人狼議事

28 僕等(ぼくら)の


【人】 超心理学会 ヒイラギ

[──そうして。康生は花嫁姿で教会へと足を踏み入れる。左手にブーケを持ち、右手を胸元に当てて。自然と肘が横に張るから、誰かと腕を組んでいる様に見えたのも無理は無い。手袋とドレス越しの手の平に、鼓動が伝わる。絨毯を踏みしめる感覚。私は今、確かにバージンロードを歩いている。康生と一緒に。こんな未来は、想像もしていなかった。息子が連れて来るのは花嫁だと思っていたから、当然なのだが。嘆かわしくもあり、康生の節目に立ち会えて嬉しくもあり、何とも複雑な気持ちだった。康生との思い出が胸中を巡り、非常に感慨深くはあった。]

[康生はただ、前を────自分を待つ恵一くんの方だけを見て歩いていく。通常のバージンロードとは異なり、私は隣ではなく中に居るのだから、視線を交わす事も無い。彼の元までの道のりは、長い様でいて短かった。彼は康生を受け止める。通常、父親の役目は此処で終わるのだが。私は物理的に離れられないし、離れてやる気も無いので、彼に康生を渡した気は無い。渡して欲しくば、せめて挨拶くらいはしろと思う。私に対しては兎も角、妻にくらいは。]

(65) 2023/08/19(Sat) 12時頃

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