────……違うんだけど、わかんないよな。
伝わらないよな。
俺の心臓なんて、俺だってどこにあるのか知らないよ。
……多分もう、どこにも無いし。
[傷付いた顔。鼓動は多くの悲しみと少しの動揺を刻んでいるけれど、それがどれだけ伝わっているのだろうか。言葉からすると、康生は伝える事を諦めてしまったのかも知れなかった。]
ごめん。 ……頭ではわかってんだけどさ、仕方ないって。
今の、ちょっと、結構…………ショックだった、のかも俺。
ケイ全然悪くねーのに、なんか、全部否定されたみたいな気がして……。
[胸に触れようと腕を上げ掛けたけれど、まだ其処には相手の手が在ったからか、静かに下ろした。暖簾は、確かに押せたのだろう。そっと触れたかった物を殴り付けてしまうくらいの勢いで。]
[心臓が止まってしまっても、人は死なない。死なないで済む方法はある。現に、康生は生きている。]
[中から居なくなることによって。
────その中に、康生は居ない。]
(45) 2023/08/13(Sun) 08時半頃