――2日目午後/観覧車下――
昨日も乗り回したカラフルな並行二輪車(セ〇ウェイ)で園内を移動していたから、暫く自分の足元の問題に気付かないままだった。通常タイプのモナリザを呼び止めて、ホテルの405号室から厚底ブーツを持ってきて欲しいと並走しながら頼む。
「パシリみたいに使い走らせちゃってごめんねぇ。
ボクは観覧車にでも乗ってるから、
下まで届けてくれるかな。よろしく。」
懲りもせずに目印にと、袖に飾っていたころんと丸い莓型のチャームを、モナリザの肩に結びつけた。ロボットは一瞬アームの動作を確認するような仕種を見せたが、その場で半回転してホテルへとゆったり進み出す。
いつの間にか観覧車を見上げる距離まで来ていて、靴でなくとも乗れそうな遊具の脇に並行二輪車を駐めてから、搭乗口で『アポロ』を掲げた。
道中、中央広場に差し掛かったところで、何やら軽快なサンバが聞こえてきた(2:378)が、遠目にモナリザたちを従えた指揮者が誰か分かると、フンッと鼻息荒くそっぽを向いて、声もかけずに素通りしたのだった。
(55) 2023/11/21(Tue) 13時頃