恐らくは、大半の従業員は同僚のドール達が手酷い扱いを受けているのを確認しながら、「自分の所へ回ってこなくて良かった」と安堵し、自らの客を満足させる事に手一杯になっている事だろう。次は自分があんな目に合わない事を祈りながら、各々が内に秘めた感情と折り合いをつけて接客に勤しんでいる。]
(70) 2024/02/20(Tue) 16時半頃