─乾恵一の部屋─
[彼が指差した方>>26へと視線が動いたが、生憎とゲーム機自体は見えなかった。ただ、言葉から存在は察せたし、康生も察した筈だ。少し考えてから、苦笑を模った。]
はは、そうかもしんねーな。
……もし俺だけ契約しちまってたら、そっちの方がケイは
キツかったかも。
だったら……うん。契約してくれて、よかったか。
そしたら一緒だもんな。今みたいに。
生まれ変われたら、か……。
あんま考えたことなかったけど、もし生まれ変われたら
ケイのしたいこと、してやれる身体になりたいな。俺。
丈夫じゃなくてもいいから、気軽にケイと触れ合えて
そんで、おんなじもん食えたらサイコーなんだけど。
……なんて、さすがに高望みし過ぎか。
[何処か遠くを見て語る康生に、無い胸が苦しくなった。胸元に当てられたままの手。この子が“普通”に生きられる世界。其処ではこうして康生の誰より傍に居る事は叶わないだろうが、それでも。そんな世界が在る事を、私も強く願った。]
(60) 2023/11/15(Wed) 03時半頃