【人】 尸解仙道 ツェン

──　回想・卒業制作

[大学の卒業制作で撮った短編はほどほどの出来だった。
自分の撮ってきた物の中では中の上くらい。
とは言え山田教授にはだいぶ気に入られたので良し。

映研で、他の4年生の作品と一緒に上映会をしたけど
俺の作品のとある場面が、感想会で物議を醸した。

　そのシーンはこうだ。
　何人もの人間が川で溺れて流されて行く時に、
　主人公は一人だけ助けられる位置にいる。
　見ず知らずの子供と、最愛の人の二択で。
　主人公は、迷わず子供を助ける。

ここが納得いかないと言う部員が何人か居た。
”咄嗟の判断では愛する人を選ぶのが普通では？”
というのが概ねの意見。
唸っている俺の横で、4年生の友人Nが言う。]

(58) steel 2025/08/24(Sun) 21時頃